ブランディングとは?正しい意味と実行4ステップを完全解説

                       

ブランドコンサルタント・中江 翔吾

ブランディングとは
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「ブランディングって何?」
「ブランディングって、どう実践したらいいの?」
「集客や価格競争の悩みから解放されたい」

ブランディングについて正しい知識を取り入れ、できることから取り組めるかどうかでその企業の未来は大きく変わります。

ブランディングに取り組む企業は、相場より高単価でも顧客から選ばれ続け、集客や売上に関する悩みとは無縁になれますが、取り組まない企業は常に価格競争に巻き込まれ、集客や売上が常に不安定になります。

そして、ブランディングは資本力がある大企業だけが取り組める特別な施策ではなくて、会社規模が小さい中小企業が生き残っていくために最も必要な施策です。

ですが、意外とこの

  • ブランディングとは何か?
  • ブランディングってどう実践すればいいのか?

ということを体系的に理解し、説明できる人は少ないと思います。

というのも、ブランディングについての情報収集をしても、難しい専門用語が羅列されていて理解できなかったり、実践的な内容でなく、体系的に知識が整理されているものがあまりないからです。

ですが、安心してください。

この記事を読んでいただければ、前提知識が0の方でも、ブランディングについて体系的に理解できるようになり、実践できるようになります。

これまで私はブランドコンサルタントとして、ブランディングを専門としてきましたが、その経験だけでなく、ブランディングについて書かれている書籍、映像資料、企業の事例、ブログ記事も参考にし、取り入れてこの記事は作成されました。

断言しますが、この記事は間違いなくネット上で存在するブランディングについて書かれている記事の中でも最も分かりやすく、詳しい記事だと思います。

中江翔吾
中江翔吾
というわけで、どうも!ブランドコンサルタントの中江です。

何か事業をされていて、集客や価格競争などの悩みを抱えられている方は非常に多いと思いますが、フリーランスのデザイナーとして活動し始めた当時の私がまさにそうでした。

グラフィック&WEBデザインの業界は、卓越した技術を持つデザイナーはごまんとおり、技術力だけで勝ち残っていけるほど甘くはない業界です。

特に私の場合は美大や専門学校に通った経験もなく、広告代理店で数年間修行したわけでもありません。

なので、最初の頃、私は、仕事を受注するために、とにかく自分が販売している制作物の価格を下げて、営業をかけて、何とか食いつないでいました。

顧客が私を選ぶ理由は、品質が高いからでも、理念に共感してるからでもなく、「価格が安いから」です。

とにかく数を受けないと成立しない体制が長く続くはずもなく、事業の根本的な方針転換を迫られます。

そんな時に私は「ブランディング」と出会いました。

ブランディングができれば、集客や価格競争の悩みから解放されて、本当に必要としている企業がから選んでもらえる

そんな言葉に心躍らして、ブランディングについて様々なコンサルタントや専門家から学び、ブランディングの成功事例も数多く研究しました。

そして、試行錯誤しながら、ブランディングを実践していくと

  • 営業せずとも、仕事の依頼が全国からやってくる
  • あなただからお願いしたいと言われる
  • 相場よりも高い価格でも選ばれる

ようになり、中には半年待ってでも仕事を依頼したいという方も現れました。

その後、この経験を生かして、歯科医院、小顔矯正サロン、美容院、工務店、造園業、英会話スクール、子育て支援、ペットフード販売、ロボット開発、コンサルティング、コーチングなど、業種業界は様々ですが、中小企業の経営者を対象にコンサルティングを通じて、ブランディングのサポートを行なってきました。

ブランディングを実践して、ブランドを確立できた方は漏れなく、集客や価格競争や採用などの悩みから解放されています。

今回の記事では、そんなブランディングについてお伝えしていきます。

この記事を読んでいただければ、ブランディングについて体系的に理解できるだけではなく、ブランディングをどう実践していけば良いのかも一通り分かるようになっています。

私はこれまでに7年間ほどブログを執筆してきましたが、この記事に最も時間とエネルギーと熱量をかけました(なので、とてもボリューミーな記事となっております)。

当時の私のような悩みを抱えている方や、ブランディングに興味がある経営者の方に、少しでもこの記事がお役に立てると幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

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目次

1.ブランディングとは何か?

では、最初にブランディングの意味について解説します。

1-1.ブランドの意味とは

ブランディングを正しく理解するためには、まず「ブランドとは何か?」を把握しないといけません。

1-1-1.ブランドの語源

「ブランド(Brand)」の語源は「焼印を押す(Burned)」から生じたと言われています。

この焼印は自分の家畜と他人の家畜を区別するために使われたものです。

焼印を押される家畜

転じて、ブランドには「自社の商品・サービス」と「他社の商品・サービス」を区別する役割があります。

1-1-2.ブランドの意味

私たちの日常は、常にブランドに取り囲まれています。

スーパーに行っても、コンビニに行っても、インターネットに繋いでも、様々なブランドと出会うことになります。

ブランドのロゴ

重要なのは、それぞれのブランドを表す記号(名称やロゴなど)を見た時に、イメージを抱くことです。

例えば、パソコンを購入しようとする時には

  • Apple
  • Windows

のどちらかのブランドを基本的に選択することになると思います。

それぞれのブランドを表す記号を見るだけでも、複数のイメージを抱くことになると思います。

ブランドのイメージ

Appleなら

  • デザインがオシャレ
  • データ連携が楽
  • 使い心地が良い
  • 性能が高い

Windowsなら

  • 世界シェアNo.1
  • コスパが高い
  • カスタマイズし易い
  • Officeソフトが使える

などですね。

ブランドに対するイメージは、それぞれの消費者の経験や知識や価値観によって異なります。

例えば、Apple製品を使って、たまたま使用して1ヶ月で故障した場合は「すぐ故障する」というイメージを抱く人もいるかもしれません。

とにかく重要なのはブランドを表す「記号」というのは「イメージ」とセットということです。

つまり、ブランドの意味とは「他と識別された記号とそれに紐付くイメージの総称」のことです。

ブランドの概念図

1-1-3.ブランドの役割

ブランドには大きく分けて

  • 識別
  • 認知拡大
  • 品質保証

の役割があります。

ブランドの役割「識別」

まず、最初の「識別」について。

ブランドが確立するとは、ブランドの記号とイメージが一致するということです。

つまり、消費者が

そのブランド名が何で、それがどういう特徴を持っているのか?

というようなイメージができるようになるということですね。

ブランドの記号とイメージが一致する

そういう状態になれば、有象無象ある他の商品・サービスと識別されるようになります。

識別は顧客から選ばれるための第一条件です。

そのブランドの名前も知らないし、どういう特徴かもわからない

と思われているようでは、消費者の選択肢にも入らないのは理解できると思います。

ブランドの役割「認知拡大」

続いての「認知拡大」について。

ブランドが確立されていると、広告などの認知を広げる活動を行った際に、消費者により簡単に認知されるようになります。

例えば、

吸引力の落ちないただ一つの掃除機

というキャッチコピーで有名な「ダイソン」という家電メーカーがあります。

ダイソンは、日本での売上をたった4年間で3倍にするなど、圧倒的なブランドを確立している家電メーカーです。

ダイソン

従来の掃除機の概念を覆すようなデザインと、吸引力の落ちないサイクロン式の掃除機という機能性に惹かれて、購入し、愛着を持って使い続けているというユーザーも多いでしょう。

そういう人たちに向けて、新たにダイソンが新たにを「扇風機」を発売するとします。

日常で多種多様な広告が流れていますが、ダイソンのことを気に入ってるユーザーにとっては、ダイソンの新製品の広告は目に止まりやすくなります。

これが「認知拡大」という役割です。

ブランドの役割「品質保証」

最後に「品質保証」について。

ブランドが確立されていると、そのブランドがどれくらいの品質があるのかというのは購入前に認知されている状態になります。

これは消費者から選ばれるために、非常に強力なアドバンテージとなります。

ブランドの品質保証

例えば、日本を代表するカメラメーカーの「Nikon」を認知し、ブランドとしての価値を認めている人であれば、購入前に

Nikonのカメラを買って大丈夫かな…

とは心配にはならないわけです。

これが「品質保証」です。

1-1-4.ブランド力とは

ブランドには、ブランド力が強いものもあれば、弱いものもあります。

ブランド力が強ければ強いほど

  • 多額の広告費を使わなくても、集客が安定化する
  • 相場よりも価格が高くても選ばれる
  • 優秀な人材を確保できる
  • リピート率が高くなる

などの恩恵を受けることができます。

ブランド力は大きく分けて

  • 名前の認知
  • 知覚品質
  • ブランド・ロイヤルティ

の3つの項目によって決まります。

ブランド力の構成要素「名前の認知」

名前の認知とは、そのブランド名がどれだけの数の人に認知されているかですね。

当然ですが、10人にしか名前を知られていないブランドよりも、100人に名前を知られているブランドの方が市場において有利なのは理解できると思います。

認知度

そもそも、名前を覚えられていなければ、消費者の選択肢にすら入らないので。

もし、仮に10人にしかそのブランドが認知されていなければ、10人の消費者からしか選ばれる可能性はありません。

逆に100人にブランドが認知されていれば、100人の消費者から選ばれる可能性があるというわけです。

認知度が高い方がブランド力はあるのです。

ブランド力の構成要素「知覚品質」

続いて、知覚品質について。

知覚品質とは、消費者が、そのブランドに対して抱いているイメージの品質のことです。

知覚品質

実際の品質がどうかということは関係ありません。

例えば、ダイソンとは違う無名のメーカーで、ダイソンよりも吸引力が長続きする掃除機が新たに開発されたとします。

でも、実際にその掃除機を使ったことがないダイソンユーザーにとっては、

ダイソンの方が性能が高そう

というイメージを抱きます。

当然ですが、そういうイメージを抱く人はダイソンの掃除機を選びます。

これが知覚品質です。

知覚品質が高ければ高いほど、顧客から選ばれる可能性は高まるので、ブランド力は強くなります。

ブランド力の構成要素「ブランド・ロイヤルティ」

次に、ブランド・ロイヤルティについて。

ブランド・ロイヤルティとは一言で言うと、顧客の忠誠度です。

忠誠度が高ければ高いほど

  • リピート
  • 口コミ

が起こります。

ブランド・ロイヤルティ

これは非常に重要な指標で、このブランド・ロイヤルティが低ければ、事業としては非常に苦しくなります。

例えば、ダイソンのCMを見て、ダイソンを一度購入したとします。

ですが、掃除機の買い替え時期に来た時に、他のメーカーに移ってしまいました。

顧客の中の9割がそういう人であれば、その事業を維持するためには、失った9割の顧客の集客を頑張らないといけません。

マーケティングの世界では

新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかる

という「1:5の法則」があると言われています。

それだけ新規顧客の獲得コストは高くなるので、ブランド・ロイヤルティは高めていく必要があります。

とにかく、ブランド力は

  • 認知度
  • 知覚品質
  • ブランド・ロイヤルティ

の3つの総合力によって決まるということだけでも押さえておいてください。

1-2-.ブランディングとは

では、次にブランディングとは何かという話をしていきたいと思います。

1-2-1.ブランディングの意味

ブランディングとは

  • 名前の認知
  • 知覚品質
  • ブランド・ロイヤルティ

という「ブランド力」を高める手法のことです。

具体的にブランド力を高めるためには

  • 記号の設計と統一
  • 知覚価値の向上
  • 認知の拡大

という3つの施策を実行します。

ブランディングのステップ「記号の設計と統一」

まず、最初の記号の設計と統一について。

記号の設計と統一では

  • どういうイメージを持たせるブランドにするのか
  • ブランドを記号としてどう表現し、統一するのか

を決めるステップになります。

まず、最初に決めるのは、ブランドのイメージです。

消費者が、そのブランドに対して、どういうイメージを抱いてもらうようにするのかを設計するということですね。

ブランドの方向性と考えてもらうとわかりやすいかもしれません。

ブランドの記号設計

例えば、掃除機一つとっても

  • 軽くて、女性でも使いやすい掃除機
  • カラーバリエーションが多くて、お洒落な掃除機
  • 地球に優しくエコな掃除機

というように方向性は色々あるわけです。

これをまずは決めるというのが「記号の設計」です。

重要なのは

どういうブランドなのか?

と聞かれたときに、一言で方向性を示すことができることです。

ブランドとしての方向性を示すことができなければ、消費者はイメージすら掴むことができないので、選ばれる対象にはなりません。

具体的な記号の設計方法については、後ほど詳しく解説します。

そして、ブランドとしての方向性が定まれば、それを記号として、どう表現するのかを決めるというステップになります。

記号というのは、具体的には

  • ブランド名
  • ロゴ
  • 価格
  • 商品内容
  • 素材
  • 商品パッケージ
  • WEBサイト
  • 店舗デザイン
  • 接客方法

といった、それを見るだけで、ブランドのイメージが連想されるものを指します。

ブランドのイメージを記号で表現

ブランドとしての方向性が、どれだけ市場の中でユニークで魅力的なものだったとしても、それを上手く表現できなければ、ブランドとしての価値は伝わりません。

ブランディングのステップ「知覚価値の向上」

では、次に知覚価値の向上について。

知覚価値とは、消費者が知覚している価値のことです。

これは先ほどもお伝えした通りですが、どれだけ品質が高い商品を提供していたとしても、その価値が消費者に伝わっていなければ、選ばれることはありません。

消費者にブランドの価値が伝わるような施策を考えるのがこのステップです。

例えば

  • こだわり
  • 素材
  • 作成工程

などを伝えるだけでも、そのブランドに対する知覚価値は大きく向上します。

例えば、ブランドムービーを作るというのも一つの手です。

今治タオルでは、1分ほどのブランドムービーを公開し、タオルが

  • どういう場所で作られているのか
  • どのような品質管理をしているのか
  • どのように作られているのか

ということなどを伝えています。

今治タオルのことを初めて知った人でも、このブランドムービーを見れば、タオルとしての品質の高さは理解できるように設計されています。

ブランディングのステップ「認知拡大」

そして、最後に「認知拡大」について。

認知拡大というのは

  • ブログ
  • SNS
  • インターネット広告
  • プレスリリース
  • TV CM
  • チラシ
  • キャンペーン

など、そのブランドの存在をより多くの人に知ってもらうためのプロモーション活動のことです。

ブランドとしての方向性が定まり、価値が伝わるようにそれが表現されていれば、後は、接点を増やすだけで、そのブランドのファンがどんどん増えていくようになります。

具体的な認知拡大の方法については後ほど詳しく解説します。

1-3.なぜ、ブランディングが必要なのか?

ブランディングは、今となっては、事業を行う上で欠かせないビジネス上の戦略となりました。

では、そもそもなぜ、ブランディングの必要性が声高に叫ばれるようになったのでしょうか?

それには

  • 選択肢過剰の時代
  • 機能的価値のフラット化

という2つの理由があります。

1-3-1.選択肢過剰の時代へ

まず、最初の理由が、現代が選択肢過剰の時代になったからです。

選択肢過剰の時代とは、何を選ぶにしても、選択肢が多すぎるという時代です。

例えば、渋谷で美容院を探そうとします。

全国の美容サロンの情報が集まる「ホットペッパービューティー」というサイトで検索すると、206件の美容院の情報が出てきます。

渋谷の美容院の検索結果

画像出典:https://beauty.hotpepper.jp/

東京だと、たった一つの地域でこれだけの店舗の数があります。

また、実際には、一人の生活範囲を考えると、美容院の選択肢というのは、1000件を超えてくるでしょう。

そんな数の中から消費者に選んでもらえないと、生き残れないという時代な訳です。

消費者の頭の中にある

お洒落な雰囲気の空間の中で、プロの美容師がカットやカラーやパーマをしてくれる

という普通の美容院のイメージしか抱かせることができなければ、選ばれることはありません。

他のお店との違いがよくわからないからです。

そういう場合は、名前も覚えられませんし、ブランドとしてのイメージすら抱かれず、記憶から忘れ去られます。

だからこそ、ブランディングによって

自分のお店は、普通の美容院とは何が違うのか?

ということを明確にして、伝える必要があるのです。

これが伝えられなければ、簡単に価格競争に巻き込まれます。

なぜかというと、価格という「数字」は誰が見ても分かる違いだからです。

ですが、それは安易なお客さんの呼び方です。

価格を変えるくらいは誰でもできるので、結局、最終的には価格競争の泥沼から出てこれなくなって、店は潰れます。

価格競争が起こる理由

今の時代は、ブランディングなしでは、ビジネスは成立し得ないと言っても過言ではないでしょう。

インターネットがない時代はそうではありませんでした。

そもそも、これほど瞬時に、網羅的に情報を収集するための手段もなかったので、選択肢も生活範囲の中で、目に入る数軒でしょう。

そんな時代なら、そこまでブランディングを意識しなくても選ばれていたと思います。

地域密着型のビジネスですらそういう状況なので、全国を商圏にしたビジネスでは、それよりも激しい競争が繰り広げられています。

1-3-2.機能的価値のフラット化

また、ブランディングの必要性は「機能的価値のフラット化」が加速化したことによっても高まりました。

機能的価値とは商品・サービスが提供する「機能」に対する価値のことです。

例えば、美容院であれば

  • カット技術
  • カラー技術
  • パーマ技術

といったプロの美容師としてのスキルのことになります。

機能的価値のフラット化とは、この機能的価値だけで違いを生み出すことが難しくなっているということです。

美容師を例に取るのであれば、

このお店でカットして、最悪の髪型になった

というようなことってあまりないと思います。

それは業界の成熟度が上がり、技術が底上げされて、更にいうと、その技術が専門学校などで学べる時代になったからです。

細かく言えば、プロの技術の差はあるとは思いますが、素人には分かりません。

プロとして確かな技術がある

という機能的価値の高さだけ主張していても、簡単に価格競争に巻き込まれます。

機能的価値がフラット化する理由

例えば、僕が提供している「ホームページ制作」という商品もそうです。

「ホームページ」が世の中に出始めた頃は、簡単なページが作れるだけでも、100万円以上の価格で取引されていました。

ですが、今は、そのレベルのホームページであれば、5万円以下か、もしくは「Wix」や「WordPress」といったサービスを使えば、素人でも無料で作れてしまいます。

「ホームページが作れる」という技術の価値は、業界の成熟度とともに下がったのです。

機能的価値だけで、勝負していても、上手くいきません。

これはどの業種業界でも起こっていることです。

だからこそ、ブランディングが重要になってくるのです。

ブランディングは、言い換えるなら、価値を高める手法です。

価値には

  • 機能的価値
  • 感情的価値

の2種類があります。

人は機能的価値という論理性だけで商品・サービスを選びません。

  • コンセプト
  • ストーリー
  • キャラクター
  • デザイン

といった感情的価値の高さによっても、商品・サービスを選びます。

例えば、iPhoneを思い浮かべるのが分かりやすいかもしれません。

iPhone

iPhoneが人気な理由はスマートフォンとしての機能的価値の高さだけではありません。

そのデザイン性の高さも人気の理由です。デザインは感情的価値の一つです。

ブランディングを実行していくことで

  • 機能的価値
  • 感情的価値

という2つの価値を総合的に高めていくことができます。

だからこそ、ブランディングは、今の時代に求められているというわけです。

1-4.ブランディングのメリット

次に、ブランディングのメリットを「企業側」と「顧客側」に分けて解説していきたいと思います。

1-4-1.企業にとってのブランディングのメリット

まずは、企業にとってのブランディングのメリットは大きく分けて10個あります。

市場で差別化ができ、比較検討されずに選ばれる

ブランド力が究極的に高まると、その顧客にとって、価値のある唯一無二の存在になります。

そのブランドを選ぶ理由も

  • 価格
  • 機能
  • 品質
  • 素材
  • コンセプト
  • デザイン

といった取り替え可能な「条件」ではなく、「この会社だから」「あなただから」という替えが効かない理由で選んでくれるようになります。

そういう状態になれば、当然ですが、市場において、競合との差別化ができ、比較検討されずに、自動的に選んでもらえるようになります。

プレミアム価格でも選ばれ、利益率が高くなる

それは、たとえ、相場よりも価格が高くてもです。

iPhoneなんかが良い例ですね。

世界のスマートフォンの平均価格は「約36,940円」に対して、iPhoneXは「112,800円」と4倍です。

それでも多くの消費者から支持されて、世界のスマホ市場の全利益の66%をiPhoneだけで占めているという調査結果も出ています。

ブランド力が強くなると、相場の価格すら超越できるんですね。

季節ごとのセールなども不要になります。

リピート率が向上し、売上が安定

また、ブランディングが上手くいくと、顧客ロイヤルティが高まり

このブランドじゃないと嫌だ

というリピーターも増えていきます。

そのリピーターは無条件にそのブランドを選ぶので、当然ですが、売上は安定していきます。

新商品が売れやすくなる

また、そのブランドに共感した固定のファンがいれば、新商品をリリースした時でも、

このブランドなら間違いない

と思い、購入してくれます。

ブランドは無形の資産です。

ブランド力があるだけで、スタート地点から競合よりも一歩抜きん出るのです。

Appleのことを信頼している顧客なら

Appleが出す商品なら、間違いない

と思い、iPhoneだけでなく、MacもiPadもApple Watchといった他の製品も購入してくれるのです。

多額の広告費をかけなくても、集客が安定する

ブランドが確立できていると、多額の広告費をかけなくても、集客は安定するようになります。

ブランドの固定ファンができると、自然発生的な口コミも広がりますし、メディアにも取り上げられる機会が多くなります。

なので、集客のために、多額の広告費をかける必要はなくなります。

また、ブランドの価値が伝わるような設計ができているので、たとえ広告をかけたとしても、非常に費用対効果が高くなります。

優秀な人材が確保できる

ブランディングは、そのプロセスを通じて

  • どんな人に
  • どんな商品・サービスを提供して
  • どうなってもらう

ことを目指す企業なのかを明確に提示することになります。

いわば、これはその企業は

何を大切にしていて、何のために存在しているのか

という「価値観」や「理想世界」を提示することになります。

なので、採用の際にも、ブランドの価値観に共鳴した優秀な人材が集まりやすくなります。

採用の際に重要なのは、給与や福利厚生といった「条件」ではなく、ブランドが大切にする「価値観」や「理想世界」で集めることです。

給与や福利厚生といった「条件」で集めてしまったスタッフは、基本的には

どれだけ効率的に給与をもらうか

という思考になりがちです。

それにより良い「条件」を提示する企業が現れたときに簡単に離れていってしまいます。

一方で、ブランドが大切にする「価値観」や「理想世界」で集めると、スタッフは給与や福利厚生といった「条件」以外に、働く意味を見出してくれます。

そのスタッフの多くが、会社で起こるすべてのことを自分ごととして捉え、自発的にそのブランドに良い影響を与える働きをしてくれます。

社員の定着率が向上する

また、それに伴い、社員の定着率も向上します。

ブランドが示す方向性に共感しているので、そのブランドで働くこと自体が生き甲斐になります。

なので、簡単には離れていきません。

ブランディングが成功している企業の社員の定着率は非常に高いです。

アライアンス機会の増大

また、ブランド力がつくと、他の企業とのアライアンス(協業)の機会も増えていきます。

市場の中でも差別化ができており、名前の認知度もあり、忠誠心がある顧客を抱えているので、当然です。

ブランド力が高ければ高いほど、自社からのオファーが通りやすくもなりますし、他社からのオファーもきやすくなります。

他社との協業は、自社だけでは生み出せない更なる価値を生み出すことに繋がり、更なるブランド力の強化になります

仕入れコストの削減

また、ブランド力が強くなると、顧客が商品を購入することが約束されているようなものなので、仕入れの際にも非常に有利な条件で交渉することができます。

なので、必然的に仕入れコストを削減することができます。

資金調達コストの削減

ブランド力がつくと、安定して売上が上がるようになるので、社会的な信用もつくようになります。

なので、資金調達も容易になります。

1-4-2.顧客にとってのブランディングのメリット

顧客にとってのブランディングのメリットは「商品を選ぶコストが下がる」ことです。

ブランディングが実行されていると

  • その商品はどんな人を対象にしているのか?
  • その商品の効用はどういうものか?
  • その商品はどのようにして作られているのか?

など、そのブランドの価値が適切に伝わるようになっているので、商品選びの際に発生する

  • 時間的なコスト
  • 金銭的なコスト

が下がります。

「安心して購入できる」というイメージが顧客の中に確立されていると、迷ったり、他の商品と比較検討することもなくなるので、時間的なコストは下がります。

また、品質保証されているようなものなので、商品選びの失敗によって、発生する買い直しなどの余計な金銭的なコストも発生しません。

1-5.ブランディングに対する誤解

では、次にブランディングに対するよくある誤解について回答していきたいと思います。

1-5-1.ブランディングは高級品だけが対象?

まず、ブランディングに関する一つ目の誤解が

ブランディングは高級品を扱っている企業だけが対象

というものです。

これははっきり言って全く関係ありません。

ブランディングとは、先ほども言ったように

  • 名前の認知
  • 知覚品質
  • ブランド・ロイヤルティ

といったブランド力を高める手法なので、扱っている商品の価格や企業規模も関係ありません。

1コース3万円の高級レストランにも、1コース3000円のリーズナブルなレストランにもブランディングは必要ですし、有効なマーケティング手法です。

もちろん、この二つのレストランでは、価格帯が違うので、アプローチするターゲットが変わってきます。

なので、

  • どういう戦略で名前を認知させるのか
  • どういう要素で価値を感じてもらうのか
  • どういうアプローチで固定客になってもらうのか

といった具体的な手法は変わってきます。

1-5-2.ブランディングにはモノ凄くお金がかかる?

ブランディングに関する2つ目の誤解が

ブランディングにはもの凄くお金がかかる

というものです。

確かに実績のあるブランドコンサルティングの専門会社に依頼すると、年間で500万円〜1000万円以上のコンサルティング費用がかかる場合もあります。

では、それだけの予算がないと、ブランディングに取り組めないのかというと、そうではありません。

特に今の時代は、インターネットを通じて

  • 名前の認知
  • 知覚品質
  • ブランド・ロイヤルティ

を高めていくことが可能なので、費用をもっと抑えることも可能です。

インターネットを通じたブランディング戦略は中小企業でも、個人事業主でも、取り組んでいくことが可能です。

詳しくは実例とともに、後ほど解説します。

1-5-3.ブランディングにはマス広告が必須?

ブランディングに関する三つ目の誤解が

ブランディングにはマス広告が必須

というものです。

これはインターネットが登場する前の旧時代的な発想です。

インターネットが登場する前は「ブランドの認知度」を上げるためには

  • TV
  • ラジオ
  • 新聞
  • 雑誌

といったマス広告が主流でした。

ですが、今は

  • ブログ
  • SNS
  • メルマガ
  • LINE
  • 広告

といったインターネットメディアがあるので、これを使えば、より効果的に、名前の認知度は広げていくことが可能です。

特にマス広告と違うのは、ターゲティングの精度です。

例えば、Facebook広告を使えば

  • 年齢
  • 性別
  • 住んでる地域
  • 職業
  • 年収
  • 家族構成
  • 趣味

などの属性を絞り込んで、広告を出すことだってできます。

これはマス広告ではできないことです。

さらに費用も1日100円単位から出稿することもできます。

1-5-4.ブランディングはCIを整えるだけ?

ブランディングに関する四つ目の誤解が

ブランディングはCI(コーポレートアイデンティティ)を整えるだけ

というものです。

CI(コーポレートアイデンティティ)とは、その企業のあるべき姿を見直し

  • 存在意義
  • 文化
  • 独自性

といったその企業のアイデンティティをメッセージやデザインに落とし込んで、その企業の存在価値を高めるというマーケティングの手法です。

1990年前後の日本では「CIブーム」が起きて、社名や、経営理念や、ロゴを見直すことが流行しました。

ですが、ブランディングとはCIを見直すことではありません。

というのも、CIだけでは、ブランドとしての目指すべき方向性は定まりますが、

  • 名前の認知
  • 知覚品質
  • ブランド・ロイヤルティ

といった具体的にブランド力を高めるところまでは取り扱わないからです。

いくら社名やロゴのデザインを変えたところで、そのブランドの認知度が上がったり、価値がより伝わったり、リピーターが増えたりする訳ではないのは理解できると思います。

2.ブランディングの手法

では、次にブランディングを実施する流れと具体的な方法について解説していきたいと思います。

2-1.ブランディングの流れと種類

ブランディングの流れは

  • 記号の設計と統一
  • 知覚価値の向上
  • 認知の拡大
  • 評価と改善

という4ステップで行います。

まず、記号の設計で「どういうイメージを持たせるブランドにするのか」を決めて、ブランドの方向性を定めます。

ブランドの記号設計

そして、ブランドとしての方向性が決まったら、そのブランドメージを消費者が分かるように統一した記号として落とし込みます。

ブランドのイメージを記号で表現

それが終われば、ブランドに触れるだけで価値を認識される状態になるので、プロモーションを行い、ブランドの認知度を広げます。

ブランドのプロモーション

そして、最終的には、実施したブランディングの施策を評価し、改善するというのが基本の流れです。

ブランディングの施策を評価する

2-2.ブランディングの種類

また、ブランディングには

  • アウターブランディング
  • インナーブランディング

の2種類があります。

アウターブランディングとは、社外に向けたブランディングで、インナーブランディングとは社内に向けたブランディングです。

ブランディングの種類

一般的にブランディングで語られるのは、消費者などの社外に向けたアウターブランディングですが、インナーブランディングも非常に重要になります。

というのも、どれだけブランドとしての方向性を定めたとしても、それが社内のスタッフに浸透していなければ、意味がないからです。

なので、今回の記事では、アウターブランディングとインナーブランディングの両方についてお話していきたいと思います。

2-3.アウターブランディング

では、まずはアウターブランディングについて解説していきたいと思います。

2-3-1.記号の設計

最初のステップは「記号の設計」です。

これはブランドを認知した人に

どういうイメージを抱いてもらのか?

を決めるステップです。

ブランドの記号設計

どんな業種業界でも、自分と同じ土俵にいるプレイヤーはたくさんいます。

当然ですが、どこにでもある画一的なイメージしか抱かれないのであれば、選ばれることはありません。

例えば、美容院が

プロの美容師がいて、カットしてくれる普通の美容院

としか認識されなければ、ブランドを確立することはできません。

そうではない、多くの人にとって、唯一無二の価値を持つイメージを抱いてもらう必要があります。

なので、意図的に、ブランドの記号と、それに紐づくイメージを設計する必要があるのです。

言い換えるなら、これは「ブランドの方向性」を定めるというステップです。

まずは

  • 誰に
  • どうなってもらうのか

というブランドとしての約束を決めていきます。

ブランド力が究極的に高まっていくと、選択の際に

このブランド以外あり得ない

と思ってもらえるようになります。

いわば、その人にとって、そのブランドが究極の価値になっているということですね。

そうなることができれば、先ほど紹介したブランディングのメリットを全て享受することができます。

ブランディングが最終的に目指すのはその地点です。

ブランドのターゲットを決める

ただし、まず重要なのは、全ての人に

このブランド以外あり得ない

と思ってもらうことは不可能だということです。

パソコンを使う全ての人が「Apple信者」になることはあり得ません。

というのも、全ての人の価値観が違うからです。

価値観とは、「何を大切にしているのか」という価値基準です。

パソコンにおいて何を大切にしているのか?

これは人によって違います。

価格の安さを重視している人もいれば、処理速度を重視している人もいれば、デザインを重視している人もいます。

何を価値に感じるのかは人によって異なります。

だから、まず、決めないといけないのは、

誰のためのブランドであるのか?

というターゲットです。

ターゲットが決まらない限り、価値を提供するという概念が成立しません。

これをまずは、書き出しましょう。

ブランディングのターゲット

ターゲットを考える際には

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 家族構成
  • 仕事
  • 年収
  • 趣味
  • 性格
  • 価値観
  • ライフスタイル
  • 願望
  • 不満

という属性を参考にしてみましょう。

重要なのは「売れるかどうか」ではなく「本音」で書いてみるということです。

というのも、自分の心の底からの本音というものがなければ、どれだけ事業が一時的に儲かろうが、情熱が続かなくなるからです。

シンプルに

  • こういう人の役に立ちたい
  • こういう人を幸せにしたい

という思いでOKです。

ブランドの理想を決める

そして、次にその人たちに「どうなってもらうこと」をブランドの理想とするのかを決めていきます。

言い換えるなら、ブランドが目指す理想世界ですね。

今の時代は「商品・サービスを提供しさえすればいい」という時代はとっくに終わっています。

それよりも重要なのは「ブランドの理想に共感してもらう」ことです。

ブランドの理想

先ほども言ったように、今の時代は、選択肢過剰の時代です。

どんな業界でも、顧客のニーズやウォンツに答えることができる、技術も実績も兼ね備えたプロが溢れてる時代です。

例えば、今の時代、「集客の悩み」を解決することができる、実績も実力も申し分ないプロのコンサルタントなんて調べれば、山のように出てくるでしょう。

「集客の悩みを解決できる」というコンテンツだけに興味を持たれてしまったら、その悩みが解決したら、顧客は離れていきます。

もしくは、より凄い実績や実力を持つコンサルタントが現れたら、そっちに移ってしまうかもしれません。

それは美容院でも同じです。

「カット技術」や「実績」だけに興味を持たれてしまったら、よりそれよりも高い機能的価値が提供できるプレイヤーが現れたら、お客さんは離れていきます。

価格競争に巻き込まれる

顧客のニーズやウォンツに答えるコンテンツだけ注力しても、究極の価値にはなり得ないのです。

では、どうすればいいのか?

それは「自分」そのものに共感してもらうことです。

自分と同じ人生は、誰も歩むことはできません。

だからこそ、自分というのは唯一無二の価値を持ちます。

例えば、長野県に「中央タクシー株式会社」というタクシー会社があります。

「中央タクシー株式会社」は売上もサービスも長野県No.1の会社です。

タクシー業界は9割が赤字と言われている中で、たった100台しかないにもかかわらず、年間15億円という大手と肩を並べるだけの結果を出しています。

お客さんの中には

  • 駅のタクシー乗り場には並ばずに、中央タクシーだけを待つ人
  • 雨の中ずぶ濡れになりながらも、中央タクシーだけを待つ人

など、熱狂的なファンもおり、利用の9割は電話予約で埋まっています。

中央タクシー株式会社
画像出典:https://funaifound.or.jp/report/chuotaxi/

さらに驚くべきことは、スタッフの定着率です。

タクシー業界はスタッフの入れ替わりがとても激しい業界なのですが、10年間の定着率がほぼ100%という結果を出しています。

「中央タクシー株式会社」はまさにブランド力が高い企業だと言えます。

では、この企業のブランド力の根源には何があるのか?

それは創業者の宇都宮恒久さんの人生に秘密があります。

宇都宮恒久
画像出典:https://kkbrain.co.jp/

なぜ、宇都宮さんは「中央タクシー株式会社」を創業したのか?

それは、バス会社を経営していた父親が、地元の組合からある時

長い労働争議が起きているタクシー会社を再建してほしい

という依頼が持ちかけられたことから始まりました。

宇都宮さんは、父親と二人で、そのタクシー会社の再建に取り組むことを決めました。

ですが、そのタクシー会社の社員の心は、長い労働争議が原因で、とても荒んでいました。

例えば、宇都宮さんが、ある日出社したときに、一人のタクシー乗務員が

無賃乗車だ

と言って、中年の男性に向かって、ホースで水をかけて、滑って転んだところを引きずり回しているという場面に出くわしたそうです。

父親と二人で再建に乗り込んだは良いものの、長い労働争議が原因で社員の心は荒んでいました。

もう、この時点で会社員としてあり得ないんですが、よくよくお客さんの話を聞いてみると

今、手持ちのお金はないけど、家にはお金があるから、ついたら支払う

と言ってたそうです。

その男性は

とにかく家に帰らせてくれ

と訴え、宇都宮さんは謝罪し、タクシーを手配して、家に送ろうとしましたが

こんな会社のタクシーには乗りたくない

と言われ、奥さんに迎えに来てもらうことになります。

奥さんはずぶ濡れの夫の姿を見て、言葉を失い、その男性は味わった屈辱で助手席で泣いていたそうです。

それを見た宇都宮さんはお父さんに

こんな会社は潰すべきだ!

と訴えますが、累積赤字が1億円以上あり、すぐには潰せませんでした。

その後、数年でなんとか赤字は無くし、再建は果たしましたが、お父さんは一年後に亡くなります。

そして、その死に際に

理想とするタクシー会社をお前は作れ

と言われます。

宇都宮さんは、この言葉が起爆剤となり、「中央タクシー株式会社」を創業します。

まず、宇都宮さんが取り組んだのは、採用基準の変更でした。

最初は即戦力重視で、経験者を優先的に採用していましたが、言うことをきかない、横柄な態度を取るタクシー乗務員ばかりで、「お客様本位のサービス」どころではありませんでした。

そこで「未経験者のみ」を採用にしました。

また社員教育の制度も整備し、資金繰りが苦しい中で、DVDやマニュアルを配布して、ドアサービス、自己紹介、長野県でどこのタクシー会社もやっていないような質の高いサービスを提供できるようにしました。

タクシーのドアサービス

当然、経験者で態度の悪い人たちはどんどんその過程で辞めていきましたが

お客様のためになるなら

という信念で教育し続けました。

また、こうした「お客様中心主義」は、長野県民に支持されたものの、同じタクシー業界の組合からの反発を買いました。

そうした中央タクシーがサービスの質を上げることによって、自分のタクシー会社が選ばれなくなるからです。

あんなタクシー乗らない方がいい、一番事故が多いから

とまで噂されたようです。

それに対して、宇都宮さんは猛反発し、その組合を脱退しました。

組合の脱退というのは経営上は非常にデメリットが大きくて、全国で使えるタクシーチケットが使えなくなるんです。

それはその当時の中央タクシーの売上の40%以上占めているほど大きな金額でした。

それを捨てでも

お客様のために

と思って、実行しました。

また、喘息の子どもがいたことから全車禁煙にしたり、とにかくお客様に寄り添う理想のタクシー会社を作ることに余念はありません。

長野オリンピックの時もそうです。

長野オリンピック

長野オリンピックの時は当然、メディア関係者が訪れるので、タクシー会社にとっては特需です。

通常の料金設定の2~3倍にしても全ての枠が埋まるくらいです。

でも、中央タクシー会社は、メディア関係者の配車依頼をほぼ全て断ります。

というのも、自分たちがメディア関係者に配車してしまうと、いつも中央タクシーを利用している人が使えなくなるからです。

当然ですが、その時期は、中央タクシー会社の利益は、地域内で最下位の売上になりました。

ですが、その在り方が、地域の人たちに支持され、その後、地域No.1に輝いたのです。

宇都宮さんは「中央タクシー株式会社」の理念をこう語ります。

障害のあるお客様が、ときに障害があるがゆえに、生きる力が萎える時もあると思います。そのときに中央タクシーに乗って、運転手の働いている姿や接遇、人柄に触れたときに、生きていくための力を得ることができるとおっしゃってくれている…このお客さまに、生きているための力を私たちは与えている、つまり、この障害のあるお客様の人生に触れているんだと。私たちは、このおばあちゃんの幸せを作っているのです。こんな素晴らしい仕事はないでしょう(『日本で一番大切にしたい会社3』坂本 光司)

恐らく、ここまで聞けば、

長野県でタクシーに乗るなら中央タクシーに乗りたい

と思うはずです。

タクシーの機能的価値は「ある地点から別の地点へお客様を運ぶこと」です。

でも、それくらいの機能であれば、どのタクシー会社でもできます。

ぶっちゃけどこを利用しても、値段も享受できる機能的メリットも変わらないでしょう。

ですが、多くの人はそうした一般のタクシー会社ではなく、中央タクシーを選ぶのです。

それは宇都宮さんの

  • ストーリー
  • 価値観

を土台にした

中央タクシーを利用してもらうことで、お客様に生きる活力を与える

というブランドの理想への共感があったからです。

どれだけ科学技術が発展して、AIが自動運転で行う価格の安いタクシーが出てきたとしても、ブランドとしての理想に共感してもらえる限り、お客さんは離れていかないでしょう。

ブランドとしての「理想」というのは「数字」と違って、定量化できないからです。

定量化できないからこそ、比較もされないのです。

だからこそ、自分が決めた「ターゲット」の人たちに対して

自分のブランドと関わることで、どうなってもらうことが理想なのか?

を考えてみてください。

理想世界の見つけ方は

  • 人生のストーリーを振り返る
  • リサーチして、価値観を明確にする
  • 仕事の本質を改めて考える

という3種類の方法があります。

まず、最初は人生のストーリーを振り返るという方法です。

「ブランドの理想」というのは宇都宮さんの場合のように、人生のストーリーに眠っています。

というのも、人生のストーリーから生まれない「ブランドの理想」には必然性がないからです。

例えば、これまでの人生で、タクシー業界に何の関わりも持たなかった人が、

乗車していただけるお客様に生きる活力を与えるようなタクシー会社を作りたい

といきなり言っても、聞いてる方は

え?なぜそう思ったの?

と疑問に感じてしまいます。

そして、その問いに対して、明確に答えることはできないでしょう。

当然ですが、疑問に感じられてしまったら、共感されることはありません。

せいぜい

金儲けのために綺麗事並べているだけだろう

と思われてしまいます。

ブランドの理想には「ストーリー」という必然性が必要なのです。

宇都宮さんの場合であれば

  • 労働争議で荒んでいたタクシー会社の再建に取り組んだ
  • 「お前は理想のタクシー会社を作れ」という父親の死ぬ間際の言葉

があったからこそ、あの理想を掲げても違和感がないのです。

また、リサーチすることも有効です

自分の業界の同業者が

  • どういう理想世界を設定しているのか?
  • 何ために事業を行っているのか?

を見るようにしましょう。

同じ業界にいる、色んなプレイヤーを見ることで

  • この方向性は違う
  • この方向性は理想に近い

などの自分の価値観が明確になると思います。

そして、自分の方向性に近いものを参考にしつつ、どれだけ表現自体は、稚拙になっても良いので、言語化してみましょう。

また、その仕事の本質について掘り下げて考えてみることも有効です。

その仕事の本質は

  • 何のために存在しているのか?
  • どんな人のために存在しているのか?
  • 社会でどういう役割があるのか?

というような投げかけをして見えてきます。

仕事の本質について掘り下げないと、切り口は凡庸になってしまいます。

例えば、タクシーという仕事の本質を掘り下げないと

タクシーとは、A地点からB地点にお客さんを運ぶ仕事だ

というような表面的な商品・サービスの機能にしか目が行きません。

ですが、そういう表面的な仕事の捉え方は、誰もがやってることで、ブランドとしての理想も陳腐なものになってしまいます。

だからこそ、仕事の本質をもう一度考えてみるのです。

中央タクシー株式会社は、その仕事の本質に徹底的に向き合うことで

タクシーの役割とは、乗車する人に、生きる活力を与えること

という唯一無二のブランドの理想が見つかったわけです。

さらにいうと、仕事に対する捉え方が変われば、提供する商品・サービスの質も大幅に変わります。

タクシーって客を運べばいいんでしょう?

と思っているタクシー会社と

タクシーは、お客様に生きる活力を与える仕事

とでは、提供するサービスの質が大幅に変わるのは理解できると思います。

実際に中央タクシーでは、自己紹介、ドアサービスだけじゃなく、荷物を運んだり、高齢者には手を貸したり、雨の日に傘を持っていないお客様に傘をあげたり、乗務員さんが自主的に考えうる限りのサービスを提供するそうです。

ブランドの理想というのは、価値の源泉になるというわけです。

とにかくまずは

  • 誰に
  • どうなってもらいたいのか

というブランドとしての方向性を書き出してください。

ブランドコンセプトに昇華させる

では、次に、書き出した方向性を表現としてブラシュアップし、ブランドコンセプトに昇華させていきます。

あなたのブランドはどんなブランドなの?

と聞かれて、一言で明確に伝わる言語化された表現を持っているブランドは非常に強いです。

というのも、消費者に、一瞬で違いや価値を認識させることができるからです。

ブランドコンセプトとは、ブランドの方向性を一言で示す言語化された表現だと考えてください。

では具体的に、ブランドコンセプトを作るための方法について、事例をベースに紹介していきたいと思います。

日本国内に、ワイス・ワイスという家具メーカーがあります。

ワイスワイス
画像出典:https://wisewise.com

この家具メーカーには

  • どこの誰が作ったのかがわかるものだけを売る
  • 国産の木材を使用
  • 作り手にどんな想いがあるのかを大切にする

という大きく分けて3点の方針があります。

では、ワイスワイスでは、なぜ、この3点を重視するようになったのか?

それには代表の佐藤岳利さんの人生のストーリーに大きく関わっています。

佐藤岳利
画像出典:https://www.projectdesign.jp/

佐藤さんは、1988年に大学卒業とともに、乃村工藝社に入社し、東南アジアで、様々な高級ホテルや、百貨店の空間デザインを手がけ、その経験を糧に、ワイスワイスを立ち上げます。

ワイスワイスの経営は、最初は順風満帆で、グランドハイアット東京や日本科学未来館、ゼックス愛宕グリーンヒルズなどの空間デザインを数々担当しました。

ですが、2005年に世の中で起きた「耐震強度偽装事件」をきっかけに、建設業界全体への信用は失墜し、それに加えて、リーマンショックが起こり、建設の新規案件は完全にストップしました。

借金だけが膨らみ、負債総額は1億円以上になり、さらにデフレ不況が進み、業界全体に価格競争の波が押し寄せてくるようになります。

ワイスワイスも、生き残っていくために、中国で、より安く日本向けの家具を作れる工場を探しに行きます。

中国

ですが、そこで佐藤さんは、家具作りについての衝撃的な事実を知ります。

「安く家具が作れる」と評判の工場で、

この家具の木材はどこのものですか?

と工場長に聞いたら、

それには答えられない

と言われたそうです。

なぜかというと、その木材というのが違法木材だったからです。

違法木材というのは、野生動物や先住民族を守るために、伐採が規制されている地域で伐採した違法の木材のことです。

当然ですが、違法木材を伐採すればするほど、生態系は乱れ、野生動物も先住民族も生活できなくなります。

違法木材

ですが、実は日本向けの家具の3割が違法木材だそうです。

経営の前に、人としてやってはいけないことがあるだろう

と思ったそうです。

ですが、ワイスワイスで作っている家具も、その事実を知った当時は、違法木材のチェックは社内でしていませんでした。

だから、とある環境団体の勉強会に出席した際に、

あなたがオラウータンを全滅させている張本人だ

と言われたそうです。

その日、佐藤さんは、あまりにもショックで、電車で帰る気にもなれず、徒歩で4時間かけて、家に帰ったそうです。

街の夜の風景

そして、家に帰って、寝ている子どもの顔を見た時に

この子が大きくなった時に、今の自分の仕事に誇りを持てるのか?

と思ったそうです。

そこからワイスワイスは、

  • どこの誰が作ったのかがわかるものだけを売る
  • 国産の木材を使用
  • 作り手にどんな想いがあるのかを大切にする

という3つの方針をブランドの中心に据えたのです。

激安家具か、高級家具かという二極化している家具業界では異例の方針でした。

このブランドの方針に共感してくれる会社はたくさん出てきて、富士山世界遺産センター、ハウステンボスの変なホテル、スターバックスコーヒーなど有名企業からもオファーが殺到し、息を吹き返したそうです。

ハウステンボス

そんなワイスワイスのブランドコンセプトは

物語のある家具

です。

これだけ一言で明確に表現できると、「どんな○○なのか」が瞬時に伝わるため、価値を認識してもらえやすくなります。

言語化のコツは、とにかくブランドの方向性に関わるキーワードをいっぱい出すことです。

例えば、今回のワイスワイス であれば

  • 家具
  • 国産
  • 日本
  • 繋がり
  • 物語

などですね。

この単語をうまく組み合わせたり、削ったりすることで、ブランドコンセプトは言語化していくことができます。

2-3-2.記号の統一

では、次に「記号の統一」です。

これは何かというと、先ほど設計したブランドの記号を実際に事業に落とし込んでいくというステップになります。

記号は設計するだけでなく、ブランドに関わる全ての場面で、統一されてなければ、意味がありません。

ブランドの記号の統一

特にその中でも意識しておきたいのは

  • 商品設計
  • ブランド体験の設計

の部分です。

商品設計

では、まず商品設計について。

ブランディングをする上で重要になるのは、全てブランドコンセプトから発想することです。

ブランドコンセプトをただ作るだけで、体現していなければ、ブランドを確立することはできません。

例えば、

物語のある家具

というブランドコンセプトを作ったとしても、実際には「どんな思いを持ってようが、とにかく安い違法木材を使う」という経営方針で商品を作っていたら、意味がありません。

ブランドコンセプトは、言い換えるなら、お客様に対するブランドの約束です。

ブランドコンセプト

約束を守らなければ、信用されず、人が集まらないのは目に見えています。

商品・サービスには

  • コンセプト
  • 内容
  • 素材
  • 価格
  • サポート

などの要素がありますが、全てブランドコンセプトから発想しましょう。

ブランドコンセプトに基づかない商品アイディアは全て捨ててください。

例えば、

物語のある家具

を事業の中心軸に据えているのに、いきなり仮想通貨事業に乗り出すとかですね。

そういう何の脈略もない経営判断をすると

このブランドはどんなブランドなのか?

と聞かれた時に簡潔に答えられなくなり、ブランドとしての方向性が消費者から見えなくなります。

「なぜ?」という疑問しか沸かないですし、恐らくその答えは

自社がより儲けるため

だけです。

そこには

  • ストーリー
  • 価値観
  • 理想

がないので、たとえ一時的に売上が上がったとしても、本当に共感して支持してくれるユーザーはいなくなるので、いずれ支持は失いますし、激しい競争に巻き込まれます。

重要なのは、ブランドとしての約束を守れるように、考えうる限り最高のサービスを提供することです。

例えば、私が提供している商品の一つに「ホームページ制作」があります。

ホームページ制作

このホームページ制作で掲げている約束は

ブランドを構築すること

です。

この約束を守るためにはどうすれば良いか?

当然ですが、ただ、ホームページを作り、納品するだけでは、ブランドを構築することはできません。

実際にそのホームページをどう活用していくのか、ブランドコンセプトをどう作るのか、商品・サービスの作成といった領域までアドバイスし、実際に実践してもらう必要があります。

だから、私が提供しているホームページ制作には、納品後、半年間のコンサルティングサポートがついています。

コンサルまでするなんて大変ですね

と言われることもありますが、ブランドとしてそういう約束をしているので、当たり前です。

逆にそういうコンサルティングのサポートまで行わずに、納品して終わってしまえば、

結局、ホームページ作ってもらったけど、ブランド構築ってできなかったな

となって、信用を失い、顧客は離れていきます。

だから、ブランドを作りたいのであれば、死ぬ気で約束を守ることが大事なのです。

理想の商品・サービスを考えると

自社だけでは無理

ということもあると思います。

だったら、その理想の実現に必要なパートナーを探して、協力してもらえばいいのです。

一人だけ、自社だけで、事業の全てを完結させる必要はありません。

むしろ、そうすればするほど、提供できる価値には限界があるので、ブランド構築は難しくなるでしょう。

また

今の自分・自社の能力ではこれくらいの要望しかできない

と理想のハードルを下げてしまってもいけません。

それはシンプルで、ブランドの理想に魅力がなければ、消費者も価値を感じてくれないからです。

そういうことも踏まえた上で、商品・サービスは設計するようにしましょう。

ブランド体験の設計

次に、ブランド体験を設計していきます。

これは「消費者がそのブランドに価値を感じ、ファンになるまでにどういう体験が必要か」を整理するというステップです。

これを考えなければ「知覚品質」も「ロイヤルティ」も高めていくことはできません。

具体的には

  • 認知
  • 興味
  • 理解
  • 検討
  • 購入
  • リピート
  • 口コミ

という要素を使って、ブランドと出会う消費者の行動フローを考えます。

ブランド体験のフロー

認知

まずは「認知」について。

これはどこでブランドを認知してもらうようにするのかを決めるステップになります。

具体的には

  • オフライン:チラシ・DM・看板・雑誌・営業
  • オンライン:ブログ・SNS・広告

といったものがあります。

それぞれの手段によって、アプローチできる層が全く異なってくるので、まずは自分がブランドのターゲットとして決めた人たちがどこにいるのかを把握して、書き出すようにしましょう。

ブランドのターゲットと認知手段のミスマッチが起きてしまったら、どれだけ努力しても報われないことになります。

例えば、「高校生」を集めたくて、Facebookで情報発信をしたらほぼ100%失敗します。

というのも、10代で普通の高校生が、Facebookを使っていることは稀であり、若年層の利用率は低下の一途を辿っているからです。

そんな中でどれだけ一生懸命、記事を投稿しても恐らく、反応を呼ぶことはできないでしょう。

もしそうした層を集めたいのであれば、TwitterやInstagramなどが有効です。

どこで認知させるか?

ターゲットがどこにいるのか分からないという人は、同業者を観察してください。

同業者はどこで認知してもらっているのかを見れば、活路は見出すことができます。

まずはざっくりとでいいので、どこでブランドを露出させるのかを決めましょう。

興味

では、次に「興味」について。

これはブランドの存在を認知した人に

どうやって興味を持ってもらうのか?

を考えるというステップです。

商品・サービスの購入に繋げるには、認知だけではダメで、次に、興味を持ってもらって、ブランドの世界へ一歩入ってきてもらう必要があります。

お店であれば、店内に入店してもらうというわけです。

でも、店内に入店してもらうにも、興味を持ってもらう「要素」を考える必要があります。

ターゲットの人たちが「興味」を持つ場所とタイミングというのは「認知」で考えた場所になるかと思います

例えば、美容院を経営しているとします。

そして、先ほど書き出した「認知」の場面が

  • Instagram
  • Youtube
  • Facebook広告
  • 立て看板
  • チラシ
  • ホームページ
  • ホットペッパービューティー

だったとします。

そうすると、このフィールドで「興味」を持ってもらう必要があるというわけです。

ここで重要なのは

どういう要素があれば、興味を持ってもらえるのか?

を考えることです。

Instagram一つとってもそうです。

Instagramで発信している同業者はたくさんいると思いますが、その中で、自分のお店のアカウントがどういう投稿をすれば、ターゲットの人たちに興味を持ってもらえるのかを考えるのです。

Instagramの投稿

そのお店がウリとしているヘアスタイルの写真をたくさん載せることかもしれませんし、来て頂いたお客様の写真を載せることかもしれませんし、美容師としての自分のスタンスを発信することかもしれません。

とにかく、どうすれば、ターゲットの人たちに、興味を持ってもらえるのかを考えるのです。

これを考えずに、ただ闇雲に、Instagramを作っても、ホームページを作っても、チラシを撒いても、広告を打っても反応は全く取れません。

色んなモデルを参考に、とにかく

こうすれば興味を持ってもらえるんじゃないか?

という仮説を立ててみてください。

そして、その仮説を試してみてください。

もし、ターゲットの人たちが身近にいるのであれば、実際にそのチラシや投稿を見てもらって、意見や感想をもらってください。

そうするだけでも劇的に反応というのは変わります。

仮説は立てた時点で合ってても間違ってても良いです。

やれば結果が出るし、たとえダメだったとしたら、再び仮説を立てて、検証すればいいだけです。

ただし重要なのは、ブランドコンセプトに基づいて全てを設計することです。

興味を持ってくれれば、どんなことをしてもいい

という訳ではないです。

SNSで炎上させたり、過激な宣伝文で煽って、無理やり興味を引きつけたりしても、全く自分が意図した人たちは来ません。

重要なのはターゲットの人たちに好感をもたれることです。

どれだけマーケティングの教科書に書かれているノウハウで合っても、ターゲットの人たちに好感を持たれないのであれば、やめた方がいいです。

それはブランド体験のフロー全体にも言えるので、そこは理解しておきましょう。

理解

では、次の「理解」について。

これはブランドの価値を理解してもらい、「知覚品質」を向上させステップです。

そのブランドに興味を持ったユーザーを購入まで繋げるには、そのブランドの価値を理解してもらう必要があります。

まずは「理解」の場面とタイミングがどこにあるのかを考えて、書き出してみましょう。

例えば、美容院だと

  • ホームページ
  • ホットペッパービューティー

などが「理解」に関わってくるメディアだと思います。

最終的な購入の決断をする際に見る場所だと思ってもらえるとわかりやすいかと思います。

予約する

美容院だとそのページから予約ができるというようなメディアになります。

これも興味の時と同じで、

そのページにたどり着いた人にどうやったら価値を理解してもらえるのか?

を考えることが大切です。

美容院のホームページであれば、例えば

  • ウリが明確
  • ターゲットに刺さる
  • お客様の声がある
  • メディア掲載実績がある
  • メニュー表と価値の説明がある
  • カットやカラーの事例がある
  • 代表者やスタッフのプロフィールがある
  • 理念や価値観やストーリーや人間性が伝わる

といった要素が考えられます。

これも仮説を立ててみて、検証していきましょう。

ターゲットの人たちに実際に見て、感想をもらうのも有効です。

検討

また、そのページを見て、即決して来てくれる人もいれば「検討」されることもあります。

「検討」が発生するのは、何かブロックがあって、購入までの決断ができないという事態が起きてるのです。

その場合も

どこが購入の際のブロックになってるんだろう?

と考えることが大切です。

これも合ってても間違ってても良いので、とにかく仮説を立てて、検証していきましょう。

購入

そのブロックを超えることができれば、「購入」にいたります。

そして、「購入」に至ったら、実際にその商品・サービスを「使用」することになります。

そして、重要なのは、その後の顧客のアクションです。

リピート & 口コミ

もし、その商品・サービスを受けて、価値を感じてもらうことができれば

  • リピート
  • 口コミ

に繋げることができます。

この2つのアクションに繋げることができるかどうかが、ブランディングを成功に導けるかどうかの鍵になります。

どれだけ認知してもらい、興味を持ってもらって、価値を理解してもらって、購入してもらっても、その後、リピートもされない、口コミも起きないようでは、ザルに水を注ぐようなものです。

ずっと必死で、新規集客し続けないといけないハメになります。

ですが、「ブランド・ロイヤルティ」が高いと、リピートと口コミを引き起こすことができます。

これも仮説を立てて、検証していきましょう。

もし、リピート率が低いのであれば、

なぜ、リピート率が低いのか?

を考えてみてください。

リピート率向上の指標を一つ示しておくと、サービス体験後も、新規顧客と継続的な関係性構築の仕組みを作れているのかは重要になります。

ブランドを確立させるために重要なのは、いかに顧客と深い関係性になれるかです。

深い関係性を築くとは

  • 親友
  • 家族
  • 仲間

のような関係になれるかどうかということです。

どれだけ競合他社に同じクオリティーの商品・サービスを提供することができようが、深い関係性があれば、顧客から選ばれ続けます。

  • 親友
  • 家族
  • 仲間

には定期的に会いに来ますし、裏切るようなことはしません。

では、そのような関係になるためにはどうすればいいのか?

考えてみましょう。

  • メルマガを送る
  • DMを送る
  • ニュースレターを送る
  • 名前や話したことを覚える

色んなアイディアが出てくると思います。

とにかく最初は名前と存在を忘れられないようにするのがポイントです。

では、口コミはどうやって起きるのか?

これも仮説を立ててみましょう。

口コミが起こる指標を一つ示しておくと「感動があるか」が重要になってきます。

感動は、当初の想像を遥かに超えるものと出会ったときに生まれます。

例えば、これは「次のiPhone8はこうなのではないか?」と予想して作られた動画です。

ぜひ、少し再生してみてください。

画面が左右に展開し、これまで自分が知っているiPhoneとは全く違った、しかも想像の上をいくものが出てきたと思います。

この動画は当時、インターネットでとても話題になり、Youtube上で「1500万回以上」も再生されました。

感動体験があるものは口コミも起こるのです。

一つ企業の事例も紹介しておくと、リッツ・カールトンも有名です。

アメリカのフロリダのリッツ・カールトンで実際にあった話なのですが、従業員が砂浜もビーチチェアを片付けていた時に

今夜ここでプロポーズをしたいから、ビーチチェアを残しておいてくれないか?

と宿泊客の男性から言われたそうです。

砂浜にビーチチェア

普通に対応が柔軟なホテルであれば、ビーチチェアを彼のために残して置くでしょう。

ですが、リッツ・カールトンは、その想像を遥かに超えるサービスを提供していたのです。

その従業員は、ビーチチェアだけではなく、テーブルも一つ残し、そこに真っ白なテーブルクロス、花、シャンパンを飾り、プロポーズの時に男性の膝が砂で汚れないように、タオルも一つ用意しました。

そして、その従業員はタキシードを借りて、着替えて、準備を整えて、そのカップルが来るのを待っていたそうです。

普通、ここまでやらないでしょう

というようなものは感動を生みやすいです。

そのためには、普通、どの程度、サービスに期待しているのかというお客さんの「期待値」を考えるのはとても有効です。

例えば、美容院に行けば、大体、どういうサービスが体験できるか、接客を体験できるのかっていう一般的なイメージってあると思います。

その一般的に抱いている「期待値」を遥かに超えるために何かできないか?を考えるということですね。

これもアイディアや仮説をどんどん出して、検証していきましょう。

ブランディングデザイン

最後に、ブランディングデザインについて。

デザインは、ブランドの「知覚品質」を向上させるためにはなくてはならない要素となります。

というのも、人間は情報の87%を視覚から受け取ると言われているからです。

デザインは、ブランドの世界観を非言語で一瞬で伝えることができます。

例えば、これは先ほど紹介した今治タオルの商品です。

今治タオル
画像出典:http://imabari-towel.jp/

この商品デザインを見るだけで、たとえ今治タオルのことを知らない人でもその品質の高さというのは伝わってくると思います。

ブランド体験の設計で「興味」を持ってもらうことの重要性を話しましたが、デザインが良いだけで「興味」を持ってもらうことができます。

商品が同じでも、パッケージが例えばコンビニで売られているような透明のビニールにこの商品が入っていれば、見向きもされないと思うのは想像できると思います。

それだけデザインの重要性というのはブランディングにおいて大きいのです。

また、良いデザインとは、ブランドコンセプトが体現されているデザインです。

なんとなく、お洒落とか、可愛いとか、美しいだけではダメです。

それではブランドコンセプトをユーザーに伝えることができないので、集めたい人とは違う人が集まってきたり、ブランドとしての世界観が崩れてしまったりします。

今治タオルのパッケージデザインを見れば分かると思います。

シンプルに、今治タオルの品質の高さが分かるようなデザインに仕上がっています。

これがパッケージが派手で、カラフルなデザインだったら、伝えたいブランドの世界観が崩れるのは理解できると思います。

なので、デザインを依頼する際には、ブランドコンセプトを体現できるデザイナーを選ぶようにしましょう。

ブランドコンセプトを体現できるデザイナーは

  • なぜ、このカラーを選んだのか?
  • なぜ、このフォントを選んだのか?
  • なぜ、このレイアウトなのか?

などを明確に説明できます。

これは依頼する際の基準にすると良いと思います。

また、デザイナーと方向性をすり合わせるためにも、デザインのテイストのキーワードを予め準備しておくのもいいでしょう。

  • シンプル
  • 高級
  • スタイリッシュ
  • ポップ
  • 可愛い
  • にぎやか
  • クール
  • 堅め
  • 清潔感
  • 爽やか
  • イラスト
  • 漫画風
  • 手描き感
  • 和風

など、どの方向性が合っていて、どの方向性が違うのかは明確にしておくと良いですね。

また、ブランドとのタッチポイントを整理することも大事です。

これはブランド体験の一連の流れを想起してもらえるといいと思います。

ブランド体験のフロー

その場面の中で、消費者や顧客がブランドと触れ合い、視覚情報を得るポイントを整理してください。

例えば

  • ブログ
  • SNS
  • 広告
  • ホームページ
  • 広告のバナー
  • チラシ
  • 店舗の内装と外装
  • パンフレット
  • 商品パッケージ
  • ニュースレター

といったものが考えられます。

ここからブランドの視覚情報を受け取るので、この項目をブランドコンセプトに基づいて、デザインしていきます。

当然ですが、全体のメディアでのデザインの統一感も重要になってきます。

統一感がなければ、たとえ同じブランドが発信していても、認知されづらいですし、伝えたい世界観がバラバラになるので、人の記憶に残りにくくなり、凡庸な印象になります。

これは使える予算にもよるかと思いますが、可能な限り、全てデザインするようにしましょう。

無理な場合は

  • 直接的に成約に繋がるもの
  • 集客の入り口になるもの

を優先的にデザインを進めてください。

2-3-3.認知の拡大

では、続いては、認知の拡大について。

ブランドの記号の設計と統一が終わったら、後は、認知してもらえばしてもらうほど、新規顧客が増えて、その人たちが更にファンとなり、リピートや口コミが増えていくというスパイラルが生まれていきます。

ブランドのプロモーション

認知の拡大の手段は

  • オンライン
  • オフライン

共に様々な手段があるので、一つずつ解説していきたいと思います。

基本的にどの集客方法を選んでもらっても認知を拡大させていくことはできます。

ですが、覚えてもらいたいのは、すべての集客方法があなたに合うという訳ではないということです。

それは一人ひとりによって

  • 業界
  • ターゲット層
  • 使える時間
  • 使えるお金
  • コンテンツ形式の得意・不得意
  • スキル

の差があるからです。

なので、それを意識しながら、どの手段を選ぶかを考えてみてください。

そして、最初は手を広げすぎないことも大切です。

最初から、ブログも、Instagarmaも、Twitterも、チラシも、DMもとやっていくと、エネルギーが分散して、疲弊していきます。

まず、重要なのは、どの手段を選んでも良いので、一つに絞って、成功パターンを掴んでください。

成功パターンが見えるとは

このやり方を続けていけば、結果が出る

ことはっきり見えるようになることです。

そして、余裕が出てきたら、別のものに手をつけるのもいいでしょう。

また、メディアによって、自分が集めたいターゲット層がいるメディアとそうじゃないメディアがあります。

その見極めは非常に重要で、自分のターゲット層がいないメディアでいくら頑張って発信しても、集めることはできません。

見極め方は、自分と同じようなターゲット層に対して発信しているメディアが上手くいってるかどうかを見てください。

SNSであれば、フォロワーなどが指標になると思います。

それを意識して、以下を読み進めていってください。

ブログ

まず、最初はブログですね。

ブログで認知が拡大する流れは

  • ブログ内に記事を投稿する
  • その記事をユーザーが読みに来る

という形で非常にシンプルです。

基本的には、自分が書いたブログ記事のテーマに興味がある人が、その記事を見つけて読みにきます。

例えば、整骨院を営んでいて、肩こりの原因について記事を書けば、肩こりについて悩んでいる人が見に来るというわけです。

これがブログの原理原則です。

なのでポイントになるのは、自分が定めたブランドターゲットの人が興味を持ってもらえるような内容を書くことです。

整骨院を営んでいるのに、カレーの作り方というような記事を書いていても、カレーの作り方を知りたい人が集まるので、直接的な集客には繋がりません。

では、ユーザーはブログ記事をどのように見つけるのか?

大きく分けると

  • 検索エンジン
  • SNS

から見つけにきます。

まず、検索エンジンについて。

世の中の多くの人は、日々、自分の興味や関心に従って、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使って、検索しています。

例えば、肩こりに悩んでいる人は「肩こり 原因」などで調べています。

「肩こり 原因」の検索結果

そうすると、検索結果に、肩こりの原因について書かれたサイトのページやブログ記事が出てきます。

そして、この中から何かページを選んで見に行くという形でサイトに訪問します。

これが検索エンジンからのブログ記事を見にきてもらう方法です。

肩こりに悩んでいる人は多いので、もし、整体院を営んでいて、自分のブログがこの検索結果の上位に表示されると、毎月、凄い人数の見込み客が集まってきます。

実際にこの方法であれば、自分が書いた1記事で、毎月数千人を集めることも可能ですし、たった一つのサイトで毎月数十万人の人と接点を持つことも可能です。

ただポイントになるのは、ちゃんと見込み客が検索しそうなキーワードでブログ記事を書いて、検索結果の上位に表示させることです。

1ページ目に表示されると、多くの人に見られる可能性が高まりますが、2ページ目以降になると、あまり見られませんし、10ページ目とかになると、ほぼ絶望的でしょう。

だから、検索エンジンからの集客を見込む人は、こぞって検索結果の上位に表示させるようにブログを運営します。

これをSEO対策と呼びます。

SEO対策

検索順位は、Googleがアルゴリズムを定めており

「肩こり 原因」と調べたときにはこの記事を検索結果の上位に表示させよう

と決めています。

Googleが上位表示させるのは、ユーザーにとって価値のあるサイトです。

検索してくるユーザーは何か悩みや興味や不安を持って、検索キーワードを入力して調べ物をしています。

それに応えるコンテンツを提供するサイトを優遇します。

それはGoogleの共同創業者であるラリーペイジの

完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致する答えを返すものである

という発言からも分かる通りです。

至極、当然なのですが、Googleという検索エンジンを利用して、自分のニーズに答えてくれるのであれば、ユーザーは満足し、Googleという検索エンジンを利用し続けてくれます。

Google

そして、Googleを利用してくれる人数が多ければ多いほど、Googleに広告を出稿する企業も増えていきます。

だから、ユーザーファーストのサイトを優遇するのです。

だから、検索結果で上位表示させるためには

  • ブログ記事の質
  • 被リンクの獲得

などがポイントとなります。

検索してくる人たちの意図を汲み取り、それに答えて満足してもらうようなコンテンツを用意します。

これがまず何よりも重要です。

どのサイトよりも高い質の記事を書くということです。

そうすれば、他のサイトや、SNSなどで

このサイトのこの記事は素晴らしい

と話題となり、多くの人がリンクを貼ってくれるようになるでしょう。

これが被リンクの獲得です。

被リンク

被リンクはユーザーからのそのブログに対する推薦状みたいなものです。

だから、Googleはそうした要素も重要視します。

検索結果の1ページ目は、10サイトしか表示されません。

そこには、競争があります。

当然、多くの人が検索するようなキーワードを狙って書けば、ライバルも多いので、より質の高い記事が求められます。

近年のSEO対策の傾向ですが、記事の質が高ければ、サイト全体の記事数は不要になりました。

仮にウェブサイト内に3〜5記事ほどしかなくても、競合が多いキーワードで上位表示されるサイトの事例はたくさんあります。

ただし、記事の文字量はテーマによっては1万字を超えることも多く、とにかくユーザーファーストを追求して、記事を書けるかどうかがポイントになります。

もし、あなたがSEO対策に取り組むのであれば、WordPressというブログを使用することをお勧めします。

WordPress

WordPressは世界中で使われているブログのプラットフォームなので、機能が豊富ですし、使いやすい。

そして、何よりも検索エンジンからの集客にも強いと言われています。

Googleの検索エンジン部門の責任者だったマット・カッツ氏も「WordCamp San Francisco」の講演でこう述べています。

マットカッツ
画像出典:https://matome.naver.jp/

ワードプレスを選ぶことは、非常に良い選択です。なぜなら、ワードプレスは、SEOに関する多くの問題を自動的に解決してくれて、SEO(サーチエンジン最適化)の手法の80%~90%に対応するように作られているからです。

と述べています。

また、検索やSNS以外から集客できるブログもあります。

それがアメブロです。

アメブロはブログなのですが、SNS化しており、ユーザーと交流するシステムが内在しています。

ネットワーク

読者登録やメッセージのやり取りがあったり、グルッポという共通のテーマを目的にしたサークルのようなものがあったり、という従来のブログにはないシステムがあります。

毎月数十万人以上が集まるようなブログを作ることは非常に難しいですが、交流できる機能があり、比較的早く、ブログの立ち上げ段階からアクセスを集めることができるので、こちらでも集客することは可能です。

重要なのは、少ないアクセスでも成約するような動線を作ることです。

これはアメブロでもWordPressでも同じです。

そのサイトを見るだけで、商品・サービスが購入したくなるような設計ができていれば、膨大なアクセスを集めることに躍起になる必要はありません。

だからアメブロでも集客していくことは可能です。

Twitter

では、続いてはTwitterについて。

Twitterは

  • コンテンツの発信
  • ユーザーとの交流

を軸にしたSNSになります。

後述する他のSNSも同様ですが、影響力を持つためには

  • 自分の発信を読んでくれるフォロワー数
  • フォロワーが反応するコンテンツ

が必要になります。

Twitterは「ツイート」と呼ばれる140文字以内の「テキスト」を中心にしたコンテンツを配信します。

このツイートが読まれるためには、あなたの発信を読みたくて、フォローする人がいないと読まれません。

Twitterのプロフィール画面

あなたのことをフォローしたユーザーは、自分のTwitterのタイムライン(ホーム画面)に、自分のツイートが表示されるようになります。

これで自分のコンテンツが見られるようになるという訳ですね。

Twitterのホーム画面

だからこそ、フォロワーの数というのはTwitterの影響力を示す一つの指標になります。

そして、ユーザーは、自分のタイムラインに流れてくるツイートに対してアクションを起こします。

Twitterでは

  • いいね
  • リツイート
  • コメント
  • ブックマーク

の4つのアクションがあります。

Twitterではこの4つのアクションを起こされると、あなたのツイートは拡散され、さらに多くの人に読まれます。

具体的にいうと、あなたのツイートにリアクションしてくれたフォロワーの人のさらにフォロワーにそのツイートが読まれるのです。

ツイートの拡散の仕組み

なので、重要になってくるのは、フォロワーの人が思わず、リアクションしてくなるようなツイートを作成することです。

リアクションされなければ、たとえ1万人のフォロワーがいたとしても、拡散されず、ツイートは読まれないので、あまり意味がありません。

とにかくこのような原理でTwitterというメディアは成り立っています。

Twitterで影響力を持つための具体的なアクションとしては

  • ツイートの作成
  • 他のユーザーとの交流

がメインになります。

ツイートは、最低でも、1日3~5ほど作成する必要があります。

Twitterは資産型のコンテンツであるブログとは違って、フロー型のコンテンツになります。

ブログというのは自分のブログ記事が検索結果の上位に表示されれば、たとえその記事を書いてから1年以上経っても、新規の接点を集め続けることができます。

自分のブログ記事を「肩こり 原因」で上位表示させたとしたら、人類が肩こりの悩みを持たない日が来るまで、検索され続けるからです。

一方でツイートというのは、今のものが優先的に表示されて、過去のコンテンツは後ろに流されていくので、時間が経てば経つほど見られなくなります。

これはどのSNSでもそうなってますが、Twitterはそのスピードが特に速いです。

「140文字で投稿できる」という手軽さがあるので、多くの人が1日に複数のツイートを投稿するからです。

なので、Twitterは毎日コンテンツを更新していくというのが基本スタイルになります。

たとえ、フォロワーが10万人いても、数ヶ月投稿されなくなれば、反応率はガクッと下がってしまいます。

Twitterは、国内の月間アクティブユーザー数が4500万人で、利用者の平均年齢は35歳ほどです。

10~20代の若者も多く使うメディアなので、そのことも踏まえた上で、Twitterを利用するかは決めてください。

Instagram

では、次にInstagramについて。

InstagramもTwitterと同じくSNSなので、

  • コンテンツの発信
  • ユーザーとの交流

を軸にしたメディアになります。

コンテンツの発信に関して、Twitterと大きく異なるのが、画像を中心としたメディアだということです。

ユーザーのタイムラインもこのように大きく画像が表示されるコンテンツが流れてきます。

Instagramのタイムライン

一応、画像の下にテキストを埋め込むこともできますが、画像に比べると補助的になります。

ただ、その他の仕組みは、Twitterに似ています。

影響力を持つためには

  • 自分の発信を読んでくれるフォロワー数
  • フォロワーが反応するコンテンツ

が同じように必要になります。

Instagramは国内のユーザー数が爆発的に伸びており、ユーザーの月間のアクティブ数が84.7%なので、一度登録したら、継続的に使い続けるメディアになっています。

利用者層は、20~30代が最も多く、続いて40代の方が利用しています。

もちろん、10代のInstagramの利用率は非常に高いです。

黎明期は、若い女性が中心として使うメディアでしたが、今となっては男性も使うメディアとなっています。

Instagramの攻略のポイントは「コンテンツ」です。

Instagramのコンテンツは画像が中心なので

  • 画像加工技術
  • 写真撮影技術

があると、より有利にメディア運営を進めることができます。

Twitterのように、人の心を掴むような文章力は求められません。

また、Instagramは、Twitterのように1日の中で、投稿を何度もする必要はありません。

多くても1日1投稿もしくは、2日で1投稿で十分です。

それくらいの更新頻度でも運営していけることも考えた上で、Instagramを利用するかを検討してみてください。

Facebook

では、続いてはFacebookについて。

Facebookも

  • コンテンツの発信
  • ユーザーとの交流

を軸にしたSNSになります。

コンテンツの形式はブログとInstagramの中間のようなイメージで、

  • 画像
  • 文章

がバランスよく入ったコンテンツを投稿することになります。

Twitterよりも文字数は多くても投稿することができます。

300文字〜1000文字くらいのイメージですね。

Facebookのタイムライン

コンテンツが拡散していく仕組みは、

  • コンテンツを投稿
  • 友達(フォロワー)がそのコンテンツを見る
  • リアクションをして、拡散

という形なので、Twitterと非常に似ています。

コンテンツもフロー型です。

なので、定期更新は求められます。

ただし、重要なのは、Facebookは「拡散性」はあまりないです。

Facebookが最初に普及したときには、Twitterのように拡散性があったのですが、今はもうありません。

というのも、Facebook社は

世界をよりオープンにし、繋げる

というミッションを

世界の繋がりをより密にする

に変えたからです。

創業者のマークザッカーバーグは、人々が繋がっていくためのツールを提供すれば、世界は良くなると考えていたそうなのですが、実際はそうはならず、その繋がりをより深くしていくことこそが重要だと考えたそうです。

マークザッカーバーグ
画像出典:https://www.itmedia.co.jp/

なので、2018年に、Facebookは大きくアルゴリズムが変わり、家族や友人の投稿がより優先的に、自分のタイムラインに表示されるようになりました。

それに伴い、Facebookの拡散性というのは少なくなったというわけです。

自分の投稿を露出させるためには、Facebook広告を使うしかありません。

なので、Facebookは「認知拡大」のためのメディアというよりも、一度、接点を持った人と「関係性を深める」ためのメディアだと捉えるといいでしょう。

実際にFacebookに備わっている「Facebookグループ」などは、他のSNSにはない人との繋がりを深めていくのに最適です。

オンラインサロンなどでも幅広く利用されています。

また、Facebookの利用者数は、2600万人ほどで、TwitterやInstagramよりアクティブには使われていません。

また、10代はほとんど利用しておらず、30~40代の社会人が中心として利用しています。

プライベートな発信して利用するというよりも、パブリックな活動の発信する場として使われています。

また、Twitterのように匿名文化ではなく、本名でアカウントを利用することが基本となっています。

その点も踏まえた上で、利用を検討するようにしましょう。

Youtube

では、続いてはYoutubeについて。

Youtubeも

  • コンテンツの発信
  • ユーザーとの交流

を軸にしたSNSになります。

コンテンツ形式は、動画になります。

なので、必然的にYoutubeで発信するとなると

  • 撮影技術
  • 編集技術
  • トーク力
  • 機材

などが必要になってきます。

Youtubeはアクティブユーザー数が日本国内で6200万人(2018年時点)おり、10代〜50代まで幅広い年齢層の人に利用されています。

最近では、芸能人も多く参入してきており、テレビよりもYoutubeを見るという人がますます多くなっていくでしょう。

なので、非常に大きな可能性を秘めたメディアであり、ジャンルにもよりますが、チャンネルの規模が大きくなれば、とてつもない規模の人たちと接点を持つことが可能です。

恐らくSNS中で一番、認知度を高めることができるメディアです。

また、コンテンツ形式が動画なので、より話し手の人柄などのリアルな雰囲気が伝わり、価値観や理念に共感するようなファンは作りやすいメディアとなっています。

Youtubeでは

  • 視聴時間
  • 視聴維持率

がとても重視されます。

要するに、投稿した動画が、どれだけ長い時間再生されていて、離脱されずに見られたかということですね。

もし、視聴時間が長く、視聴維持率が高いのであれば、他のユーザーが投稿した動画の横にある関連動画に表示されたり、

Youtubeの関連動画

動画に関連するキーワードで検索したときに上位に表示されたり

Youtubeの検索結果

動画の配信テーマに興味がありそうなユーザーのホーム画面におすすめとして表示されたりします。

Youtubeのホーム画面

そのためには一言でいうと「見ていて面白いチャンネル」を作る必要があります。

Youtubeは、ただ闇雲に動画を投稿し続けていれば、結果が出るというものではありません。

実際に、1000本動画を投稿しても、チャンネル登録者数が1000人以下のチャンネルも存在します。

一方で、動画のクオリティが高ければ、50本しかないけど、50万人を超える登録者数がいるチャンネルもあります。

全ては動画の質を追求していくことで認知を拡大することができます。

質の低い動画を毎日投稿するよりも、週に1〜2本でもいいので、質の高い動画を投稿することがYoutube攻略の肝になります。

なので、それを踏まえた上で、Youtubeを活用するか決めていきましょう。

インターネット広告

では、続いては、インターネット広告について。

これまで紹介してきたブログやSNSというのは基本的に無料で運営して、時間と労力をかけて、コンテンツ投稿と交流を行うことで、認知を広げていくことができます。

一方で、インターネット広告は、そうしたメディアでの情報発信にかかる時間と労力の手間を広告費を支払うことによって、ショートカットすることができます。

インターネット広告の最大の強みは「スピード感」です。

どれだけメディアで情報発信をしたことがなくても、広告を出稿すれば、すぐに露出させることができます。

インターネット広告は大きく分けて

  • 直接的に購入に繋げる
  • 間接的に購入に繋げる

2種類の広告があります。

まず、直接的に購入に繋げる広告について。

直接的に購入に繋げる広告

この広告の代表例がリスティング広告です。

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!の検索エンジンを使用した時に、上部に表示される広告のことです。

リスティング広告

リスティング広告とは検索型連動広告と言われていて、基本的に検索キーワードと連動して表示されます。

この広告の特徴は「今すぐ商品を購入したい!」と思っている層をピンポイントで狙って集めることができるということです。

商品・サービスを購入してもらうには、ニーズが顕在化している人の方が購入してもらえる可能性があります。

例えば、ダイエットサプリメントを販売する際に

このままじゃヤバイ…痩せなきゃ

と強く思っている人と、別に痩せなくても良いと思っている人とでは明らかに購入する可能性が違うのは理解できると思います。

そして、「今すぐにでも痩せたい」と強く思っている人たちは「ダイエット サプリメント おすすめ」というようなキーワードで検索しています。

リスティング広告を出稿すれば、ユーザーがそのキーワードで調べた時に、自分のWEBサイトを表示させることができます。

それでサイトを訪問してくれた一定のユーザー数が商品・サービスを成約するというわけです。

リスティング広告は、とにかく結果が出るまでの時間は早いです。

広告を出稿したらすぐに結果がわかります。

もちろん、上手くいかないこともありますが、その場合はデータを収集して、改善していくことになります。

リスティング広告で成果を出すためのポイントは「品質スコア」を上げることです。

品質スコアというのは

  • 関連しているキーワードで出稿されているか
  • 誘導ページの品質は高いか
  • 広告のクリック率は高いか

といったことが基準となる広告の品質の高さのことです。

これによって、どの位置に広告が表示されるか、そして、自分で決めるクリック単価の上限で広告費が決まります。

大手企業が参入するような競合が多いジャンルによっては、リスティング広告は上手くいかない場合もあります。

大手企業は膨大な予算があり、多少赤字が出ていても、ずっと広告を出し続けますし、品質スコアを上げるために、ありとあらゆる手段を講じることができるからです。

ですが、基本的に、自分でクリック単価の上限を決めることができるので、ちゃんと費用対効果などを計算し、データ分析をしていった上で、広告出稿をしていけば成果を出していくことは可能です。

ただ、リスティング広告は、

  • 商品・サービスの内容が不明瞭
  • 競合他社と比べて独自性がない商品
  • ブランド力がない商品
  • 世の中にはない新ジャンルの商品

を目的にする場合には相性が悪くなることが多いです。

まず、基本的に誘導先の1ページで伝える必要があるので、無形の商品で説明をかなり必要とするものは売りにくいです。

また、誘導先のページにくる人は、初めてそのブランドを知る場合が多いので、基本的には同じ枠で出稿している競合他社と比較されてしまいます。

なので、その際に、商品の独自性がなかったり、ブランド力がなければ、選ばれにくくなります。

また、検索キーワードをベースにした広告になるので、まだ世の中で認知されていない新ジャンルの商品を売り出すことは非常に難しいです。

それに関するキーワードを誰も調べていないからです。

その点も踏まえた上で、リスティング広告を活用するかは決めていきましょう。

間接的に購入に繋げる広告

では、次に、「間接的に購入に繋げる」ことを目的にした広告について。

リスティング広告はいきなり成約に繋がることが魅力ですが、成約に繋がらなければ、ユーザーは去っていきます。

また基本的には比較検討されるので、価格競争に巻き込まれることも多いです。

また、ブランド力や実績がなければ成約させることは難しいです。

そんな場合におすすめなのがこの間接的に購入に繋げる広告です。

これはまず、購入に直接繋がるページではなく、

  • ブログ
  • SNS
  • メルマガ
  • LINE

といった他のメディアに誘導する広告です。

まず、このメディアに誘導することで、存在の認知してもらい、継続的に情報発信を受け取ってもらうことができるようになります。

継続的な情報発信を受け取ってもらう中で

  • 価値観
  • ブランドの理想
  • ストーリー

に共感してもらうこともできますし、商品・サービスの価値を理解してもらうこともできます。

特に「登録」という概念がある、LINEやメルマガでは、そうしたブランドの理想に共感してもらうには最適なメディアとなります。

間接的な購入に繋げる代表的な広告を挙げると、

  • Facebook広告
  • Twitter広告
  • Youtube広告
  • ディスプレイ広告

などがあります。

どの広告も基本的には

  • 性別
  • 年齢
  • 地域
  • 興味・関心
  • リスト

などの属性に基づく詳細なターゲットを設定して、運用する広告になります。

課金形式はリスティングのようにクリック型のものもありますし、露出するだけで広告費が発生するものもあります。

この広告もちゃんと費用対効果を計算し、出稿し、データ分析をし、改善していくことで、成果を出していくことは可能です。

チラシ

では、続いてはチラシについて。

チラシは、オフラインの広告ですね。

店舗集客などには最適で、何よりもリスティング広告と同様に、撒いたらすぐに結果が出るのが魅力です。

平野製麺所のチラシ
画像出典:https://desinfinity.net/

実際にチラシを撒き出して、2~3ヶ月で売上が数倍になった例もあります。

このチラシ集客では

  • どんなチラシを作成するのか
  • 少額から投資し、仮説検証をすること

がポイントになります。

まず、断言しますが、チラシはデザインができるプロの制作業者に依頼しても結果が出ないことが多いです。

というも、チラシでいかに反応をとることができるかというマーケティングの視点を持って、デザインをできる人が凄く少ないからです。

プロのデザインが綺麗なチラシの事例集などを参考に作っても全く反応は取れない

と言うのはチラシ集客で成功されている店舗経営者がよく言われていることです。

また、チラシで反応が取れる基本の型というのは大体決まっています。

それを踏まえた上で、チラシは作成しないとどれだけ広告費をかけても上手くいきません。

実際に新聞折り込みに50万円を投入したけど、5人しか店舗に足を運ばなかったというような事例もあります。

とにかく重要なのは、基本型を抑えて、作ってみて、撒いてみて、テストして反応を見ることです。

いきなり高額な広告費を使わないでください。

また、最初は毎月1万部〜2万部の間でテストしながら、これで撒けば、十分利益が見込めるようになるというラインを見極めてから、徐々に広告費を増やすのがコツです。

というのも、基本型を踏まえても、実際にそのチラシで反応が取れるかどうかは、撒いてみて反応をみなければ分からないからです。

もしかしたら、同じエリアで同じ型を使っている競合他社がいるかもしれません。そうした場合は、反応はやはり落ちます。

そして、結果が出たら、仮説検証していくことが非常に重要です。

チラシの仮説検証サイクル

もし、反応率が悪ければ、このチラシのどこが悪いのか、仮説を立ててみましょう。

自分で考えるだけでなく、ターゲットと想定している数人に実際に見てもらって、意見をもらうのもいいと思います。

それを踏まえた上で、修正し、再び撒いてみるということを繰り返してみてください。

また、チラシの中身だけでなく、撒いてるエリアが悪い可能性もあります。

例えば、瓦屋根の修理のチラシなのに、マンションに撒いているとか、それは良いチラシを撒いても反応が取れません。

また、チラシで集客して、新規顧客になった人は本当に大事にしてください。

例えば、美容院を経営していて、チラシを撒いて、それを見てきてくれた人がいるなら、

  • 毎月ニュースレターを送る
  • 担当美容師のInstagramをフォローしてもらって感謝のメッセージを送る
  • 美容院の公式LINEに登録してもらう

など、存在を忘れられないこと、関係性を深めていけるような施策を取るようにしましょう。

これを怠ってしまうと、永遠に新規集客し続けないといけない地獄にはまっていきます。

リピーターが増えていけば、新規集客にそこまで力を入れなくても、ビジネスは軌道に乗るようになっていきます。

ファンがどれだけいるかどうかで売り上げの安定度は決まります。

DM

では、続いてはDMについて。

DMもチラシと同様にオフラインの広告です。

もしかすると、DMという手段は古いと思われているかも知れませんが、DMの「開封率」や「行動率」は驚異的なものがあります。

日本ダイレクトメール協会が毎年実施している「DMメディア実態調査」によると、自分宛のDMの開封閲読率は80%を超えており、さらにそこから

  • ネットで調べた
  • 家族や友人との話題にした
  • 店に出かけた
  • 購入・利用した
  • 資料請求した

などの行動に移した人は19.5%もいたそうです。

実際にBMWなどでも25年以上前からショールームイベントの集客はDMにかなりの予算を投じて制作しているそうですし、街の小さなクリーニング屋さんや飲食店などでもDMで集客を成功させた事例はたくさんあります。

BMWのDM

DMには

  • 宛名ありのDM
  • 宛名なしのDM

の2種類があります。

宛名ありのDMはもう既に顧客リストを持っている人が使うタイプのDMですね。

休眠客にもう一度、来店してもらったり、既存顧客に商品のリピート購入を促したりする際に使われます。

DMは本来、リストを所有している必要があったのですが、今はリストを所有してなくても、エリア指定をして送ることができるタイプのDMもあります。

それが宛名なしのDMです。

新規顧客を集めるためのDMだと考えてもらえばOKです。

具体的には、日本郵便がサービスとして提供している「タウンプラス」が有名です。

DMもチラシ同様に

  • どんなチラシを作成するのか
  • 少額から投資し、仮説検証をすること
  • 新規顧客と関係性を深める施策をすること

などは重要になってきます。

プレスリリース

では、最後にプレスリリースについて。

プレスリリースとは、一般的にはテレビ、雑誌、新聞、WEBサイトなどのメディア向けの企業・団体の公式発表のことをプレスリリースと呼びます。

このプレスリリースも上手く活用すれば、ブランドの認知度を高めていくことができます。

中でも最も認知度を高めることができるのは全国放送のテレビ番組ですが、その広告効果は3000万円にも換算されると言われています。

実際に、旭酒造の「獺祭」は、その取り組みが「毎日新聞」「日経ビジネス」「カンブリア宮殿」などに取り上げられたこともあって、認知度を高め、今や入荷すればすぐ売り切れる、誰もが知るお酒になることに成功しました。

獺祭

今、このプレスリリースを活用することは、大きなチャンスがあります。

というのも、今はマスコミの業界の構造変化があり、番組枠やニュース枠は増えているのに、採用人数は年々絞る傾向にあり、報道関係者の数が減っているからです。

どのメディアも、報道するネタに飢えているからです。

プレスリリースを実行する基本の流れは

  • タイトル
  • 内容説明
  • 会社概要・連絡先

を記載した文章を作成し、郵送、FAX、電子メール、持ち込みなどの手段で、メディア関係者に送付するというやり方です。

基本的に、メディアには毎日、多くの団体からプレスリリースが送られてくるので、興味を持ってもらうために工夫する必要があります。

テレビ東京に10年間在籍し、「ワールドビジネサテライト」や「ガイアの夜明け」のディレクターをつとめ、500社以上の中小企業やベンチャー企業を、番組で取り上げたことがある下谷一良さんは、そのポイントをこう語ります

テレビに何度も出て成長し続ける企業には、共通の特徴があるということ。それは、共通の型の「ストーリー」を持っているということでした。ストーリーによってテレビに出続けるには、商品に際立った特徴は全く必要ないという意外な事実も同時に見えてきたのです。(『タダで、何度も、テレビに出る! 小さな会社のPR戦略』下谷一良)

と語っています。

旭酒造の獺祭も、その取り組みがメディアに取り上げられたのは商品の良さだけではなく、ストーリーに価値があったからです。

獺祭を世に送り出したのは旭酒造の代表の桜井博志さんです。

桜井博志
画像出典:https://style.nikkei.com/

桜井さんは、父親が急逝して、34歳で旭酒造を継ぐことになりました。

旭酒造が位置しているのは山口県岩国市周東町という山奥にある過疎地です。

酒蔵から半径5キロメートル以内に、200名ほどしか住んでいません。

そして、当時の旭酒造は、旭富士と呼ばれる安酒を地元で売っていただけでした。

父親から引き継いだ頃には、売上は最盛期の1/3になっており、潰れるのは時間の問題とされていて、自殺も考えたそうです。

ですが、それでも従業員や家族を守りたいと、思いつく限りの事はなんでもやりました。

紙カップ酒やフグ刺しに合う酒を開発したり、特典や値引きもしたが、全て上手くいきませんでした。

ですが、ある時転機が訪れます。

世間がワインブームの時に、旭酒造では、ワイン酵母を使った日本酒を開発し、商品発表会を行いました。

商品発表会

その発表会に参加した一人の年配の女性から

ワイン酵母で日本酒を作ったっていうけど、それならワインでいいんじゃないの?(カンブリア宮殿より)

と言われたそうです。

桜井さんはこの一言で、商品が売れるためには、目を引く奇抜さではなく、本質的な価値が重要なんだと気づかされたそうです。

そして、最高の日本酒を追求しようと、全国の名酒と呼ばれる日本酒の研究を始め、最高峰と言われる純米大吟醸の開発に乗り出します。

純米大吟醸の作成には高度な技術が必要になりますが、当時の旭酒造にはその技術や経験がありませんでした。

ですが、6年越しに開発に成功し、少しずつ獺祭は世に出ていきます。

ですが、ある時、地ビールレストランを地元に作るという経営判断を行い、3ヶ月で1億9000万円の負債を抱えて、倒産の憂き目に遭います。

その事態を重く見た、酒造りの現場責任者である外部の杜氏は、旭酒造を見限り、辞めてしまいました。

そして

ならば、自分たちで作りしかない

と思い、地元で求人し、素人の若者を集めて、経験不足を補うために最新の機械を導入して、酒造りを始めました。

酒造り

生産量も増加し、山田錦という酒造米では最高峰の原料米を使うほど品質が高かったが、価格の安さも実現し、奇跡の酒と呼ばれて大ヒットしました。

2012年には純米大吟醸のトップメーカーに躍り出て、1年で売上が56%もアップし、年商は100億円も突破しました。

父親から引き継いだ1984年の売上は、9700万円だったので、大躍進と言えるでしょう。

この獺祭のストーリーとしての魅力があるからこそ、メディアに取り上げられます。

プレスリリースとしてメディア関係者に送られてくるものは

うちはこれだけ凄い商品を持っている

という性能のアピールばかりだそうです。

ですが、どの団体もそういうPRになるので、違いがわかりません。

このプレスリリースの世界でも機能的価値のフラット化は起きているという事です。

なので、コンセプトやストーリーを意識して、プレスリリースは送るようにしましょう。

2-4.インナーブランディング

では、続いてはインナーブランディングについて。

インナーブランディングは、そのブランドに関わるスタッフに向けたブランディング施策です。

これもアウターブランディング同様にとても重要です。

というのも、ブランドの世界観を体現し、形作るのはスタッフだからです。

どれだけブランドの世界観の完成度が高くても、それが現場のスタッフに共有され、行動として血肉化されていなければ、確固たるブランドを築くことはできません。

2-4-1.ブランディングとスタッフの働く意識の関係性

ブランドの世界観をスタッフに体現してもらうために、まず、重要になるのは、働く意識です。

ブランドが確立できるかどうかは、現場のスタッフが

何のために働いてるのか?

という意識で決まります。

恐らく、世の中の企業に勤めているほとんどのスタッフは

  • お金のため
  • 生活のため

に働いていると思います。

断言しますが、こういう意識では、ブランドを確立していくことは難しいです。

というのも、そういう意識で働く人たちは

できるだけ効率的に高い給料をもらう

ことを第一優先に考えるので、ブランドの世界観を体現するために積極的に動くことはしません。

例えば、先ほど中央タクシー株式会社では、こんな乗務員の事例があります。

ある時、電動車椅子に乗られているお客さんが、中央タクシーを利用したそうです。

電動車椅子

電動車椅子は、サイズにもよりますが、車に乗らないので、乗車拒否されるのが普通です。

ですが、その乗務員さんは、なんとかお客さんが乗れるように、電動車椅子を1時間以上かけてコンパクトにし、タクシーに乗れるようにしたそうです。

売上や効率を考えれば、そのお客さんは乗車拒否して、違うお客さんを何人か乗せた方が良いに決まっています。

ですが、それをせずに、ブランドの世界観を守った行動をしたのです。

当然、そうされたお客さんは、中央タクシーのファンになるでしょうし、この話を聞くだけでも中央タクシーの価値はとても上がります。

ですが、こうした行動は、お金のためだけに働いている従業員にはできないのです。

また

  • 給与
  • 福利厚生

などの条件を魅力的にして、人を採用することは極力避けるべきです。

そうした条件で人を集めたとしても、結局、彼らは「条件」にしか興味がないので、より魅力的な「条件」を提示してくれる企業が現れた時に、簡単にそっちに移ってしまいます。

そして

  • 学歴がある
  • スキルがある
  • コミュニケーション能力がある

というような基準でも人を採用するべきではないでしょう。

たとえ、その能力があったとしても、実際に現場で活かすことができるかどうかは、そのブランドの理念に共感するかどうかで決まるからです。

優秀な人材とは、能力がある人間ではなく、理念に共感している人間です。

理念に共感している人間は、給与のために働いてないので、ただ働くことが喜びなので、最終的には誰よりも仕事ができるようになります。

なので、ブランドの

  • 理想
  • ストーリー
  • 価値観
  • 関わる人
  • 仕事の実態

などについては意識の高い人を集めるためにも、日々、自社のホームページで情報発信すべきです。

そのホームページを見るだけで、会社の方向性がわかり、どんな人と働けるのか、実際の仕事内容はどうかなどが分かるのが理想です。

特に意識した方が良いのは「実態」が分かることです。

働く人の実態

どれだけ一見素晴らしいブランドに見えても、実際に働いてみたら、

思っていたのとは違った

ということはよくあります。

そして、それが会社を辞める非常に多い理由です。

雇用契約の守秘義務違反を盾にSNSで発信を禁じる会社がよくありますが、正直言って、今の時代、ナンセンスです。

もちろん漏らしてはいけない社内秘などはあると思いますが、この会社で働いてどうだったかというのは禁止するべきではありません。

今の時代、そうした規則で縛ったとしても、インターネットがあるので、どこかでバレます。

そのブランドで働くスタッフに

ここの会社で働いて本当に良かった

と思わず口コミしてくれるような環境を作るべきでしょう。

そういう組織じゃないと長くは続いていきません。

2-4-2.ブランドコンセプトと行動指針の共有

また、実際にブランディングを実行していくとなったタイミングで、スタッフの働く意識の改革も含めて、

  • ブランドコンセプト
  • 行動指針

というのはトップから改めて共有する必要があります。

ブランドコンセプトを共有するからこそ、お金以外のために働く意味を見出すことができます。

  • なぜ、このブランドを立ち上げたのか?
  • 誰のためのブランドなのか?
  • お客さんにどうなってもらいたいのか?
  • このブランドを通じてどんな世界を作っていきたいのか?

などを共有していきましょう。

実際に社内研修などで共有してもいいでしょうし、マニュアル、社員向けのウェブサイトなど、言語化された状態で共有するのもおすすめです。

マニュアル

このブランドの核が共有されるからこそ

  • どう行動すべきか
  • どう評価すべきか

が定まります。

中央タクシー株式会社の電動車椅子のお客様に対する対応もそうです。

あの対応もどう評価するのかは、ブランドコンセプト次第です。

中央タクシー株式会社のブランドコンセプトが

中央タクシーを利用してもらうことで、お客様に生きる活力を与える

であれば、あの対応は評価されるべき行動です。

このようにブランドコンセプトが共有されていれば、ブランドに関わるスタッフは、ブランドの世界観を体現するために積極的に行動できるようになります。

また

  • 絶対にやること
  • やってはいけないこと

を定めるのはおすすめです。

特にお客様と関わる場面で、どう振る舞うべきかは、新人でも分かるように、事細かに決めた方が良いです。

例えば、

日本人を代表するおもてなしの達人

を目指す旅館であれば

  • お客様の名前は絶対に覚える
  • 記念日の利用ならお祝いのシャンパンを用意する
  • 疲れても暗くせず、常に笑顔で

というような指標があるだけで、スタッフは動きやすくなります。

実際に作成したマニュアルは新人に見てもらって、分かりやすいかどうか確認するのも良いでしょう。

一度、全てのブランド体験の場面を確認し、その場面において、どう振る舞うべきかは、現場に立つスタッフも入れて、決めていくのがおすすめです。

接客

もちろん、一度作成したマニュアルで、全ての行動指針を網羅することは難しいです。

また、毎日、現場で発生するイレギュラー対応もあるでしょう。

それはその都度、マニュアルを追加、修正していき、常にバージョンアップしていきましょう。

アップデートすることを考えると、ウェブ上でもそうしたマニュアルは確認できるように整備するべきです。

また、お客さんと触れ合う接客の場面だけでなく、

  • 商品開発
  • 広報

などでもそうです。

ブランドコンセプトに基づけば、

こういう方針の商品開発はないよね

とか

こういう広報の仕方はないよね

ということが、どのスタッフも分かるようになるのが理想です。

また、社内での

  • 上手くいった取り組み
  • 活躍するスタッフ

などの成功事例は積極的に共有するようにしましょう。

理想はブログで、アーカイブ化していくことです。

それがあると、後から入ってきた人も、今ブランドに関わっている人の行動指針にもなり、

このように動いていけば、いいのか

ということが分かります。

また、スタッフ同士との関わりの行動指針も定めましょう。

ブランドは個々人のバラバラの働きではなく、チームとしての動きで形作られます。

チーム内で、相手の人格を否定するような言葉で注意したり、容姿をからかったり、挨拶をしなかったり、あえて連携を取らないことで同僚のミスを誘発したりすることは最悪です。

チームワークがなければ、組織は崩壊します。

なので、スタッフ同士の関わり方についてのルールも明文化するようにしましょう。

2-4-3.トップによる情報発信

また、トップがスタッフに向けて、日々情報発信することはとても大事です。

トップの考えや価値観が組織に浸透することで、ブランドは隅々まで機能するようになります。

ミーティング

もちろん、直接、語りかけることも大事ですが、規模が大きくなればなるほど、難しくなってきます。

なので、おすすめは、短い動画や音声にして、

  • ブランドコンセプト
  • 今考えていること
  • 今後の展開
  • 最近の出来事
  • スタッフの悩み相談
  • スタッフの活躍

などを定期的に発信していくようにすることです。

動画や音声のデジタルコンテンツは、自分の好きなタイミングで視聴できるので、そこまで負担になりません。

組織内では様々な意思決定がされますが、事前に

最近、こんなこと考えてて、今後はこんな風にするとより良くなるんじゃないかなあと思う。また正式に決まりそうになったらみんなに伝えるね

というようにトップの考え方が事前に組織全体に共有されていたりすると、現場での急な混乱は起こりにくくなります。

肩肘張りすぎず、本音で、その自分で語りかけるラジオスタイルはおすすめです。

聞くだけで、ブランドの価値観が共有されますし、トップに対しての忠誠心や好感度も上がります。

また、スタッフの悩み相談について答えたり、スタッフの活躍を取り上げることも、関係性構築には非常に良いコンテンツになります。

聞くだけで、同じような悩みを抱えている人の問題が解決したり、活躍する人を見ることで成長のヒントを得ることができれば、モチベーションにも繋がります。

2-4-4.社内の風通しを良くする目安箱

また、どの立場にいる人間であっても、

  • 現場で起きている問題
  • 人間関係のトラブル

などは、トップに気軽に報告できる仕組みは作った方が良いです。

一番避けるべきなのは

問題が起きているのに、トップに言えないこと

です。

直属の上司には、お世話になっていたり、または威圧感があったりすることで、現場での問題を外に向けて報告できないことがあります。

それを放置していると、お客さんとの大きなトラブルに繋がったり、そのスタッフが辞めたりするという事象が起こります。

2015年に起こった東芝の不正会計の問題は、実際に行った個人の問題ではなく「言いたいことが言えない」という組織ぐるみの企業文化の問題だという結論が出ているそうです。

不正会計

これも社内の風通しが悪いが故に起こっている問題です。

匿名でも良いので、誰でも気軽に投稿できる目安箱があると、問題の芽を小さいうちに摘むことができるので積極的に活用するようにしましょう。

また、トップはそれに目を通し、必要とあれば、全体に向けても発信していくのがおすすめです。

また、インナーブランディングについては、以下のブログ記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

インナーブランディングとは?重要性や方法を豊富な事例から徹底解説
インナーブランディングとは?重要性や方法を豊富な事例から徹底解説 「インナーブランディングって何?」 「インナーブランディングは具体的にどう実践すればいいの?」 「インナーブランディングの成功事例が知りたい!」 ブランディングについて学んでいくと「インナーブランディング」という言葉に出 […]

2-5.ブランディングの評価

では、次にブランディングの評価について。

これまで様々な施策をご紹介してきましたが、最終的にその施策を実行したら結果が出ると思います。

その結果に対して評価し、改善すべき点があるのであれば、改善していくことが非常に重要になります。

ブランディングにおける評価は

  • 定量的評価:数値化できる
  • 定性的評価:数値化できない

の2種類があるので、次にこのポイントについて解説していきます。

2-5-1.定量的なブランディングの評価

まず、最初の定量的なブランディングの評価について。

これは

  • 売上
  • 利益
  • 新規集客数
  • リピート数
  • リピート率
  • 顧客単価
  • 商品の販売数
  • 口コミ人数
  • 購入経路
  • 顧客満足度
  • WEBメディアのアクセス数
  • 従業員満足度

などの数値化できる結果のことです。

事業をするのであれば、恐らく達成していきたい目標があるかと思いますが、その目標はブランディングを実行していけば、達成していくことは可能です。

ですが、その目標達成に何が現状足りていないのかは数値化された現状を見なければ分かりません。

定量的評価

例えば、美容院を経営していて、月間目標が「売上300万円」だとします。

顧客の平均単価が5000円で、全体の客数が500人で、現状の売上は250万円。

もし、その中でのリピーターが80%を超えているのであれば、新規集客にもっと力を入れたほうが良いということがわかります。

それだけリピート率が高い美容院であれば、一度足を運んでもらうだけで、ファンになり通い続けてもらえるからです。

特にブランディングにおいては、売上や利益の数字も大事ですが、リピート率や口コミの人数も非常に重要になります。

その数値が低ければ低いほど、新規集客で人を呼び込めても、ザルで水を組むような結果になります。

なので、上記の結果を出した上で、現状の数字を分析し、課題が見つかれば

次はこうしたら上手くいくのではないか?

という仮説を立てて、検証していくことが非常に重要になります。

2-5-2.定性的なブランディングの評価

また、それだけではなく、数値化できない定性的な評価も重要です。

特に重要なのは

どういう理由で購入したのか?

という選ばれる理由です。

最終的には

  • 機能
  • 品質
  • 素材
  • 種類の豊富さ
  • デザイン

というような商品の魅力ではなく

  • ブランドの理想
  • ストーリー
  • 価値観

に共鳴したから選ばれるというのが理想です。

この3つの要素は、そのブランドに存在する唯一無二の価値であり、ここで選ばれると比較検討されるという競争に巻き込まれないからです。

なので、そうした理由に関しては、アンケートなどを取り、定期的に把握するようにしましょう。

アンケート

そして結果が出たら、現状を分析し、より良くするための仮説を立てて、検証していくことも重要になります。

2-6.ブランディングの注意ポイント

では、次にブランディングの施策を実行していく上でのポイントについて解説していきたいと思います。

2-6-1.ブランドは永遠不変のものではない

まず、注意したいのは、ブランドは一度、確立したからといって永遠不変のものではないということです。

というのも、企業の存在価値というのは、常に社会とセットであり、社会が変化すれば、在り方を大きく変わることが求められるからです。

江戸時代から続くような老舗企業が潰れるのは、その社会の変化に対応できなかった場合です。

例えば、白木屋グランドホテルという山口県の旅館があります。

白木屋グランドホテル
画像出典:https://business.nikkei.com/

このホテルは、江戸時代の1865年に創業し、150年の歴史を持つ老舗旅館でしたが、負債総額23億1000万円で、2014年に倒産しました。

9階建てで、118室もの客室がある湯本温泉有数の大型旅館で、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」料理部門で25年連続10位以内に選ばれるほど料理の評価が高い旅館でした。

地元でも名門で、信頼も厚い白木屋グランドホテルが潰れたのは、まさに時代の変化の対応ができなかったためです。

経営が傾き出したのは、1990年代以降に起こった市場の構造変化がきっかけです。

バブル崩壊以降、団体客が中心だった旅行が、個人客が中心になります。

そうなると企業や団体組織に対するコネクションや、団体客として泊まれる施設の広さではなく、全国のどの旅館と比べても「行きたい!」と思えるような魅力が必要になります。

実際にバブル崩壊以降は、大規模な宿泊施設ではなく、コンセプチュアルで、小規模な高級旅館が人気となりました。

ですが、白木屋グランドホテルは、これまでの積み上げてきた歴史もあり

なんとか持ち直すのではないか

と経営者も周囲も考えていたため、抜本的なスタイルチェンジを行いませんでした。

結果として、売上高はピーク時の1/3まで減少し、従業員を100人まで削減したり、食材の見直しなども行いましたが、倒産してしまいました。

だから、今、売上が上がっているからといって、

このままの状態が続くだろう

という安易な気持ちは持たない方が良いです。

長く繁栄している企業ほど、社会の変化に対して敏感であり、それに基づいて、スタイルチェンジし続けています。

ですが、基本的には、定期的に

  • 売上
  • 新規顧客数
  • リピート率
  • 口コミ
  • 顧客満足度

などのブランドの評価を実践していれば、その変化に気づくことはできます。

明らかに上記の数字が落ちてきた時に

なぜ、数字が落ちてしまっているのか?

ということを冷静に分析しましょう。

そうすれば、手遅れにならないうちに、ブランドを再建することができます。

2-6-2.ブランドを築く上で最も必要な資質

これまでブランドを作る方法について様々なことを解説してきましたが、一番大切なのは、理想に向けて走る姿勢です。

上手くいってる時も、上手くいっていない時も、ブランド作りには姿勢が最も問われます。

「ダリアの神様」と呼ばれる育種家の鷲澤幸治さんという方がいます。

鷲澤幸治

ダリア花は、色や形も千差万別で個性がある花でしたが、元々日本では、仏壇などに備えられるだけの地味な花でした。

鷲沢さんは、ダリアとは小学校1年生の時に、義理の母の葬儀の時に出会い、その美しさが心に残りました。

そして、高校を卒業し、東京の船会社に就職し、船のエンジニアとして世界中を回る中、カナダでダリアと再会しました。

カナダでは、立派なダリアが家庭で飾られており、家族に笑顔をもたらしていました。

それは、自分の子どもの頃になかった幸せな形でした。

ダリア

鷲澤さんは家庭の貧しさが原因で、1歳の時に養子に出されて、小さい頃はいつも孤独を感じて生きていたそうです。

だから、幼い頃の自分の姿と日本で「負の遺産」と呼ばれているダリアが重なりました。

なんとかしないといけない

そう思ったそうです。

そして、40歳で、地元の秋田に戻って、荒地を開墾し、ダリア園を開くことを決意。

奥さん以外の周囲のすべての人間からは反対され、親族にも見放されました。

奥さんに支えてもらいながら、10年間、畑の横にある小屋に寝泊りし続け、ダリアを育て続けて、ついに自然交配で「黒蝶」という花が生まれます。

黒蝶

黒蝶は花業界に衝撃を与え、ダリアはパリコレなどの大きなハレのイベントや、結婚式でも使われる花になりました。

ダリアを華やかなポジションにまで押し上げたのです。

その後も、一生に一本ヒット作が出ると良いと言われている育種家の世界で、次々に斬新なダリアを世に送り出し、ヒットを飛ばし続けました。

今では、世界で流通する7割のダリアを鷲澤さんが生み出しています。

今や花業界の中で、鷲澤さんの名前を知らない人はいません。

それほどのブランドを築き上げたわけですが、最初にあったのは理想への情熱だけです。

育種家としての経験もなく、前例もなく、お金もなく、周囲からの後押しもなく、結果も出ない日々が続いたけど、諦めなかったその姿勢がブランドを築き上げたのです。

3.ブランディングに取り組もうと思っている全ての方へ

今回の記事では、ブランディングに関する知識を様々な角度でお伝えしました。

ブランディングは業種・業界、規模問わず、自分で事業をするのであれば、これからの時代に必ず必要になってきます。

この記事をご覧頂いてる方は、かつてデザイナーとしての活動を始めた当初の僕のように、価格競争や集客に悩んでいるかもしれません。

もしくは、スタッフの採用や育成に悩んでいるかもしれません。

もしそうであれば、ブランディングに取り組むことこそが、その問題を解決する方法だということをぜひ覚えていてもらいたいです。

ブランディングに最も必要なのは、知識、経験、スキル、実績、商品力、優秀なスタッフではありません。

あなたの

  • どんな人に
  • どうなってもらいたいのか

という事業を始める原点の想いです。

「こんな人の役に立ちたい」「こんな人を幸せにしたい」という素朴な思いと情熱があれば、ブランディングは誰もが取り組むことができます。

今回の記事は、できるだけ偏りがなく、誰でも実践できるようなブログ記事を目指したので、僕自身のこれまでの経験だけでなく、様々な企業の事例、ブランディングに関する書籍、映像資料、ブログ記事なども参考にさせていただいた上で作成しました。

ブログ自体はこれまで7年間取り組んできましたが、これほど時間とエネルギーと熱量を込めて書いた記事は他にはありません。

そんなこの記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。

また、ここまで読んで頂いたあなたにだけ、「高単価でも競合が増えても選ばれ続けるNo.1ブランドの作り方」について解説した「WEBセミナー」を無料でプレゼントしています。

WEBセミナーを受け取るためには、以下のバナーをクリックして、LINEのアカウントに登録してください。

登録後すぐに自動返信メッセージにて、WEBセミナーをお届けします。

「世のため・人のため」という想いがある企業・個人の皆様がブランドを確立できることを心よりお祈りしています。

中江翔吾
中江翔吾
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!

もし記事の内容が少しでも勉強になったという方がいれば、SNSなどでシェアしていただけると、とても励みになります。

また、ブランディングの全体像について理解した後に、ブランディングの成功事例について学んでいただけると、より理解が深まるので、以下のブログ記事も併せて、ご覧ください。

ブランディングの成功事例【15選】から学ぶブランド戦略の極意
ブランディングの成功事例【15選】から学ぶブランド戦略の極意 「ブランディングの成功事例を知りたい」 「実際に活かせるブランディングの成功事例を知りたい」 「ブランディングをもっと強化したい」 この記事では、ブランディングの専門家が厳選したブランディングの成功事例を15社紹介してい […]

再び、ブランディングについて理解する(本ページ上部に移動する)


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