心理的安全性の作り方とは?取り組み事例と明日から実践できる7つのポイント
ブランドコンサルタント・中江 翔吾
「心理的安全性を上げていきたい…」
「心理的安全性を高める方法について知りたい…」
「心理的安全性が高い組織の取り組み事例を知りたい…」
心理的安全性は、2012年にGoogleが発表した「プロジェクト・アリストテレス」がきっかけで、世界的に多くの注目を集めるようになった概念で、その意味するところは
率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなくできる度合い
となります。
Googleは4年間に渡って、社内の数百チーム(営業チームとエンジニアチーム)を調査し、生産性が高いチームの条件を探っていったときに
心理的安全性が高いチームは、離職率が低く、収益性が高い
という結論に行き着きました。
一般的に考えれば、優秀な人間をどれだけそのチームに集めてくるかがパフォーマンスが高いチームを作る条件のように思われますが、そうではなく、心理的安全性が高めることの方が重要だということです。
今回は「心理的安全性の作り方とは?取り組み事例と明日から実践できる7つのポイント」について解説したいと思います。
この記事を読んでいただければ、心理的安全性の作り方だけでなく、心理的安全性が高い組織の取り組み事例についてもわかるようになっています。
ぜひ、最後までお読みください!
1.心理的安全性とは
では、まず最初に「心理的安全性とは何か?」について解説をしていきます。
一度、このことについては「心理的安全性とは何か?4つの効果と心理的安全性が高い組織の作り方」という記事で扱ったことがあるので、簡単に解説をしていきます。
1-1.心理的安全性とは何か?
心理的安全性とは、組織・チーム内において、
率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなくできる度合い
のことです。
この概念は1999年に、ハーバードビジネススクールの教授で、組織行動学を専門とするエイミー・C・エドモンドソンさんが提唱しました。
画像出典:https://diamond.jp/
心理的安全性が高い職場では
誰もが、安心して、気兼ねなく、自分の意見を述べることができる
とイメージしていただけると理解しやすいと思います。
1-2.心理的安全性が注目される背景
この心理的安全性が世界的に注目を集めるようになったのは、Googleが2012年から2015年に実施した「プロジェクト・アリストテレス」がきっかけです。
このプロジェクトで、Googleは数百チーム(営業チームとエンジニアチーム)を対象に調査を実施し
生産性の高いチームの条件とは何か?
を導きました。
そこで分かったのが、
チームで最も高いパフォーマンスを発揮するために重要なのは、有能なメンバー構成ではなく、心理的安全性が大切である
ということでした。
実際の調査結果では、心理的安全性が高いチームは、収益性が高く、離職率が低いということが分かっています。
1-3.なぜ、心理的安全性を高める必要があるのか?
Googleのプロジェクト・アリストテレスの調査結果からも分かるように、心理的安全性は、組織のパフォーマンスに直結する重要な要素です。
組織を作る意義は、一人では決して達成できない大きな目的・ゴールを様々な人の協力によって達成することができることです。
このときに重要なのは、組織やチームに所属する、様々個性や才能を持つ人たちの「協力」です。
全員が同じ「目的・ゴール」を見据えて、自分がそこに向かって貢献できる力を惜しみなく提供するからこそ、その組織は最高のパフォーマンスを発揮できます。
一方で、全員がバラバラの方向を見ていたり、協力せずに足の引っ張り合いをしていたり、力の出し惜しみをするのであれば、大した成果を挙げることはできません。
重要なのは、そのチーム・組織内の「協力」を引き出すのが「心理的安全性」だということです。
心理的安全性が高いチーム・組織では
同じ目的・ゴールを目指しているんだから、絶対に協力できるはず
という信頼の元、誰もが安心して、自分の意見や本音を率直に伝えることができます。
なので
- 誰からも意見や提案が活発に起こる
- 反対意見を歓迎される
- 誰に対しての違和感も伝えられる
- 挑戦することを賞賛される
- 感謝が飛び交っている
- 報連相が早い
- 気軽に上司に相談できる
- わからないことがあればすぐに質問できる
- 失敗しても叱責されず、どう挽回するかを建設的に考えてくれる
- ミーティングでは様々な角度から活発な議論が起こる
- 前例や実績がなくてもアイディアを試せる
といったことが起きます。
一方で、心理的安全性が低いチーム・組織では
これを伝えたらどうなってしまうんだろう
と常に周りを配慮し、自分の本音や意見を言い出せなくなるので
- 上司に自分の意見を率直に伝えることができない
- 反対意見を伝えることができない
- 空気を読み過ぎてしまう
- 改善案が思いついてもすぐに共有できない
- 違和感を指摘できない
- 問題が発覚したら隠蔽してしまう
- 報連相が遅い
- 前例や実績がないものは即座に否定される
- 新しいことに挑戦しようとすると多くの人から否定される
- わからないことがあっても気軽に質問できない
- 失敗した時に叱責される
- ミーティングで特定の人しか発言しない
- 周りの目が気になる
といったことが起きやすくなります。
当然ですが、心理的安全性が低く、上記のような事象が起こっているチーム・組織が高いパフォーマンスを発揮できないのは理解できると思います。
なので、組織を運営していくにあたっては、この心理的安全性を高めていくことが重要なわけですね。
2.心理的安全性の作り方
では、次にどうすれば、組織・チーム内で心理的安全性を作ることができるのかについてお話していきたいと思います。
2-1.心理的安全性を共通言語にする
まず、心理的安全性を高めていきたいのであれば、この概念の重要性をリーダーだけでなく、他のメンバーも理解する必要があります。
心理的安全性はリーダーだけでなく、メンバーの振る舞いによっても決まるので、
- 心理的安全性とは何か?
- なぜ、心理的安全性を高めることが重要なのか?
といったことをメンバーがよく理解できないまま、施策を進めたとしても上手くいかないからです。
おすすめなのは、リーダーが直接メンバーに心理的安全性の重要性を説くよりも、外部の組織開発・人事コンサルティングを実施するコンサルタントなどに入ってもらい、第三者視点からメンバーに伝えることです。
というのも、これまで組織・チーム内の心理的安全性が低い状態を続けてきて、「リーダー vs メンバー」というような対立構造が出来上がっている場合は、リーダーからメンバーに伝えても話が入ってこないからです。
そして、その上で、リーダーからも
なぜ、心理的安全性を高める必要があると感じたのか?
という思いをメンバーに率直に語ると良いでしょう。
恐らく、心理的安全性を高める重要性を認識したリーダーは日常業務の中で、少なからずトラブルや自ら改めるべきことに気付いたからだと思います。
リーダーがその反省をメンバーに率直に語ると、メンバーはリーダーの意見に耳を傾けやすくなります。
2-2.心理的安全性を計測する
そして、次におすすめなのが、現状の組織・チーム内における心理的安全性を計測していくことです。
現状の心理的安全性を計測することによって、組織・チーム内における課題が明確に分かるようになります。
心理的安全性の概念を提唱したエイミー・C・エドモンドソンは心理的安全性を測るために有効な質問として
- チームの中でミスをすると、たいてい非難されるか?
- チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合えるか?
- チームのメンバーは、自分と異なることを理由に他者を拒絶する場合があるか?
- チームに対してリスクのある行動をしても安全であるか?
- チームの他メンバーに助けを求めることは難しいか?
- チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしないか?
- チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じるか?
という項目を挙げました。
アンケートに関しては「Yes」or「No」という選択形式にしたり、5段階で点数化すると良いと思います。
また、匿名ではなく、記名式にして、お互いに「なぜ、そう感じたのか?」を会話することも非常に大切です。
ただ、もちろんアンケートを取る前には心理的安全性を担保しないと、誰も本音で書かないので
どんな回答をしても、絶対に人事評価などには影響しない。心から心理的安全性が高い職場にしたいから本音で書いて欲しい
とリーダーから伝えるようにしましょう。
また、質問項目に関してですが、累計6000人 & 500チームの心理的安全性を計測してきた石井遼介さんの著書『心理的安全性の作り方』で提唱している
- 反対意見があれば、率直にシェアできるか?
- 問題やリスクに気付いた時に声を上げられるか?
- 知らないことやわからないことがある時、フラットに尋ねられるか?
- 問題が起きた時、その人を責めるのではなく、建設的に解決策を考える雰囲気があるか?
- チームリーダーやメンバーはいつでも相談に乗ってくれるか?
- 減点主義ではなく、加点主義か?
- 挑戦が損ではなく、得か?
- 前例や実績がないものでも、取り入れるか?
- 多少非現実的でも、面白いアイディアを思いついたら、チームに共有してみようと思えるか?
- 役割に応じて、強みや個性を発揮することを歓迎されているか?
- 常識にとらわれず、様々な視点やモノの見方を持ち込むことが歓迎されるか?
- 目立つことも、このチームではリスクではないと思えるか?
という項目もおすすめです。
石井さんは日本企業を対象に心理的安全性を計測した上で、より日本企業の実情にあった質問項目を考案しているので、個人的にはこちらがおすすめです。
また、心理的安全性の計測は3ヶ月に1回や6ヶ月に1回など、定期的に実施し、その都度、結果や改善点について話し合い、しっかりとPDCAを回すことが大切です。
2-3.対話を起点に、心理的安全性を高める施策を決める
また、心理的安全性を計測し、組織・チーム内の現状が明らかになったのであれば、次に心理的安全性を高める施策を決めていきましょう。
この時のポイントは、リーダー層がトップダウンで全て決めるのではなく、メンバーとしっかり対話した上で決めていくことです。
メンバーと対話せずに、リーダーが独断で決めてしまうと
やっぱり意見は率直に言ってはいけないんだ。私たちは意見を言う資格がないんだ
とメンバーに思わせてしまう可能性が高くなります。
また、施策をリーダーが全て決めてしまうと、メンバーが自ら主体的に意思決定をした訳ではないので、その施策を絶対に実行しようというコミットメントの意識も生まれにくくなります。
なので、おすすめなのはアンケート調査の結果を話し合い、課題を出し合い
この課題を解決するためにはどんな方法が考えられるか?
について意見をしっかり出し合いましょう。
アイディア出しの段階では、どんな意見も歓迎し、その後で、実際に実施することをアクションリストにして絞り込んでいきましょう。
2-4.リーダーは指示・命令ではなく、質問を通じた対話を意識する
また、心理的安全性を高めていく上で、リーダーのメンバーに対するコミュニケーションの仕方を変えることも大きな鍵となります。
一般的なトップダウン型組織では、
- リーダー:計画・意思決定・指示・行動管理・結果責任
- メンバー:指示の実行
という役割に分かれて、組織が運営されているので
Aという仕事をBという期限までにCという方法でやっておいて
とリーダーが一方的に指示だけをして、メンバーが実行するという形で仕事が進められる場合が多いと思います。
優秀なリーダーの指示通りに仕事をすることは効率的でスピーディーで成果を挙げやすいことは分かりますが、全てを「指示・命令」で簡潔させてしまうと、メンバーは意見を述べにくくなります。
なので、おすすめなのは、部分的にでも普段からのコミュニケーションの中で、質問を通じた対話を行なって、メンバーの意見を積極的に拾っていくことです。
例えば、
今回のプロジェクトだけど、こんな目標と期限にしようと思っているんだけど、どうかな?
この仕事はどんな方法で進めたい?必要なサポートって何かある?
というように質問を意識的に挟むということですね。
質問を挟むと、メンバーは意見を述べる機会が自然と得ることができますし、自分の頭で考える習慣も癖づきますし、仕事における意思決定に自らも関われるようになるので、コミットメントの意識も高まっていきます。
実は、このコミュニケーションを中心に仕事を進めていくと、最終的にはメンバーは自分の頭で考えて、適切な意思決定をし、結果責任を果たせるようになっていくので、リーダーがいちいち計画・意思決定・指示・行動管理をしなくても、最高の結果が手に入るセルフマネジメント型の組織を作ることができます。
トップダウン型組織からセルフマネジメント型組織へと移行すると、組織構造から心理的安全性が自然と高まるようになります。
このセルフマネジメント型組織については「セムコスタイルとは何か?業績と働きがいが飛躍的に高まる組織の作り方を徹底解説」で詳しく解説しているので、興味がある方は併せてご覧ください。
3.心理的安全性を高める取り組み事例
では、続いては心理的安全性を高める取り組みの事例についてお話をしていきたいと思います。
心理的安全性を高めていく上で、特に重要になるのがリーダーのメンバーに対する振る舞いです。
これで心理的安全性が決まると言っても過言ではないので、その視点を認識しつつ、事例を参考にしていただければと思います。
3-1.定期的な1on1ミーティング
これは最近、多くの企業で意識的に取り組まれている基本的なことですが、「1on1ミーティング」の実施です。
今の組織状態を見た時に、全員が誰の前でも、どんなシチュエーションでも、自分の意見を率直に伝えることができなさそうであれば、「1on1ミーティング」は実施した方が良いです。
相手と信頼関係を作るために、最低限、必要なのは「情報共有」です。
これはすごくシンプルな理論で
- 相手のことをよく知らない
- 自分のこともよく知ってもらえていない
という状況下で人は心を開いて、本音で何かを話すことはないということです。
ほとんどの会社ではお互いが
- なぜ、この会社で働いているのか?
- どんな希望や願望を持っているのか?
- 将来はどんな人生設計を描いているのか?
- どんなことにやりがいを感じているのか?
- どんなことに興味・関心を持っているのか?
- この会社に入る前にどんな人生を送ってきたのか?
- どんなことが好きで、どんなことが苦手なのか?
といったことを知りません。
ここをしっかり会話していくだけでも、心理的な距離は縮まって、心理的安全性は作られていきます。
また、この1on1のミーティングでは、リーダーから
私はあなたの味方で、何か困ったことや実現したいことがあれば、サポートするからどんな些細なことでも言ってね
というスタンスをしっかりと伝えていくことが大事です。
このスタンスをしっかりと日頃から伝えていくからこそ、心理的安全性は高まっていきます。
最初は、週に1回・30分程度でもいいので定期的に開催してきましょう。
3-3.定期的にメンバーの意見を聞く機会を設ける
また、月に1回など、どんな階層・役割の従業員でも、意見やアイディアを組織全体に提案することができるミーティングを設定することもおすすめです。
こういった仕組みがあるだけで
組織全体に自分の考えを率直に表現して、提案しても良いんだ
とメンバーが自然と思えるようになり、心理的安全性が高まります。
例えば、システム開発会社で、働きがいのある会社ランキング1位を獲得したことがある「アクロクエスト」という会社があります。
画像出典:https://gooca.works/
このアクロクエストさんでも「全社員ミーティング」という取り組みが月1回行われています。
この「全社員ミーティング」は社内で最も重要なミーティングとして位置付けられ、議題は
- 経営方針
- 会社の制度
- 働き方
- イベントの企画
など、どんなことでもOKで、社員からの提案で決まります。
提案したい議題がある社員は、ミーティングの運営者に開催の数日前までに連絡をして、話し合うべき議題だと判断された場合に、当日のアジェンダとして参加者に通知されます。
話し合うべき議題として採用されないのは
- わざわざ話し合うようなことではなく、すぐに実行すれば良いだけの提案
- 全社員で話し合わなくても担当者間の協議で十分解決が図れる提案
- 何かを実行する提案であるのに、議題提出者がその責任者になっていない提案
- 提案したタイトルと本人が主張する結論や政策に論理性を欠いている提案
といったものです(『会社を元気にする51の「仕組み」(新免 玲子)』より)。
当日は、全社員が参加して、役職や社歴に関係なく、自由に意見を交換し、全員が納得した上で、次の具体的なアクションが決まります。
こういった仕組みがあると、経営やリーダー層だけでなく、メンバー層も
自分の率直な意見やアイディアを伝えても良いんだ
と思えるようになりますし、自分の行動次第で組織を変えていくことができる実感を得ることができ、意欲や主体性も上がっていきます。
4.心理的安全性を下げるNG行動
では、最後に組織・チーム内の心理的安全性を下げてしまうNG行動についてもお伝えしていきます。
4-1.失敗を叱責する
まず、心理的安全性を下げてしまうNG行動の一つ目が「失敗を叱責する」ということです。
リーダーが
メンバーの失敗をどう扱うか?
というのは心理的安全性を構築する上で、大きな影響を及ぼします。
例えば、メンバーのAさんが、パソコン作業中に重要なデータを誤って削除してしまって、顧客への納品が遅れるという事態が発生したとします。
この場合、一般的には
なぜ、そんな大事なデータを消したんだ!ふざけるな!これでどれだけうちの会社に損害を与えると思っているんだ!
というように上司が部下を叱責するのが普通だと思います。
ですが、この叱責による失敗の追及というのは、心理的安全性を高める上では絶対にやってはいけないことです。
これをやってしまうと、メンバーは今度、仕事上で何か失敗をした時に、怒られるのが嫌なので、そのミスを隠蔽しようとして更に問題を大きくさせたり、リーダーに萎縮して何も意見が言えなくなります。
実際に、科学的に見ても、叱責というものはあまり意味がないことは分かっています。
これは臨床心理士の村中直人が東洋経済「叱っても人は育たないが、叱る側はドーパミンが噴出」で出していたレポートによると、リーダーがメンバーを怒ると
- 怒られている本人:処理能力61%低下、創造性58%低下
- 同じ場にいる人たち:処理能力33%低下、創造性39%低下
- 怒っている所を目撃した人:処理能力25%低下、創造性45%低下
という影響を組織にもたらすそうです。
リーダーはなぜ、メンバーを怒るのでしょうか?
怒る本来の目的というのは、メンバーの処理能力や創造性を低下させたいというわけではないと思います。
処理能力と創造性が低下してしまっては、起こしてしまったミスにも適切に対処できなくなり、問題がさらに大きくなり、周りにもその影響が波及していくからです。
心理的安全性を高めていきたいのであれば、メンバーが失敗した時に、いかにリーダーが中立性を保てるかが大切です。
なので、ここにおける最善のリーダーの行動は
問題が大きくなる前に、ミスを報告してくれて本当にありがとう。どんなミスが起こったの?じゃあ、今から一緒にその失敗の挽回方法を考えようか!
というような声かけをすることが大切です。
仕事上で大きなミスをした時ほど、メンバーの心は不安と恐怖に駆られ、軽いパニックを起こし、正常な判断ができなくなりますが、こういった声かけをリーダーからされると、安心して、そのミスに向き合うことができます。
また、次に何か失敗をした時も、傷口が浅い段階でリーダーに迅速に報告してくれるようになるので、大きなミスが少なくなっていきます。
この失敗への対処法はNASAなどでも採用されています。
失敗の報告は追求するのではなく、賞賛していった方が組織全体にとって良い影響を与えます。
4-2.頭ごなしに否定する
2つ目のNG行動は「頭ごなしに否定する」ということです。
メンバーがリーダーに対して何か意見を伝えた時に
それはダメ。あり得ない。
と即座に否定してしまうことはどこの会社でもよく起きていることだと思います。
それはリーダーはメンバーよりも知識や経験が豊富だからこそ、メンバーの考えや意見の穴が見えるからだと思います。
ですが、このような対応をとってしまうと、メンバーは
このリーダーに自分の意見や考えを表明すると、即座に否定されるから、何も考えずに言われたことだけやろう
と思うようになります。
こうなってしまうと、メンバーは思考停止になり、主体性がなくなり、成長しなくなり、リーダーの言うことだけが実行される画一的な組織になっていきます。
そんなメンバーがロボットのようになってしまう組織は意欲が低く、生産性も低く、多様なアイディアも生まれないので、イノベーションも起きなくなっていきます。
まず、大切なのは、しっかりとメンバーの話を聞いて、否定をしないことです。
メンバーから意見や考えを聞いた時に
まず、自分の意見やアイディアを提案してくれてありがとう
と感謝を伝えるだけでも、メンバーに与える印象が大きく変わります。
そして、その上で、もし何か修正の必要を感じるなら、
こういう観点も考えられると思うんだけど、どうかな?
こういったことが起きた場合、どうしようか?
など、質問を通じて、相手の頭で考えさせて、積極的に意見を言ってもらうことが大切です。
絶対にこうしなさい
と指示・命令を中心にコミュニケーションをすると、心理的安全性は低くなるので、質問を通じた対話を意識しましょう。
4-3.失敗のフォローを嫌々する
3つ目が「失敗のフォローを嫌々する」ということです。
例えば、失敗した人に対して
もういいよ、あとはこっちで処理するから
これ以上余計なことはするな
と拒絶してしまうことです。
これは相手に対して
あなたは邪魔な存在である
と暗に伝えてることになり、組織内・チーム内の心理的安全性を著しく低下させます。
なので、心理的安全性を下げないためには
どんな失敗をしたの?私がフォローできることはある?
一緒に挽回方法を考えよう。困った時はお互い様
と声をかけてあげることが大切です。
4-4.相手を責めるように違和感の指摘をする
4つ目が「相手を責めるように違和感の指摘をする」ということです。
心理的安全性を構築する上で、意見を言いやすい安心の空気感を作ることは大切ですが、それと同時に、違和感も指摘できる空気感を作ることは大事です。
本当は間違っている方向に進んでいるにも関わらず、安心の空気感が壊れることを恐れて、違和感すら指摘しなくなれば、組織として大きな成果を出すことはできません。
ただ、指摘をする時に
このA案って合理的にどう考えてもおかしいでしょう。本当にちゃんと考えてこの案を出してるの?
と相手を否定して、責めるように違和感を指摘することはやってはいけないです。
こう言われてしまうと、アイディアを提案した人は萎縮したり、意欲がなくなってしまいます。
なので、そうではなくて、
A案を出してくれてありがとう。アイディアを出してくれること自体が本当に素晴らしい。せっかくだから、このA案の成功確率を更に上げるためにブラッシュアップしていきたいね。例えば、こういった観点を入れると、A案は少し変化させた方がいいと思うんだけど、君の意見を聞かせてくれない?
というような会話に変化させて、対話を通じて、さらにアイディアをブラッシュアップする方向性に持っていきましょう。
4-5.協力要請を拒否する
5つ目のNG行動が「協力要請を拒否する」ということです。
他のメンバーから「助けてほしい」「手伝ってほしい」と協力要請があった時に
その仕事はあなたのものであって、私には関係がない
手伝って何のメリットがあるの?
自分一人で何とかできるでしょう
と拒絶してしまうことも心理的安全性を大きく下げてしまうことにつながります。
一度でも協力要請を無下に拒否してしまうと、誰にも頼れなくなってしまって、一人で仕事を抱え込むようになって、大きな問題へと発展していきます。
確かにシチュエーションとして、どうしても手伝えない場合もあるかもしれないのですが、その場合でも
ごめん。今、こういう理由で、私はすぐには動けないから一緒に他の人にも協力を仰ごう。私も手伝えるタイミングになったら手伝うよ
と声をかけてあげることが大切です。
5.心理的安全性を高めていきたい全ての方へ
今回の記事では「心理的安全性の作り方」について様々な角度でお伝えしました。
ぜひ、今回の記事を読んで、自社の組織運営を見直すきっかけにしていただけると幸いです。
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