イノベーションとは?種類や成功事例や革新を継続的に起こす方法を徹底解説
ブランドコンサルタント・中江 翔吾
「イノベーションって何?」
「イノベーションを起こしている企業の事例を知りたい」
「イノベーションを起こすための方法を具体的に知りたい」
イノベーションを継続的に起こせるようになることは、その企業が生き残るための絶対条件です。
たまたま商品・サービスがヒットし、一時的に業績が好調になり、業界で優位なポジションに就けたとしても、時代は進み、社会は変化するので、この変化に対応できなければ、衰退していきます。
- インターネットストリーミングに対応できなかった「ブロックバスター」
- 写真が紙焼きからデジタルへと変化したのに適応できなかった「コダック」
- 携帯電話からスマートフォンへの変化に適応できなかった「ノキア」
- インターネットのダイヤルUPからブロードバンドへの変化に適応できなかった「AOL」
の事例からもわかるように、どれだけ世界的な大企業になったとしても、継続的なイノベーションを起こせない企業は衰退していきます。
特に今は、どの業界も変化のスピードが早いので、いつまでも過去の成功体験にしがみつき、うまくいったやり方をいつまでも続け、イノベーションを起こせない企業は数年で市場から退場を余儀なくされるかもしれません。
今回は「イノベーション」について、総合的に解説したいと思います。
この記事を読んでいただければ、イノベーションに関する基礎的な知識や成功事例だけでなく、組織として継続的にイノベーションを起こせるようになるための具体的な方法についてもわかるようになっています。
ぜひ、最後までお読みください!
目次
1.イノベーションとは
では、まずは「イノベーションとは何か?」について解説をしていきたいと思います。
1-1.イノベーションとは何か?
1912年、オーストリア出身の経済学者のヨゼフ・シュンペーターは『経済発展の理論』の中で
画像出典:https://ja.wikipedia.org/
経済の発展には企業家よるイノベーションが重要である
と主張し、イノベーションには
- プロダクト・イノベーション:革新的な商品の開発
- プロセス・イノベーション:革新的な生産方法や流通方法の導入
- マーケット・イノベーション:新しい市場に参入し、新しい顧客を獲得すること
- サプライチェーン・イノベーション:これまでにない商品の材料や部品などの供給ルートの導入
- オーガニゼーション・イノベーション:組織の運営構造の刷新
という5つのタイプがあると、提唱しました。
つまり、イノベーションは、単なる技術革新に留まらず、商品開発や生産方法や流通方法や組織運営など、企業活動におけるあらゆる面で、これまでにない新しい付加価値を創造する活動だと言っても良いでしょう。
1-2.イノベーションが注目されている背景
イノベーションは企業活動における呼吸と同じで、イノベーションを起こし続けることができない企業は生き残れません。
どれだけ今の時点で、自社の商品がヒットしていたとしても、その成功パターンをただ踏襲し続けて、同じことをやり続ける企業は衰退していきます。
このことは100年以上続く、老舗企業を見ているとよく分かります。
数百年前に創業し、今なお繁栄・発展している老舗企業は、変化する社会や時代に合わせて、やっていることを変えています。
例えば、「八代目儀兵衞」というお米のブランドがあります。
画像出典:https://prtimes.jp/
このお米屋さんは、1787年、儀兵衛が創業したところからスタートしています。
街の小さなお米屋さんは、
- 1997年に新食糧法が制定され「米の販売が自由化」され、大手スーパーに価格で負けるようになった
- 一般家庭の米とパンの支出額が逆転した
などの影響から多くが廃業していきました。
街の小さなお米屋さんは、これまで通りに商売をしていても、大手スーパーに価格で負けてしまいます。
なので、「八代目儀兵衞」は、
価格ではなく、お米の味をウリにして生き残っていくしかない
と考えて、米本来の味が失われにくい小さな精米機を使い、「白さ」「ツヤ」「香り」「甘さ」「粘り」「食感」「のど越し」などが最高に楽しめる「八代目儀兵衞」オリジナルのブレンド米という商品を生み出しました。
その独自の配合のブレンド米があまりにも美味しいので、京都・祇園の高級料亭で扱ってもらえるようになり、口コミで更に広がり、メディアでも取り上げられ、今では通販や飲食店もオープンし、売上は10倍に伸びました。
これもまさにイノベーションの一つの事例です。
ポイントなのは、どんな企業もいつかは、今までやってきていた成功パターンが通用しなくなるタイミングが来るということです。
その時に、時代や社会の変化に合わせて、イノベーションを起こせるかどうかが、その企業が存続できるかどうかの生命線だということです。
1-2-1.変化が激しく、複雑な社会
更にいうと、今これだけイノベーションが注目されているのは、現代が変化の激しく複雑な時代だからです。
インターネットを初めとした様々な技術革命や情報革命の影響で、全業種・業界で
今やっていることが1年後には通用しなくなる
というようなことがザラに起こっています。
業界に大きな変化をもたらす要素が一つであれば、予測可能ですが、毎年新たな技術革新が起き、グローバル化や通信・データ処理技術の進化が起こり続けているので、どんな優秀な人であっても、未来を正確に予測することは不可能となっています。
変化が少なく、安定している時代であれば、そんなにイノベーションは必要ではありません。
これまでやっていたことを続け、少しの変化に対応するだけで上手くいきますが、今は、業界全体がドラスティックに変わるほどのインパクトのある変化がたくさん起きる時代です。
当然ですが、そういった変化にイノベーションを持って対応し、企業は生き残れません。
1-2-2.価値観の多様化が進む社会
また、インターネットの普及によって、顧客の価値観の多様化も進んでいることも大きな影響があります。
価値観とは
○○において何を大切にするか?
という考え方のことです。
この「○○」の部分には
- 人生
- 仕事
- 恋愛
- 食
- 子育て
- 洋服
- 家具
など、どんなキーワードを入れてもらっても構わないのですが、人はこの価値観に基づき、商品選択をします。
例えば、
食事で重要なのは、それを食べて健康で元気になれるかどうか
という価値観の人であれば、食材にこだわったオーガニックな食事を摂ることになるでしょうし
食事で重要なのは、価格の安さ
という価値観の人であれば、美味しいかどうかや健康かどうかではなく、とにかく安さ重視で食事を摂るでしょう。
そして、重要なのは、価値観とは、普段、誰からどんな情報を得ているかで形成されるということです。
昔は、情報はせいぜいリアルで付き合いがある人間関係の中やテレビの中からだったので、そこまで価値観の多様化が進んでいませんでした。
だから、優秀なリーダーが一人いれば、市場でヒットする商品を予測することも作ることも可能でした。
ですが、今では、SNSが登場し、同じ世代であったとしても、日々、見ているメディアが違うため、価値観の多様化が進み、
何が正解かわからない時代
になっています。
経験豊富の優秀なリーダーが考えたアイディアが外れて、新人が考えたアイディアの方がヒットするということも起きています。
なので、
優秀なリーダーが一人いれば、イノベーションの問題が解決する
という話ではなくなってきています。
優秀なリーダーがいれば、確かに革新的なアイディアが生まれるとは思いますが、それはあくまでもそのリーダーの価値観に依存したイノベーションです。
正解が誰にもわからない不確実性が増す時代では、外れる場合も多いということです。
昔は、変化が少なく、価値観も画一化していたので、優秀なリーダーに依存したイノベーションの起こし方でも問題はありませんでした。
優秀なリーダーが革新的なアイディアを一つ思いつくだけで、その企業は数十年以上は安泰でした。
ですが、今はそんなことはありません。
生き残っていくために、求められるイノベーションの数もスピードも方向性も増えています。
なので、今は、一人の優秀な人間に依存するのではなく、組織に所属するすべての人が自分の個性や価値観を使って、継続的にイノベーションを起こせるような仕組みを組織全体として作っていくことが求められるようになっています。
1-3.イノベーションの種類
では、次に代表的なイノベーション理論の提唱者によるイノベーションの種類について紹介していきたいと思います。
1-3-1.ヨーゼフ・シュンペーターが提唱するイノベーションの種類
まず、最初に経済学者のヨゼフ・シュンペーターが提唱するイノベーションの種類と事例について解説します。
画像出典:https://ja.wikipedia.org/
ヨゼフ・シュンペーターは
- プロダクト・イノベーション:革新的な商品の開発
- プロセス・イノベーション:革新的な生産方法や流通方法の導入
- マーケット・イノベーション:新しい市場に参入し、新しい顧客を獲得すること
- サプライチェーン・イノベーション:これまでにない商品の材料や部品などの供給ルートの導入
- オーガニゼーション・イノベーション:組織の運営構造の刷新
という5つのイノベーションの在り方を提示しました。
プロダクト・イノベーション
プロダクト・イノベーションは、商品開発にフォーカスがあたったイノベーションです。
代表的なところで言うと、車・テレビ・電話・冷蔵庫・電子レンジ・エアコン・携帯電話の誕生などがプロダクト・イノベーションに当たります。
革新とは、既存の延長線上の改良ではなく、全く新しい概念であることもポイントです。
プロセス・イノベーション
プロセス・イノベーションは、生産方法や流通プロセスに革新を起こすことで、
- 生産性の向上
- コスト削減
- 品質の向上
などに繋げていくイノベーションのことです。
一番分かりやすいところで行くと、AIや最新の機械を導入することによる生産コストの削減や、店舗販売のみの業態からEC販売をスタートさせることなども、プロセス・イノベーションに含まれます。
マーケット・イノベーション
マーケット・イノベーションは、これまで参入してこなかった市場に機会を見出し、新しい顧客を開拓していくことです。
例えば、今や日本を代表するマットレスメーカとなっている「エアウィーブ」はその代表例です。
画像出典:https://archipelago.co.jp/
エアウィーブを生み出したのは元々、漁網や釣り糸の押出成形機を製造していた愛知県の中小企業でした。
経営が苦境に陥っていた時に、高岡社長から
この釣り糸を寝具の素材にしたら面白いんじゃないか
というアイディアが生まれて、試しにマットレスを作成して、すこぶる寝心地が良かった体験が今のエアウィーブに繋がっています。
漁網や釣り糸を作成する業界から、寝具業界へと機会を見出し、参入して、大きな成果を上げるのはまさにマーケット・イノベーションの成功事例です。
サプライチェーン・イノベーション
サプライチェーン・イノベーションは、商品やサービスを提供するために必要な資材や部品などの供給ルートにおいて、革新的な技術や手法を取り入れることで、企業に大きな価値をもたらすイノベーションを意味します。
具体的な事例としては
- IoTやセンサー技術を活用して、製品の在庫や輸送状況をリアルタイムで可視化し、在庫管理や物流の最適化を図る
- AIや機械学習を活用して、需要予測や在庫最適化などを行い、製品のサプライチェーンの効率化を図る
- 直接顧客に販売する「D2C(Direct-to-Consumer)」の仕組みを導入することで、卸売や小売などの中間マージンを大幅に削減する
などが考えられます。
オーガニゼーション・イノベーション
オーガニゼーション・イノベーションとは、組織マネジメントの領域で、革新的な手法を取り入れることで、企業に大きな価値をもたらすイノベーションのことを指します。
例えば、組織の構成員を変えずに、「セムコスタイル」という組織マネジメントの方法を取り入れただけで
- 従業員一人当たりの売上が過去最高になった
- 17%もあった離職率が0%になった
- 採用コストが1500万円から400万円に下がった
- 経営者の意思決定率100%から50%に下げても、過去最高業績を実現できた
などの変化が起きた事例があったりします。
組織マネジメントは、社員の意欲の高さに直結し、結果として
- 定着率
- 生産性
- 業績
などの高さに繋がっていきます。
1-3-2.クレイトン・クリステンセンが提唱するイノベーションの種類
では、続いては、アメリカの実業家・経営学者のクレイトン・クリステンセンが提唱するイノベーションの種類について紹介します。
画像出典:https://www.amazon.co.jp/
持続的イノベーション
持続的イノベーションとは、既存顧客のニーズに基づき、自社商品・サービスの改善・改良を繰り返し、市場において競争優位性を確保していくイノベーションのことです。
既存顧客のニーズを捉え、市場動向も踏まえた上で、自社商品・サービスを革新していけば、顧客満足度が高まり、リピート率の向上や口コミの発生が見込めます。
具体的な事例としては「スマートフォンのスペックの向上」があるでしょう。
例えば、2007年に、初代iPhoneは発売がスタートされましたが、その当時の容量は「4GB」と「8GB」の2種類でした。
それが「iPhone13」にもなると容量が「128GB」「256GB」「512GB」「1TB」の4種類となり、飛躍的にiPhoneに保存できるデータが増えているのがわかると思います。
簡単に言えば、これが持続的イノベーションです。
破壊的イノベーション
破壊的イノベーションとは、従来の市場の常識や業界地図を根本から覆すほどの破壊力を持つイノベーションのことです。
一番分かりやすいのが、スマートフォンの発明です。
スマートフォンが登場する前は、携帯電話が主流でしたが、スマートフォンの台頭によって携帯電話の市場は一気に縮小しました。
それは「北欧の巨人」と呼ばれ、2008年時点でマーケットシェア40%を握り、Appleと同等の時価総額だったノキアがたった4年で時価総額の90%が消失して、倒産危機に陥ったことがあることからもわかると思います。
たった一つのイノベーションが、業界に大きなパラダイムの転換をもたらすこともあるということです。
イノベーションのジレンマについて
また、クレイトン・クリステンセンは、既存顧客の要望と向き合い、改良に余念がない優良な大企業が陥ってしまいやすい「イノベーションのジレンマ」の問題についても指摘しています。
多くの企業は自社製品が多くの顧客に受け入れられ、市場シェアを確保し、高い売上を記録すると、この成功体験にしがみつこうとします。
つまり、その成功した製品を日々改善・改良し、持続的イノベーションを起こそうとする訳です。
ですが、ある時、日々の改良・改善では追いつけないレベルの破壊的イノベーションを起こす企業が市場に参入してきた時に、一気にその市場のシェアを奪われて、倒産にまで追い込まれてしまうということがよく起きています。
一番有名な事例が、カメラメーカーのコダックが倒産した事例です。
コダックはデジタルカメラを世界で初めて開発した企業であり、2000年までは世界を代表する巨大企業でしたが、2012年には倒産してしまいました。
これはコダックという会社が怠慢で、顧客と向き合ってこなかった訳ではなく、常により高画質で軽いカメラを作ろうと持続的イノベーション(改善・改良)を続けてきました。
ですが、そんな中で「カメラ付き携帯電話」という破壊的イノベーションが市場で起こりました。
世界初のカメラ付き携帯電話は、現ソフトバンクモバイルとシャープが共同開発し、2000年から普及し始め、2003年にはほとんどの携帯電話でカメラが付属するようになります。
もちろん、2003年時点で、携帯電話に付属しているカメラは画質も使い勝手も悪く、容量もあまりないため、コダックにとっては大した脅威ではありませんた。
ですが、そこから10年も経てば、携帯電話に付属されるカメラの品質が劇的に向上したため
日常で写真を撮るなら、高価なデジカメじゃなくて、携帯カメラで良い
と多くの人が思うようになり、結果として、コダックは倒産にまで追い込まれました。
なぜ、コダックは持続的イノベーションを破壊的イノベーションに切り替えなかったのか?
と思われるかもしれませんが、これが中々難しいのです。
破壊的イノベーションは、発言権の強い投資家からは
なぜ、成功するかどうかも分からない新しいことに挑戦するのか?成功する保証はあるのか?
今まで成功したことを続けた方が確実な利益が見込める
と反対されることが多いですし、既存顧客からは
もっと製品の品質を向上させて欲しい
という要望を受けることになります。
この2つを無視することは難しいですし、「大企業病とは?具体的な事例や原因や解決策について徹底解説」でもお伝えしたように、組織も大きくなれば、守らないといけないものも増えますし、次第に挑戦しなくなる風土が出来上がってしまうのです。
だからこそ、多くの企業は持続的イノベーションに固執し、その結果として、他の企業に破壊的イノベーションを起こされて、市場からの退場を余儀なくされてしまうのです。
これが簡単に言えば、イノベーションのジレンマです。
また、このイノベーションのジレンマを乗り越える方法については、後述します。
1-3-3.ヘンリー・チェスブロウが提唱するイノベーションの種類
では、続いては、経営学者のヘンリー・チェスブロウが提唱するイノベーションの種類について紹介したいと思います。
クローズドイノベーション
クローズドイノベーションとは、研究開発から製品開発まで、自社のリソースのみを活用したクローズドな環境下で起こるイノベーションのことです。
他社に情報や技術の流出を防いだ上で、イノベーション起こすので、上手くいけば市場において圧倒的に優位なポジションを築くことができます。
例えば、トヨタ自動車では生産方式として「トヨタ生産方式」を確立し、高品質な車を生産していますが、この生産方法の開発や改良に関しては、自社内のリソースを使って行われており、社外には公開されていません。
オープンイノベーション
一方で、オープンイノベーションは、社内だけでなく、社外のアイディアや技術などのリソースも積極的に活用するというオープンな環境下で起こるイノベーションのことです。
クローズドイノベーションは、社内に独自ノウハウが蓄積される一方、社内でリソースがない分野に関しては効果的なイノベーションが起こせないというデメリットもあります。
また、今の時代はどの業界もテクノロジーの進歩に伴う急激な変化にさらされており、社内のリソースだけで全ての変化に対応できなくなっていることから、オープンイノベーションの必要性が高まっていっています。
例えば、国内2位の自動車メーカー「本田技研工業」は
2040年までに、日本の自動車メーカーとして初めて、全てを電気自動車に変える
ことに挑戦をしていますが、この電気自動車の開発はSONYとも提携をして、一緒に進めています。
SONYに協力してもらっているのは、電気自動車を運転している時に、ガソリン車特有のエンジン音を再現することです。
音の分野に関しては本田技研工業よりも、SONYの方が先進的な技術を持っているので、共同開発をすることでよりスピーディーに、エンジン音も搭載した電気自動車を作ることができます。
2.イノベーションの成功事例と失敗事例
では、続いてはイノベーションの成功事例と失敗事例について解説をしていきたいと思います。
2-1-イノベーションの成功事例
まずは、イノベーションの成功事例について解説をしていきたいと思います。
2-1-1.BEAMSのオンライン接客
まず、一つ目の成功事例がBEAMSの「オンライン接客」です。
BEAMSは、創業から44年間黒字経営を続けてきましたが、世界的なコロナウイルスの流行の影響を受けて、2020年に初めて赤字を記録しました。
人が街に出かけなくなり、接客すら敬遠されるような世の中になったので、ある意味、当然です。
そこで、BEAMSが始めたのが「オンライン接客」でした。
画像出典:https://www.beams.co.jp/
スタッフがBEAMSの各店舗で商品の洋服を試着して、着心地や素材などをレポートし、商品のおすすめポイントなどを紹介します。
動画で伝えるので、ECサイトの静的な写真ページよりも伝わる情報が多くなり、商品の魅力がより伝わりやすくなるのことに加えて、視聴者はライブで直接、販売スタッフに質問もできたりします。
また、ライブを見ながら「欲しい」と思った瞬間に商品を買うこともできるため、ライブ中に多くの売上が上がっていきました。
結果的にBEAMSは、コロナウイルスの世界的な影響が続く中でも1年で黒字化に成功しました。
お客様に商品の価値をどのように届けるのか?
という販売戦略におけるイノベーションでした。
2-1-2.錦見鋳造の魔法のフライパン
続いてのイノベーションの成功事例は、創業50年を超える鋳物メーカーの錦見鋳造が開発した「魔法のフライパン」です。
画像出典:https://hiroba-magazine.com/
この「魔法のフライパン」が誕生するまで、世の中には鋳物の家庭用のフライパンが市場に存在しませんでした。
というのも、鋳物は熱伝導率が高く、短い時間で焼き上がるというメリットがありますが、調理器具として厚さを5ミリまで確保することが普通で、その厚さを確保してしまうと片手で手軽に持てるような重量にならないからです。
市販で売られているようなフライパンの重量にするためには、鋳物で厚さ1.5mmのフライパンを作る必要がありますが、これが不可能に近いくらいの高難易度の職人技術が必要になります。
錦見鋳造も1992年から製品開発を始めて、3年間で開発費として2000万円を使い、2001年になって初めて商品化することに成功しました。
ですが、完成した「魔法のフライパン」は唯一無二の価値を持つ鋳物のフライパンであり
- 短い時間で焼き上がる
- 掃除が楽
- 壊れにくい
- 厚さが薄くて、軽い
- 高温をキープで省エネルギー
などのこれまでにない魅力を持っていたので、発売と同時に雑誌やテレビなどで話題になり、予約30ヶ月待ちとなり、2023年の現在でも手元に届くまでに2年が必要です。
2-1-3.ソースネクストのポケトーク
では、続いてのイノベーションの成功事例はソースネクスト株式会社が開発した「ポケトーク」です。
画像出典:https://www.cansystem.co.jp/
ポケトークは
翻訳機を超えた、夢の「通訳機」
というコンセプトをまさに体現しているツールで、2023年現在で
- ポータブルアイテム
- スマートフォンアプリ
- リモート会議アプリ
などの製品があります。
ポケトークが発売されたのは2017年ですが、その当時存在していたGoogle翻訳をはじめとした翻訳機は
- 瓜二つ → Melon Two
- よりどりみどり → Yoridori Green
- ご飯がすすむ → Rise gose on
と訳してしまうほど、精度が悪いものでした。
なので、実際のコミュニケーションの場面では、ほとんど使えませんでした。
ですが、ポケトークは、
- 日本語
- 英語
- 中国語
を瞬時に同時通訳し、会議ができるほどの精度を持っています。
現在55の言語に対応したポケトークは、国内で3000社に導入されており、国内シェア90%以上で、販売台数100万台を突破し、ソースネクスト株式会社の売上高は147億円を記録しました。
これもまさに通訳機という業界で起きた製品のイノベーションです。
2-2.イノベーションの失敗事例
イノベーションが失敗するのは、ユーザーが求めるニーズと乖離した時です。
どれだけ新しい技術や手法を取り入れても、それがユーザーが求めるニーズと乖離していれば、事業として失敗してしまいます。
2-2-1.初代Googleグラス
2013年に発売が開始され、
iPhoneの発売以来の革命が起きるのでは?
と期待されたGoogleグラスですが、2015年には販売が中止され、事業的には失敗に終わりました。
Googleグラスはかけるだけで
- 写真や動画の撮影
- 通話
- ナビゲーション
- アプリ
などができるようになるメガネ型ウェアラブル端末です。
メガネ型で視界を塞がないので
ハンズフリーでスマホ機能を持たせた未来のデバイス
として多くの注目を集めましたが、
- 怪しまれずに盗撮ができてしまうプライバシーの問題
- バッテリーが4時間しか持続しない
- 端末が1500ドルという高い価格設定
- キーボードがなく、文字の修正ができない
- 10分の動画撮影で端末が高熱になる
- 運転時に使用すると脇見運転になる
- 英語しか対応していない
などの問題があり
スマートフォンの方が良い
という評価を受け、販売中止に追い込まれました。
確かにこれまでにない未来的なデバイスでしたが、ユーザーのニーズと乖離し、日常生活では活用しにくかったため、受け入れられませんでしたが、Googleはスマートフォンを超える次世代型のデバイスとなるように研究開発を続けています。
2-2-3.3Dテレビ
続いては、3Dテレビです。
画像出典:https://monomax.jp/
2009年の映画「アバター」のヒットをきっかけに
これからは3Dの時代だ
という機運が高まり、日本でもシャープやパナソニックが3Dテレビ市場に参入しましたが、
- 専用のメガネを装着しないと見れないという煩わしさ
- 視聴疲れが起きるため、長時間視聴できない
- 3Dに対応した映像コンテンツの不足
- 3D映像の品質が低い
- 通常のテレビよりも高価
などの理由から2017年頃から3Dに対応したテレビ機種は姿を消しました。
3D映像がテレビで見れる
というコンセプトや機能自体はこれまでにない新しいものでしたが、使用感など、テレビを視聴している消費者のニーズと乖離していたため、このイノベーションは失敗に終わりました。
3.イノベーションが起きない企業の特徴と原因とは?
では、続いては、継続的に効果的なイノベーションが起きない企業の特徴と原因について解説をしていきたいと思います。
3-1.従業員の仕事に対する意欲が低い
まず、イノベーションを起こすために最も重要になってくるのは、その組織に所属する人たちの熱意です。
これは想像すれば分かるのですが、仕事に対する意欲が低く、組織に不満ばかりを持っている人は
いかに楽して給料をもらうか?
いかに指示された目の前の仕事をこなすか?
いかに上司に怒られないようにするか?
と自分のことや目の前のことしか考えなくなってしまいます。
そういう人たちは
いかに業界を驚かせるような新商品を考えるか?
いかに先進的な集客方法や販売方法を考えるか?
どうすれば未来の社会をリードする技術を開発できるか?
は考えません。
効果的なイノベーションを継続的に起こし続ける企業というのは、まず従業員の熱意が非常に高いのです。
仕事に対する熱意があるからこそ、問題に対する解決策やイノベーションを起こす種も見つかるのです。
これはミーティングを開けば分かります。
何か、解決しないといけないビジネス上の課題があったとして
これに対する解決のアイディアは何かないか?
と全員に問いかけてみてください。
シーンと静まり返ったり、いつも発言する人しか発言しない会社というのは、組織全体として働く意欲が低いのです。
ミーティングで意見が出ないというのは、熱意が低く、その問題や課題について日々、何も考えていないからです。
本当に組織全体としてイノベーションを起こし続けることができる企業であれば、ほぼ全員から活発な意見が返ってきます。
3-2.トップダウン型という組織運営の構造
また、トップダウン型という組織運営の構造もイノベーションの発生を阻害しやすくなります。
世の中の99%の企業はピラミッドの階層構造型のトップダウン型の組織形態を取り
リーダーの意思決定にメンバーが従う
という絶対原則の元に、同じ目的・ゴールを追いかける集団に変えるという形で運営されています。
このトップダウン型組織は
- 優秀なリーダーが就任すれば、短期間で大きな業績を上げることができる
- 指示命令系統がシンプルで、誰がいつどのタイミングで入ってきても組織運営に混乱が起きにくい
などのメリットがありますが、
リーダーの言うことが絶対
という傾向が進みすぎると、メンバーは自分の意見を考えないようになります。
例えば、どれだけ効果的な意見を提案したとしても
この分野では、俺の方が実績も経験も上なんだから新人は黙ってろ
という態度でリーダーが接してきたら、意見も言えなくなります。
そうなると、効果的な意見を提案するのではなく、リーダーの指示に従うことを優先するようになってしまって、その組織は一人のリーダーの個性だけを活かしたイノベーションの方向性しか生まれなくなると言うわけです。
また、他のメンバーは優秀なリーダーに頼り切るようになってしまい、思考停止に陥ることで、会議をしても何も意見が出てこないなどの状況を発生させてしまいます。
このような理由から、ホームエンターテイメント業界世界No.1のNetflixなどは、トップダウン型という組織構造を採用せずに、意思決定の権限と責任をリーダーではなく、メンバーに委ねていくという組織構造を取っています。
だからこそ、Netflixでは、リーダーだけでなく、様々な階層のメンバーからイノベーションを起こすことに成功しています。
効果的なイノベーションを継続的に起こすために重要なのは、一人のカリスマに依存しないということです。
そのカリスマの才能や感覚が時代に合っている時は良いですが、合わなくなった時に取り返しがつかないことになります。
なので、メンバーからもイノベーションが起きるような組織構造を作っていくことが重要になります。
3-3.心理的安全性が低い
また、組織に所属する様々なメンバーからイノベーションを起こすことが重要だという観点になったときに「心理的安全性」を高めていくことも重要になってきます。
心理的安全性は、
率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなくできる度合い
のことです。
心理的安全性が低い職場とは
- 誰からも意見や提案がほとんど出ない
- 反対意見や違和感を伝えることができない
- 挑戦することを否定される
- 叱責や怒号が飛び交っている
- 報連相が遅い
- 気軽に上司に相談できない
- わからないことがあっても質問できる空気がない
- 失敗したら皆の前でひどく叱責される
- 前例や実績がなければ新しいアイディアは試せない
というような職場です。
想像してもらえれば分かるのですが、こんな職場では、発展的なイノベーションの話ではなく、従業員は常に上司の顔色を伺って、仕事をするようになるので、イノベーションなんか起こりようがありません。
3-4.仕事の成果と報酬が紐づいていない
また、日頃から
仕事の成果と報酬が結びついていない
と多くの従業員が感じている企業でもイノベーションは生まれづらいです。
イノベーションの創出は、時代の変化に取り残されそうになっている自社を救う起死回生の一手となり得る非常に価値があり、重要な仕事です。
そんな価値のある仕事にも関わらず、
イノベーションが成功したら、自分にどんな見返りがあるのか?
というインセンティブが分からなければ、取り組む意欲がどうしても低くなってしまいます。
1年目で営業の仕事を頑張り、営業成績で新人No.1となり、会社に何億円も貢献したのに、もらえた報酬が缶ビール1本だった
という話を聞いたことがありますが、これでは会社にイノベーションを起こして、貢献しようという意欲が失せてしまいます。
3-5.クリエイティブスペースがない
また、クリエイティブスペース(創造の余白)がない企業もイノベーションを継続的に起こすことはできません。
クリエイティブスペースとは
- 物理的余裕:時間など
- 精神的余裕:精神状態など
を意味します。
物理的余裕は、時間的な余裕だと考えてもらえれば良いです。
例えば、毎日朝9時から22時までの13時間働き詰めで、常に今すぐこなさなければいけない仕事に追われている時は、人は目の前の仕事以外のことを考える余裕はありません。
当然、そんな状態では、これまでの常識を破壊するようなイノベーションのアイディアは生まれないと言うわけです。
一方で、心理的スペースは、心の余裕です。
締め切りに間に合わないかも
これを提案したら怒られるかも
会社に行くのが嫌だな
というような状態では、新しいアイディアを出したりする気には中々ならないというわけですね。
実際に、イノベーションを生み出し続ける企業は、意図的にこのクリエイティブスペースを用意しています。
「もっともイノベーティブな企業調査」(ブーズ&カンパニー)でも上位にランクインし、アメリカの3Mという企業では「15%カルチャー」という文化を敷いています。
これは
社員の勤務時間の15%は、社内のリソースを最大限に使って、自分の好きな研究テーマに時間を費やせる
というものです。
実はこのポストイットも、15%カルチャーの研究時間から生まれていたりします。
4.イノベーションを継続的に起こす方法
では、最後にイノベーションを継続的に起こす方法について解説をしていきたいと思います。
4-1.メンバーの意欲と主体性が高まる組織構造を作る
まず、少数のカリスマ的なリーダーに依存せずに、組織全体として効果的で継続的なイノベーションを起こすためには、メンバーの意欲と主体性が自然と高まる組織構造を作らないといけません。
ですが、「トップダウン・ボトムアップとは?最高の組織を作るためベストな意思決定方式とは何か?」でも解説した通り、多くの組織が採用しているトップダウン型組織で、メンバーの意欲や主体性を上げていくことは構造的に難しいのです。
というのも、トップダウン型組織は「指示・管理」を運営思想とするからです。
人は誰もが
- 人から命令されること
- 人から強制されること
- 人から指示されること
を実行することにはモチベーションが湧きません。
そこで提案したいトップダウン型に代わる組織運営の構造が「セルフマネジメント型組織」です。
セルフマネジメント型組織とは、一言で表現するのであれば
メンバーに任せても、最高の業績と働きがいが実現できる組織
のことです。
セルフマネジメント型組織ではリーダーとメンバーの役割が大きく変わります。
トップダウン型組織では
- リーダー:計画・意思決定・指示・行動管理・結果責任
- メンバー:実行
というふうに役割が分かれていました。
セルフマネジメント型組織では、この従来リーダーが担っていた役割をメンバーができるようにリーダーがサポートをし、いちいちリーダーが計画・意思決定・指示・行動管理・結果責任を引き受けなくても、最高の結果が手に入ることを目指していきます。
具体的には
- リーダー:メンバーの目標設定と達成のサポート
- メンバー:計画・意思決定・指示・行動管理・結果責任
のように役割が変わるということです。
もちろん、最初はメンバーはリーダーと同じ水準で、計画したり、意思決定をしたり、行動をすることはできないので、最初はリーダーのサポートを受けながら、失敗しても影響の少ない範囲から任せる領域を増やしていきます。
メンバーは仕事において
- どういう目標を設定するのか?
- その目標をどう達成するのか?
- 期限はいつまでにするのか?
- リーダーからどんなサポートを受けたいのか?
- どのように仕事を進めたいのか?
について、リーダーに相談しながら自由に決めることができるので
3日後までに、指定した方法で、この仕事を仕上げといて
と一方的に指示をされるだけの仕事の進め方より意欲も主体性も高く仕事を進めることができます。
実際にトップダウン型組織からセルフマネジメント型組織へ移行した企業では
- 単月売上過去最高1300万円から2000万円にUPし、平均離職率30%を超える業界で離職率3%を実現(歯科医院)
- 売上昨年対比150%を達成し、採用コストが1500万円から400万円に(化粧品メーカー)
- 年間売上目標達成率が80%から150%に大幅アップし、営業の成約率が20%から40%へとアップ(動画制作)
- 従業員一人当たりの平均売上が過去最高になり、3年以内の新卒離職率が50%から3%にダウン(コンサルティング)
- 6ヶ月で離職率17%から0%へとダウンし、経営者の意思決定率を100%から60%に下げながら、1500万円の売上アップ(事業プロデュース)
といったように、社員の意欲と主体性が高まった結果、業績アップにも繋がっています。
このセルフマネジメント型組織の具体的な作り方については「セムコスタイルとは何か?業績と働きがいが飛躍的に高まる組織の作り方を徹底解説」で詳しく解説をしているので、興味がある方はこちらもご覧ください。
4-2.イノベーション・アイディアの提案機会とフィードバック構造を作る
そして、次に重要になってくるのは、メンバーがイノベーションに繋がるアイディアを提案し、実際に有効性や可能性が認められれば、実現できるという機会を仕組みとして作ることも重要です。
例えば、時価総額200兆円で、GAFAの中で最も新規事業の成功事例が多いAmazonでは、どの階層に所属をしていてもイノベーション・アイディアを提案できるという仕組みを取っています。
プロセスも明確に決まっていて
- 指定されたフォーマットで企画書(PR/FAQ)の作成
- 関係者で企画書についてのブラッシュアップ・ミーティング
- 「Amazonが取り組む価値がある」と判断されれば、ファイナンス部門が入ってビジネスプランを立てる
- ファイナンシャルチェックもクリアすると正式承認が降り、プロジェクトがスタートする
- 破壊的イノベーションや大きな投資が伴う案件はSクラスの経営陣に企画の可否を判断してもらう
となっています。
イノベーションが起きない…
と悩んでいる企業には、こういったイノベーションを実現するための正式なプロセスすらないところが多いです。
また、Amazonは年に1回、「イノベーション・サミット」という参加型のイベントを開いていることも特徴的です。
このイベントでは、イノベーションに関心があるメンバーが参加し、各自、イノベーションのアイディアを持って集まり、発表することができます。
また、発表後には、発想が近いメンバー同士でチームを組み、チーム毎にディスカッションをして、アイディアをブラッシュアップして、洗練させた上で、もう一度、プレゼンテーションを行います。
そのプレゼンテーションを見て、マネジメントメンバーが優れたアイディアを選び、選ばれたアイディアは企画書に落とし込まれ、実行に移すかどうかがジャッジされます。
こういったイベントが定期的にあるだけでも、イノベーションを醸成する風土が社内にできますし、ここで賞金などもあれば、さらにメンバーの参加意欲も湧くでしょう。
また、Amazonが、企画書のブラッシュアップミーティングなどを開くことによって、イノベーションのアイディアにフィードバック構造を持たせているところも注目したいポイントです。
なんとなく思いついたアイディアというのは、
- 実際に顧客のニーズがあるのか?
- 実現可能なのか?
- そのアイディアを実現するために何が必要なのか?
- 本当に今、私たちがやる価値があることなのか?
- 企業のミッションに沿っているのか?
などが深く検討されていない場合が多いです。
そういったアイディアは実行しても、成功する可能性は著しく低くなってしまいます。
なので、イノベーションのアイディアが実行に移されるまでに、そのアイディアを洗練させるフィードバック構造を作ることも意識しましょう。
4-3.小さく実験できる環境を整備する
また、イノベーションのアイディアというのは、これまでにない新しい試みなので、実際にそれで成果が上がるかどうかはどこまで行ってもやってみないと分かりません。
様々なイノベーションを生み出してきた、世界的な大企業のGoogleでさえ「Googleグラス」で失敗することもあるのです。
なので、イノベーションを生み出していく上で重要になってくるのは、イノベーションのアイディアを、いきなり大きな投資や社運を賭けたプロジェクトにしないということです。
Amazonも正式承認が降りた後も、はじめはまず担当者を一人アサインし、そのアイディアの実現可能性をしっかりと調査させ、小さくサービスを始めることからスタートします。
小さく始めれば、たとえ失敗したとしても、それほど大きな損害にはならないですし、株主からも批判を浴びなくて済みます。
イノベーションのジレンマに陥らないためには、既存製品の改善・改良に取り組みつつ、業界を変革し、次世代をリードするような破壊的イノベーションのアイディアを小さく実験できる仕組みを持つことだ
と、経営学者のクレイトン・クリステンセンも指摘しています。
画像出典:https://www.amazon.co.jp/
小さく実験をし、少しでも成果を上げたのであれば、確かな根拠を持って、破壊的イノベーションにも挑戦することができます。
4-4.クリエイティブスペースを用意する
また、イノベーションを起こしていくためには
- 物理的余裕:時間など
- 精神的余裕:精神状態など
といったクリエイティブスペースがある程度、必要になります。
特に重要になってくるのは、多くのイノベーションを起こす企業がやっているように
イノベーションのアイディアを考える時間を定期的に設ける
ということです。
3Mは「15%カルチャー」ということで勤務時間の15%をそういった時間に充てていますし、Googleも「20%ルール」を採用して勤務時間の20%は余白の時間にしています。
イノベーションのアイディアを考えることを強制させてはいけませんが、
新しいことを考えることが好き
業界の構造を変えたい
イノベーションに挑戦したい
という野心的な思いを持つメンバーがイノベーションに挑戦できる機会を設けることも重要です。
なので、例えば、イノベーションを起こすことに興味関心のあるメンバーを社内で集め、プロジェクト・チームを作り、そのチームメンバーは
月に2日までは、通常業務の時間をイノベーションのアイディアを考える時間に充てて良い
とすることもクリエイティブスペースを生むことに繋がるでしょう。
5.イノベーションを継続的に起こせるようになりたい全ての方へ
今回の記事では「イノベーション」についての基礎知識や事例や方法などを様々な角度でお伝えしました。
ぜひ、今回の記事を読んで、イノベーションを継続的に起こせるような組織になるきっかけにしていただけると幸いです。
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