大企業病とは?具体的な事例や原因や解決策について徹底解説

                       

ブランドコンサルタント・中江 翔吾

大企業病

「大企業病って何?」
「大企業病になるとどんな問題が発生する?」
「大企業病を克服する方法を知りたい…」

大企業病は、一般的には組織の規模が拡大するにつれて発生し、最終的には

  • 業績が悪化する
  • 生産性が低下する
  • イノベーションが起きない
  • モチベーションが低下する
  • 離職率が上がる

などに繋がるので、放置しておくと組織が確実に衰退していきます。

そして、この大企業病は従業員数1000名を超えるような大きな企業だけでなく、小さいところであれば、20~30名からでも発生する可能性があるので、経営者であれば必ず向き合わないといけない課題となります。

ここを乗り越えられるかどうかで、その企業が一時的に大きな成長だけをして終わっていくのか、それ以降も長期的に繁栄していくかどうかが決まると言っても過言ではありません。

中江 翔吾
中江 翔吾
というわけで、こんにちは!ブランドコンサルタントの中江です。

今回は「大企業病とは?具体的な事例や原因や対策」について解説したいと思います。

この記事を読んでいただければ、大企業病に関する基礎的な知識だけでなく、大企業病を克服するための具体的な方法についてもわかるようになっています。

ぜひ、最後までお読みください!

1.大企業病とは

まずは「大企業病とは何か?」について解説をしていきます。

大企業病は、所属する人数が増えるにつれて、組織が機能不全になっていく状態を意味します。

具体的には

  • 意思決定のスピードが下がる
  • メンバーが指示待ち・思考停止になる
  • メンバーが死んだ魚のような目をして働く
  • 保守的になり、新しい挑戦をしなくなる
  • 会議での発言が特定の人に偏る
  • 優秀な人間から会社を去っていく
  • 信頼関係がなくなり、社内の雰囲気が殺伐とする
  • 派閥争いや社内政治が横行して、各自がエゴイズムに走る
  • お客様ではなく、上司の顔色を第一に考えるようになる

などの問題が勃発して、最終的には、業績、生産性、離職率などの悪化に繋がっていきます。

この大企業病は100人以上の組織だから起こるというものではなく、少ないと10名以下の組織でも起こる可能性があり、経営者は必ず向き合わないといけない問題になります。

経営者

今、業績は上がり続けているから、今後も大丈夫でしょう

と安易に思わないほうが良いです。

業績が高くても、先ほど挙げたような問題が起こっているのであれば、まず、優秀な人材から会社を去り、会社に残るは、仕事への意欲も低く、指示待ち・思考停止の人たちばかりになります。

そして、社内では不平・不満が噴出し、各自が

いかにお客様に喜んでもらえる仕事をするか?

ではなく

いかに効率よく楽にこなし、給料をもらうか?

を第一に考えるようになっていきます。

皆が自分のことを第一に考えるので、組織の目的のために部署の垣根を超えて協力することは愚か、部署内でも一致団結することは無くなり、社内は殺伐とした雰囲気になっていきます。

当然、そういう組織は「保守的」で、「効率性」を第一に考えます。

新しいことや変化することは面倒が増えるだけで、極力やりたくないのです。

当然ですが、そういったスタンスで仕事をしていると、時代にどんどん取り残されるようになり、業績も悪化していきます。

この状況を変えようと、立ちあがろうとした優秀なリーダーや将来有望な若手も、変わりたくない「保守勢力」に潰されていきます。

そして、さらに優秀な人材の流出が進み、離職率は高まり、コストをかけて採用しても、どんどん辞めていくという負のループに入っていきます。

会社を辞めていった人たちは会社の悪口をインターネットに書き込み、さらに求人で人が集まらないようになっていきます。

これは何も特別なことではなく、組織を作るとなると、ほとんどすべての人がこのような状況に追い込まれます。

でも安心してください。この大企業病を克服する方法も後程しっかりとお伝えします。

2.大企業病の症状

では、次に大企業病の代表的な具体的症状についてお伝えしていきます。

2-1.集団としての統率を取るために必要以上のルールが敷かれる

業績が上がり、組織に新しい人がたくさん入ってくるようになると、これまでなかった様々なルールが敷かれるようになります。

というのも、新人は、その会社の仕事は未経験であり、何をしていいのか、何をするべきでないのかといった仕事における判断軸がないからです。

なので、マニュアルなどを作成して、きっちりとルールを作り、ミスを最小限に防ぐために、ルールをしっかりと守らせるということが多くの組織ではなされます。

確かに、このルールを敷くという行為は、新しく組織に所属することになったメンバーに対して、スピーディーに教育ができ、効率的に品質を上げることに寄与します。

新しく人が増えたことによって、商品・サービスの品質が下がるといった不安定さは一時的には解消できるかもしれません。

ですが、このルールで統制するということをやり過ぎてしまうと、

このルール以外のことはやってはいけない

という発想になり、マニュアルに書いていること以外は何もできないという人材が社内に溢れるようになります。

少しでもマニュアルに書かれていないイレギュラーなことが起きたら、全く対応できず、長期的に見ると、その企業に対する顧客からの評価も下がっていきます。

ですが、本当に繁栄している企業は常にマニュアルを守ることではなく、顧客のことを第一に見て、マニュアル以上の感動的なサービスを提供するものです。

例えば、リピート率40~50%を誇り、

  • 全米一のサービス品質
  • 世界で最も優れた企業

など様々な賞を受賞しているリッツカールトンがそうです。

リッツカールトン

例えば、アメリカのフロリダ州にあるリッツカールトンで、ビーチ係のスタッフが、ある宿泊客の男性から

今夜、砂浜でプロポーズをしたいから、ビーチチェアを一つ残しておいてくれないか?

と頼まれました。

もし、マニュアルでガチガチに固められている企業だったら

すいません。ビーチチェアは規則で18時までに倉庫に全て片付けないといけないんです

と言って断るでしょう。

ですが、リッツカールトンは、お客様の期待値を超えて、感動を与えることを目指しているので、そのビーチ係のスタッフは、まず男性の要望通りにビーチチェアを一つ残しました。

そして、それだけでなく、ビーチテーブルも残して、真っ白なテーブルクロスを敷き、お花とシャンパンを飾り、プロポーズの際に男性が膝まづいた時に、膝が砂で汚れないようにタオルまで用意しました。

そして、そのビーチ係のスタッフは、タキシードを借りて、着替えて、手には白いクロスをかけて、二人のカップルが来るのを待っていました。

ここまでするからこそ、リッツカールトンは顧客満足度において世界の中でも群を抜いているんですね。

これはマニュアルでがんじがらめに縛られた企業では起こり得ないことです。

2-2.安定志向が強まるため、新しい挑戦が否定される

また、組織の規模が拡大するということは、それだけ事業が順調な証拠なので、できるだけこの状態を安定してキープしたいと思います。

なので、これが過剰に進み過ぎて、よく起こるのが、前例踏襲と新しい挑戦への否定です。

それって何か、前例があるんですか?根拠はあるんですか?実績はあるんですか?失敗した時はどう責任を取るんですか?

というような言葉が飛び交い、組織内で同じやり方が繰り返されることが多いです。

その繰り返し続けるやり方が、市場にはまっている場合は良いのですが、市場や社会は変化していくものなので、時の経過とともに同じやり方で成果を上げ続けることは難しくなっていきます。

組織全体として

  • 新しい挑戦を否定する
  • 変化を嫌う

という保守的な姿勢を貫き続けていけば、イノベーションは起こらず、窮地に陥り、変わらなければならない局面に来たとしても、変わることができず、衰退していくことがよく起こります。

これも大企業病の一つの大きな特徴です。

2-3.意思決定のスピードが下がる

組織の規模が拡大するにつれて、意思決定のスピードが下がるということがよく起きます。

特に縦割りのヒエラルキー構造をとっている場合は、些細なことを決めるのにも、多くの人の決裁を必要とする場合が多いです。

決裁

あまりにも多くの人の決裁が必要な場合、確かに様々な人の観点が入るので、ミスや失敗は軽減されるかもしれませんが、少しでも反対の立場の人間がいると、そこでまた調整の時間が必要になります。

最終的には完成度が高い意思決定となるかもしれませんが、時間がかかり過ぎて、機を逃すことにも繋がるでしょうし、これだけ面倒なプロセスを経なければ何も決まらないのであれば、

余計なことはせずに、今まで通りのやり方を続けよう

と考える社員も増えていくでしょう。

2-4.トップの意思決定の精度が下がる

また特にトップダウン型組織であれば、組織に所属する人数が拡大していくと、組織のトップの意思決定の精度が下がります。

トップダウン型組織

意思決定の精度は、その状況においてどれだけフラットで適切な情報を収集し、咀嚼し、判断できるかにかかっています。

なので、組織の人数が10人というような場合は、把握するべき情報量も限られているので、トップの意思決定がズレることは少ないですが、それが100人や1000人ともなっていくと、把握するべき情報量が増え過ぎてしまって、全てのことを踏まえた上で、意思決定することができなくなります。

なので、よく大きな組織では

現場のことを全く理解していない意思決定がされている

というような話は聞きますが、これはまさに組織の規模が拡大したことによる弊害です。

2-5.分業化が進み、組織本来の目的を見失い、対立や溝が生まれる

また、組織が拡大していくと、多くの組織では

  • 総務部
  • 人事部
  • 経理部
  • 営業部
  • 開発部
  • 事業部
  • 製造部

というように仕事の役割ごとに組織を分け、分業化が進んでいきます。

部署

基本的にいつも顔を突き合わせて仕事をするのは同じ部署の人間だけになるので、効率的に自分たちの役割を果たすことができるようになる反面、他の部署とのコミュニケーションが減り、状況も見えづらくなるため、対立や溝が生まれることがよく起きます。

その最たるものが、部署間の対立です。

例えば、営業をする部署と商品・サービスを提供する部署で

営業部はいつも売上を立てるためだからと言って、無茶苦茶な商品・サービスの基準を要求してくる

営業部が要求してる基準で商品・サービスを提供しないから顧客からクレームが来た

と自分たちの部署の論理だけを持ち出して、対立することがしばしば起こります。

これは分業化が進んだことによって、仕事の全体像が見えなくなり、組織本来の目的が見えなくなり、各自がエゴイズムに走ることを示しています。

こうした状態を放置していると、組織全体が顧客に向かうのではなく、内側に向き、派閥争いや社内政治が勃発するようになってしまいます。

当然そんな企業は長期的に見ると、顧客の方を見ていないので、衰退していきます。

2-6.優秀な人材から組織を離れ、離職率が高まる

これまで紹介したような5つの症状が起きるということは、組織全体として働きがいが下がることを意味します。

働きがいが低くなると、優秀な人材から組織を離れていくという現象が起きます。

退職届

これはある意味、当然で、どれだけ給料が高くても

  • ルールにがんじがらめで自分の思うような仕事ができない
  • 新しいことに挑戦しようとしたら全否定される
  • 何か物事をよくしようと進めても、膨大な根回しが必要
  • 各自は自身の出世と保身しか考えない
  • 部署間や部署内で対立が起き、足の引っ張り合いが起きている
  • トップの意思決定が頻繁に間違う

というような組織には誰もいたくないものです。

特にこうした働きがいに敏感なのは、適切な意思決定ができる優秀なリーダーや将来有望な若手です。

優秀な人材が流出していくと、組織に残るのは、指示待ち・思考停止で、自分のことしか考えていないメンバーばかりになります。

そして、社長はその穴を埋めようと、孤軍奮闘し、気づけば

社長がいないと会社が回らない

という非常に孤独で、不安定な組織になっていきます。

2-7.意欲が下がり、一人当たりの生産性が下がり、業績が悪化する

また、

  • ルールにがんじがらめで自分の思うような仕事ができない
  • 新しいことに挑戦しようとしたら全否定される
  • 何か物事をよくしようと進めても、膨大な根回しが必要
  • 部署間や部署内で対立が起き、足の引っ張り合いが起きている
  • 各自は自身の出世と保身しか考えない
  • トップの意思決定が頻繁に間違う
  • 優秀な人材から会社を辞めて、離職率が上がる

というような状況が発生すると、当然ですが、組織に残るメンバーの働く意欲は下がり、生産性も緩やかに下がっていきます。

業績悪化

目に見えて業績が悪化していくと

本当にこの会社で働いていていいのかな?

と疑問を持つようになるメンバーが増えていき、それがさらに離職率を高めていきます。

この状況を変えようと立ちあがろうとしても

何も変えたくない。これまで通りのやり方を続けたい

という権力だけを持った保守勢力の反対にあって状況を変えることすら出来なくなります。

2-8.採用活動をしても人が集まらなくなる

また、これだけ組織全体で働きがいが低くなってしまうと、採用活動をしても人が集まらなくなっていきます。

というのも、今働いている人やもうその会社を辞めてしまった人が、その会社への恨みから、インターネットを通じて評価の低い口コミを書いていくからです。

悪い口コミ

今の時代はインターネットがあるので、都合の悪いことは隠していても絶対にバレます。

なので、1人あたりの採用コストは跳ね上がっていき、人が辞めて、抜けた穴すら埋められないようになっていきます。

3.大企業病が発生する原因

では、次に大企業病が発生する原因について解説をしていきたいと思います。

大企業病というのは組織が拡大すれば、必ず発生するというわけではありません。

組織の規模が大きくても、大企業病を発生させていない企業もあります。

では、大企業病になってしまう原因は何なのか?

私はこれは

組織をどう運営していくのか?

という「組織マネジメント」の問題だと思っています。

まず、大企業病を発生させてしまっている多くの組織では「トップダウン型」の組織マネジメントの手法が採用されています。

トップダウン型組織

トップダウン型組織とは、組織をピラミッドの階層構造にして

  • リーダー層:計画・意思決定・指示・行動管理・結果責任
  • メンバー層:実行

という役割に分かれて、同じ目的・ゴールを追いかける集団にするという形で運営される組織のことです。

このトップダウン型組織には

リーダーの意思決定にメンバーが従う

という絶対原則があるので、優秀なリーダーが就任すれば、短期間で大きな成果を出すことができます。

しかも、組織運営の構造がシンプルなので、マネジメントもやりやすい上に、メンバーは迷いなく、行動に移すことができます。

トップダウン型

他にも

  • スピーディに集団としての統率が取れる
  • リーダーの意思をスムーズに全体に反映できる
  • 仕事のマニュアル化が進み、品質が安定する

といったメリットがあるので、ほとんど全ての企業で採用されています。

ですが、このトップダウン型のマネジメントには上記のようなメリットがある一方で、組織マネジメント上の多くの課題を発生させます。

例えば、その中の一つに

メンバーの意欲が低くなりやすい

というデメリットがあります。

というのもこのトップダウン型のマネジメントの根本思想というのは「指示・管理」がベースになっていて、人は

  • 他人から命令されること
  • 他人から指示されること
  • 他人から強制されること

を実行することにモチベーションが湧きません。

なので、企業のように組織を長期的に運営していくとなると、どうしても従業員の働く意欲が下がり、それが生産性の低下や離職率の上昇に繋がるというわけです。

また、トップダウン型のマネジメントは、組織を硬直化させます。

例えば、先ほど、大企業病の症状として

  • 思考停止のマニュアル人間が量産される
  • リーダー層の意思決定の精度が下がる
  • 前例踏襲が推奨され、新しい挑戦が否定される

というようなことを紹介しましたが、まさにこれは

リーダーだけが意思決定をできて、メンバーは意思決定に関与できない

という構造を持つトップダウン型組織だからこそ起きる問題です。

例えば、思考停止のマニュアル人間が量産される仕組みもそうです。

思考停止のマニュアル人間が量産されるのは

このルールを守りなさい。これ以上の余計なことはしなくていいから

とリーダーの意思決定を守ることをきつく厳命されるからです。

メンバーが

この方がお客様は喜ぶだろう

と良かれと思ってした行動は否定され、叱責されます。

これは

リーダーの意思決定にメンバーが従う

という原則から外れた行為だからです。

ですが、本当にお客様に感動を与えるようなサービスを行いたいのであれば、どこかのタイミングで少しずつでも、メンバーに権限委譲をし、メンバーが意思決定に参画できる領域を作った方が良いです。

例えば、リーダーがはじめにルールを決めたとしても、メンバーが現場で動く中で

このルールはこう変えた方がいいな

と思った際には即座に提案できて、チーム内で話し合い、現場のルールを変えることができるようにするということですね。

こちらの方が長期的に見ると、顧客満足度も上がり、業績アップに繋がることは明白です。

先ほど紹介したリッツカールトンも、スタッフの接客の仕方に厳密なマニュアルやルールを敷いているのではなく、お客様が感動するような接客をするという目的に沿って、各自が自由に判断できるという裁量を与えています。

その裁量権内なら上司のお伺いなしに、メンバーが自分の判断で行動でき

ルール内かどうか?上司に怒られないか?

ではなく

お客様にどうすれば喜んでもらえるか?

という発想で仕事をするようになるので、思ってもみなかった感動的なサービスができるのです。

ホテルスタッフ

現場を一番把握しているのは、最前線で動いているメンバーであり、彼らも意思決定の機会に参画させる方が合理的です。

彼らが意思決定に参加する機会が増えれば、現場の事情もよく分かるためトップの意思決定の精度も上がるでしょうし、リーダー層の想像を超える方向性の提案も生まれるかも知れません。

大企業病を乗り越えていく鍵というのは

リーダーが全てを決めて、メンバーに実行させる

という組織構造をどう乗り越えられるかにかかっているといっても過言ではありません。

組織に関わる人間が増えるにつれて、リーダーが全てを把握し切って、全てを決めていくことは不可能だと悟らないといけません。

どこかのタイミングで、メンバーに任せても、業績も働きがいも高い組織を作れるようなマネジメントに移行していくことが重要です。

実際に、大企業病を発生させていない企業は、上手くメンバーに権限委譲を進めています。

4.大企業病を克服するための方法

大企業病を克服していくには

リーダーが全てを決めて、メンバーに実行させる

というトップダウン型の組織構造を乗り越えていく必要があります。

そこでおすすめしたいのが「セルフマネジメント型」と呼ばれる次世代型の組織マネジメントスタイルです。

トップダウン型組織とセルフマネジメント型組織

このセルフマネジメント型組織とは、メンバーのオーナーシップを高め、リーダーが計画・意思決定・指示・行動管理をしなくても、組織本来の目標・目的を達成できるようにする組織のことです。

もっと砕けた言い方をするのであれば

 メンバーに任せるだけで、最高の結果(業績も働きがいも高い)が手に入る

という自走する組織を作るということです。

 

先ほど挙げたように、大企業病の最も根源的な問題は

  • メンバーの意欲が下がること
  • 意思決定が硬直化していくこと

という2点にあります。

この2つの問題が発生するのは、リーダーがメンバーに信頼して、任せることができる領域が少ないからです。

人の意欲の源泉というのは

私は状況を所有している。コントロールしている。変えることができる。

と思えているオーナーシップにあります。

トップダウン型組織では階層によって与えられている「情報・権限・責任」に差があり、階層によってオーナーシップの差が生まれます。

トップダウン型組織のオーナーシップ

もちろん、この場合、最もオーナーシップを感じているのは経営者です。

経営者は、最大の情報・権限・責任を与えられているので、自分の興味・関心に従って

  • 今年の売上目標をどうするか?
  • 会社のミッションは何と定めるのか?
  • 誰をリーダーとして採用するか?
  • 社内のルールや働き方をどうするか?
  • 給与や人事評価をどうするか?
  • どんな場所で働くのか?

など、自由に状況を決めることができるので、モチベーションは高くなります。

一方で、階層の下のメンバー層の方は、上記のような項目に対して、情報・権限・責任を与えられていないので、

こう変わったらいいのにな

と思っていても、口にすら出せないことが多いわけです。

口に出したところで状況は変わらないどころか、社内での立場を危うくすることだってあり得るからです。

人は願望があって、行動をしてもそれが叶わないという状況に長期間置かれると、モチベーションは下がっていきます。

これを打破していくには、メンバーの意思決定可能領域を少しずつでもいいので広げていくことが大事です。

もちろん、最初は、適切な判断をするためのリテラシーが不要で、組織にとって大きな影響がないところからです。

つまり、最初から経営戦略や給与に関わることから任せるのではなく、社内向けイベントや日報の書き方など小さいことからでも任せていく領域を増やしていくということです。

それだけでもメンバーのオーナーシップは高まっていき、意欲や主体性は回復していきます。

また、セルフマネジメント型組織では

  • リーダー層:メンバーの目標達成をサポートする
  • メンバー層:計画・意思決定・行動管理・結果責任を引き受ける

というように役割が変わり、リーダーはメンバーの目標達成をするコーチのような役割に変わります。

メンバーはメンバーで、ただただリーダーの指示を聞いていればいいというわけではなく、開示された情報をもとに、リーダーのサポートを受けながら、自分自身で意思決定をし、行動管理をし、結果責任を引き受けるという姿勢が求められます。

コーチ

メンバーはトップダウン型組織と比べると、裁量権が増え、仕事に対する自由度が高まるため、意欲や主体性が上がっていく上に、

  • 現場最適のスピーディで柔軟な意思決定
  • リーダーの想定外のメンバーの個性が生かされた意思決定

がされるので、組織全体として見ても意思決定のレベルというのが上がっていきます。

そんなの理想論でしょう?

と思われるかもしれませんが、実際にトップダウン型組織からこのセルフマネジメント型組織へ移行してる企業は世界で12カ国、日本だけでも数十社以上あります。

また実績としても

  • 平均年間成長率147%、離職率2%、就職人気企業ランキング第1位を獲得(製造業)
  • 離職率3%を実現し、4年連続赤字が1年目で黒字転換して、過去最高売上を達成(歯科医院)
  • 採用コストが1500万円から400万円に下がり、売上昨年対比150%を実現(美容機器・化粧品メーカー)
  • 従業員一人当たりの売上が過去最高になり、3年以内の新卒離職率が50%から3%にダウン(コンサルティング)
  • 半年間で売上1500万円アップし、離職率が17%から0%へとダウン(事業プロデュース)

といったように、業績だけでなく、働きがいが高い組織を実現することができています。

このセルフマネジメント型組織は「セムコスタイル」という組織マネジメントのメソッドとして体系化されており

  • 病院
  • 銀行
  • 美容機器メーカー
  • 製造業
  • コンサルティング
  • WEB制作
  • 広告代理店
  • 運送業
  • ソフトウェア開発

など、業種業界・規模問わずに、さまざまな企業に導入されていますので、興味がある方はぜひ「セムコスタイルとは何か?業績と働きがいが飛躍的に高まる組織の作り方を徹底解説」の記事もご覧ください。

5.大企業を克服したい全ての方へ

今回の記事では「大企業病」についての基礎知識について様々な角度でお伝えしました。

ぜひ、今回の記事を読んで、自社の組織運営を見直すきっかけにしていただけると幸いです。

また、「大企業病を克服して、業績と働きがいが高い組織を作る方法」に関して、もっと深く学んで実践していきたいと思われた方は、私の公式LINEアカウントで配信されている無料の動画講座をまずはご覧ください。

この動画講座では、

  • 平均成長率年間147%、離職率2%、就職人気企業ランキングNo.1を実現した!次世代型組織の作り方
  • 単月売上過去最高!離職率3%を実現した歯科医院のコンサルティング事例解説
  • 採用コストが1500万円から400万円に下がった化粧品メーカーのコンサルティング事例解説
  • 年間の売上目標達成率80%から150%にまで大幅アップした動画制作企業のコンサルティング事例解説

などを解説しています。

受講は無料なので、ぜひ公式LINEアカウントに登録してみてください。

中江翔吾
中江翔吾
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!

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再び、大企業病について理解する(本ページ上部に移動する)

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