主体性とは?自主性との違いや主体性を発揮する人材の育成方法を徹底解説
ブランドコンサルタント・中江 翔吾
「主体性って何?」
「主体性が低い人の原因について知りたい…」
「主体性を高める方法を知りたい…」
「いかに主体性が高い人を育てていくのか?」というのは組織やチームで最高の結果を出すために非常に重要なポイントになります。
というのも、主体性がある人は
- 意欲高く、自ら積極的に行動する
- 責任を自覚し、仕事を最後までやり切る
- 意見やアイディアを積極的に提案する
- 常に肯定的な発言ができ、周りと調和できる
- 成長意欲がある
という特徴があるのに対して、主体性がない人は
- 意欲が低く、指示がないと行動しない
- 最後までやり切るという覚悟で仕事をしない
- 意見やアイディアは提案しない
- 常に否定的な態度を取る
- 成長ではなく、自己保身と現状維持に関心がある
という特徴があるからです。
これらの特徴を見るだけでも、主体性がないメンバーが多ければ、組織・チームで最高のパフォーマンスが発揮できないことは自然と理解できると思います。
今回は「主体性とは?主体性が高い人と低い人の違いや主体性を高める方法」について解説したいと思います。
この記事を読んでいただければ、主体性に関する基礎的な知識や相手の主体性が高まる関わり方についてもわかるようになっています。
ぜひ、最後までお読みください!
1.主体性とは?
では、まず、主体性とは何かについて解説をしていきたいと思います。
1-1.主体性とは何か?
主体性とは、自らの意思や判断に基づき、課題や目標を設定し、自らの責任を持って、積極的に行動することができる態度や性質のことを意味します。
自分で決められることは自分で決め、積極的に行動し、その結果責任も自分自身で引き受けるというようなイメージです。
リーダーには絶対的に必要な資質です。
例えば、中々契約が決まらないサービスAについて、上司から指示された訳ではないが、自らの判断でプレゼン資料を変更し、営業のやり方も変えたことで、成果が大幅に出るようになったということがあれば、その社員には主体性があると言えるでしょう。
また、プレゼン資料や営業のやり方を変えて、結果が出ていなかったとしても
周りの責任ではなく、自分の責任だ
と自覚し、責任を引き受け、その失敗を挽回するために、更なる対策を自ら考えていても主体性があると言えます。
ポイントは、誰かの指示に基づいて判断や行動を起こしている訳ではないということです。
1-2.自主性との違い
主体性と類似した言葉に「自主性」という言葉があります。
自主性とは、予め決められたことを自らが率先して行動するという態度や性質のことです。
例えば、
社内では誰に会っても、元気よく挨拶をしましょう
というルールがあったとしたら、誰よりも積極的に元気に挨拶をする人がいれば、その人は自主性があると言えます。
自主性はもう既に誰かが決めたことを自らが率先した実行することがポイントで、その行動に対する責任は自らは引き受けません。
例えば、部長が
今月の営業目標を達成するために、チーム目標として電話営業を月に100件しよう
と決めたとします。
自主性がある社員は誰よりも率先して電話営業は行いますが、それによって部署内の月間の売上目標を達成できるかどうかは上司の責任になります。
一方でそうではなく
今月の売上目標を達成するために何をするべきか?電話営業以外にできることは何か?
を積極的に考える人は主体性がある人となります。
一般的なトップダウン型の会社組織では
- リーダー:主体性が必要
- メンバー:自主性が必要
と考えられることが多いでしょう。
1-3.主体性がある人材が求められている背景
主体性が優れていて、自主性が劣っているという訳ではありませんが、今の時代で仕事で成果を出すために必要なのは「主体性」です。
というのも、今はどの業界も変化が激しくて、明確な答えがない不確実性の時代だからです。
1年前に通用していた方法が今は通用しなくなっているということはどんな業界でも起きています。
実際に私の元にも
1年前まではこの広告の手法でこれだけ売上が上がっていたんです。商品の品質も変わっていないし、広告の仕方も変わっていないのに売上が40%減になりました。
というような相談が増えています。
一つ上手くいく方法を見つけたとしても、それが10年続くなんてことはこれだけテクノロジーが進化し、価値観が多様化し続けている時代ではあり得ません。
そんな答えのない時代に必要なのが、激しく変化する状況に応じて、臨機応変に様々な対応策やアイディアを自ら考えられる主体性を持った人材です。
昔はリーダーの指示を率先して忠実に実行するだけで結果が出ていたので、それで良かったのですが、今やそのリーダーの指示すら間違う時代です。
そんな時代においては、社内にいる様々な人材が自らの個性を発揮し、一部のリーダーだけでは導き出せなかったような答えを導けるようになることが必要です。
2.主体性がある人の特徴とない人の特徴
では、続いて主体性がある人の特徴と主体性がない人の特徴について解説をしていきます。
2-1.主体性がある人の特徴
主体性がある人は大きく分けて
- 仕事への意欲が高い
- 責任感が強い
- 積極的にアイディアを提案できる
- 失敗を反省し、改善できる
- 目的を理解し、周りと協調できる
- 未経験の分野でも挑戦しようとする
というような特徴があります。
2-1-1.意欲が高い
主体性がある人は、モチベーションが高いという特徴を持っています。
なので、上司や組織から
新人なら毎月3件の契約を取ることが営業マンとしての最低のノルマだ
と言われていたしても、
この部署なら毎月15件の契約を取ればトップ営業マンになれる。だったら、毎月15件の契約を取るための戦略を考えて、行動しよう
と発想して考えたりします。
周りから与えられる指示や期待に基づいて行動するというよりも、それを超える働きをすることに喜びを感じます。
2-1-2.責任感が強い
主体性がある人は責任感が強いです。
なので、与えられた役割を目標・目的が達成できるまでやり切ろうとする姿勢で仕事を実行します。
例えば、毎月の営業目標を達成できなさそうだということが発覚した時点で
まぁ、そんな月もあるよね。仕方ないよね
と簡単に諦めるのではなく、そこから挽回して、何がなんでも目標を達成しようというコミットメントの意識が非常に強いです。
2-1-3.積極的にアイディアを提案できる
また、主体性がある人は積極的に課題解決・目標達成のためのアイディアを提案できます。
彼らは仕事への意欲が高く、常に
課題解決や目標達成するためにどうすればいいのか?
を誰よりも考えているので、何か意見を求めたらアイディアを積極的に提案します。
2-1-4.失敗を反省し、改善できる
主体性がある人は失敗をしても、それを糧に改善していくことができます。
仕事上での失敗は誰にでもありますが、問題はその失敗をどう処理して、次に活かすかです。
主体性がある人は、失敗したことに痛みを感じ
なぜ、その失敗が起こってしまったのか?次に同じミスを繰り返さないためにはどうすればいいのか?
についてしっかりと向きいうため、同じミスは二度と繰り返しません。
2-1-5.目的を理解し、周りとも協調できる
主体性がある人は、目的を理解して周りとも協調できます。
チームや組織として活動する時に最高のパフォーマンスを出すためには、目的のために、周りといかに連携して、互いの強みを引き出しながら、協力していくかが非常に重要です。
主体性がある人は、目的・目標を達成することが大事だと認識しているため、たとえ価値観が合わない相手だとしても、互いが合意・協力できるポイントを探して、積極的に協力関係を結びます。
あいつの性格が嫌いだから協力はしない
というようなことは言いません。
2-1-6.未経験の分野でも挑戦しようとする
主体性がある人は未経験の分野でも挑戦しようとします。
これまでのやり方が通用しない局面が来た時に、たとえ実績や経験がなかったとしても、その状況を打開できる可能性があるなら新しいやり方を積極的に取り入れて挑戦する姿勢を見せます。
こういう人材はチーム・組織内でイノベーションを起こすきっかけとなります。
2-2.主体性がない人の特徴
一方で主体性がない人は
- 意欲が低い
- 常に指示待ち
- 意見を言わない
- 否定的な発言が多い
- 自己中心的
といった特徴を持っています。
2-2-1.意欲が低い
主体性がない人は仕事に対するモチベーションが低いです。
なので、基本的には指示されている最低限の仕事しかしようとしませんし、
どうすればもっと良くなるのか?
といったことを自発的に考えようとはしません。
2-2-2.指示がないと動けない
主体性がない人は指示がないと動けません。
彼らは仕事に意欲的に取り組まないず
- どうすればチームの目標・目的が達成できるか?
- どうすれば今の施策を改善できるか?
- どうすれば課題を解決できるか?
- どうすれば自分の行動を改善できるか?
といったことを自発的に考えていないので、誰かからの指示がないと、適切な判断や意思決定ができないのです。
こういった指示待ちの社員が組織内で多くを占めるようになると、彼らをマネジメントするリーダー層の負担が膨大なものとなっていきます。
2-2-3.意見を言わない
また、主体性がない人はミーティングの場などで、ほとんど発言をしません。
ミーティングで発言をしないのは性格の問題ではなく、その事柄について常に日頃から真剣に考えていないため、周りに表明する意見がないのです。
たとえ、意見を求められたとしても、もう既に誰かが発言したことに賛同する場合が多く、自分の意見はほとんどありません。
2-2-4.否定的な態度を示すことが多い
主体性がない人は否定的な態度を示すことが多いです。
彼らはできるだけ現状維持で、最低限の仕事だけをしたいので、
- 新しいこと
- 負担が増えること
- 任されること
- 変わること
などに関して、否定的な態度を示します。
この否定的な態度が、目的・目標を達成するために合理的に反対しているのであれば問題ないですが、大抵の場合は
これを始めてしまうと、これまでのやり方が崩れて、自分の負担が増えてしまうから嫌だ
という自己中心的な理由から反対の態度が取られる場合が多いです。
なので、チーム・組織の目標・目的達成よりも自分の都合を優先させるという傾向にあります。
3.主体性が低くなる原因
では、続いて主体性が低くなる原因について解説をしていきます。
一般的な組織では、先ほど示したような主体性を持っていて、熱意が高い社員というのは割合的には少ないです。
例えば、アメリカの大手調査会社のギャラップ社では、日本企業で働く社員の中で
- 熱意ある社員:6%
- 熱意が低い社員:71%
- 熱意が全くない社員:23%
というデータを発表しています。
つまり、100人の社員が働いていて、社長と同じくらいの熱量や主体性を持って働いている人は6人しかいないということです。
これは結構、衝撃的なデータですが、実際の会社の実情をよく表していると思います。
ですが、大前提として、覚えておいてもらえたいのは、どんな人であれ主体性は必ず持っているということです。
この主体性が組織構造によって発揮しにくなっているのです。
3-1.オーナーシップを奪う組織構造
まず、メンバーの主体性が低くなってしまう大きな要因は、メンバーのオーナーシップを奪う組織構造にあります。
特にトップダウン型という組織構造ではそれが現れます。
このトップダウン型組織は
リーダーにメンバーが従う
という絶対原則の元に、同じ目的・ゴールを追いかける集団のことです。
トップダウン型組織では
- リーダー:計画・意思決定・指示・行動管理・結果責任
- メンバー:指示の実行
というように明確に役割を分けているので、組織運営の効率が良く、優秀なリーダーがトップに就任すると短期間で大きな成果を上げやすいことが特徴的です。
ですが、このトップダウン型組織では、階層によってオーナーシップの差が生まれやすいというデメリットがあります。
オーナーシップとは
私は状況を所有している、コントロールしている、変えることができる
と思えている感覚のことです。
トップダウン型組織において最もオーナーシップを持っているのは社長です。
というのも、社長は誰よりも「権限・情報・責任」を与えられているので、誰よりも力強く
- 今年の売上目標はどうするか?
- どれくらいの規模の会社を目指すのか?
- どんなビジョンを掲げるのか?
- 給与はどのように決定するのか?
- どんな場所で仕事をするのか?
- 誰をリーダーとして採用するか?
- どんな新規事業を始めるのか?
といったあらゆる領域において意思決定に関与し、自分の興味・関心に従って組織を変化させることができます。
ですが、階層の下に位置する一般社員のオーナーシップはどうでしょうか?
恐らく彼らは
もっと給与が上がったらいいな。働き方のルールがこんな風に変わったらいいな
と思っていても、その状況を変えられるどころか声を上げる事すらできない場合がほとんどでしょう。
というのも、彼らにはその状況を変えるだけの「権限・情報・責任」が与えられていないからです。
人は
変えたいと思っているのに変えられない
というジレンマに長期間置かれ続けると、どんどん意欲を失っていきます。
「何かをしたい」という意思は主体性の根源です。
トップダウン型組織ではオーナーシップの格差によって、それを実現しにくい構造になっているので、メンバーは段々と
考えて、意見を表明しても、その通りにならず、リーダーに怒られるだけなら、リーダーの指示を聞こう
という「自分で何かを考えても無駄だ」という発想になっていきます。
そうなっていけば、何か意思を表明することも、自分の頭で考えることもなくなり、リーダーの指示を聞くことでしか動けなくなっていくということです。
3-2.ボス型のリーダーシップ
また、これと併せて、ボス型のリーダーシップを発揮することもメンバーの主体性を奪うことに繋がります。
先ほども言ったように、主体性の根源とは
- こんなことをしたい
- こうすればもっと上手くいくと思う
- こんな風に変えていきたい
という本人の意思です。
この意思を奪おうとすればするほど、メンバーの主体性というのは失われていきます。
ボス型のリーダーシップとは、自分の物差しでメンバーの方向性を管理・修正することで、結果責任を果たそうとするリーダーシップのことです。
例えば、毎月の営業目標を10件の契約と設定されている保険の営業マンがいるとします。
これまで上司の指示に忠実に従い、電話営業や訪問営業を繰り返してきましたが、毎月獲得できる契約は7〜8件で、中々目標の10件に届きません。
そこで目標を達成するために、新たにネットを活用した営業方法を知人の営業コンサルタントから学び、それを上司に提案しました。
ですが、
前例がないからダメ。新しい方法なんかもっと結果を残して一人前になってから言え
と提案の有効性を全く考慮せずに却下されました。
これはまさに「ボスの物差し」によって方向性を否定され、修正されるというリーダーシップの発揮のされ方です。
すると、この営業マンの方はどう思うでしょうか?
恐らくモチベーションが下がり
上司には何を進言しても無駄だから、有効だとは思わないけど、怒られないように言われた通りにだけやろう
と発想するようになってしまいます。
4.主体性を高める方法
では、次にメンバーの主体性を高める方法について解説をしていきます。
4-1.セルフマネジメント型組織の採用
メンバーの主体性を高めるために重要なのは、メンバーのオーナーシップが自然と高まる組織構造を採用することです。
そこでオススメしたいのが「セルフマネジメント型」という組織運営スタイルです。
セルフマネジメント型組織では、
- リーダー:メンバーの意思決定と目標達成のサポート
- メンバー:計画・意思決定・自身の行動管理・結果責任
という役割に変わり
メンバーに任せても最高の結果が手に入る
というような組織を目指していきます。
この組織構造に変化すると、メンバー自身が意思決定ができる領域が広がるので、主体性が自然と高まるようになります。
例えば、通販サイトを運営する企業で、福袋販売のプロジェクトがあったとします。
通常のトップダウン型組織であれば、基本的にはリーダーだけが
- 売上目標をどう設定するか?
- どんなプロモーション戦略を取るか?
- どのようなスケジュールで準備を進めるのか?
- どんな商品ラインナップを並べるか?
- 誰にどんな役割を担当してもらうか?
といったことをミーティングを開くにせよ、計画し、意思決定をし、メンバーに指示を与えます。
そして、その指示をメンバーが期日までに仕上げるのかを行動管理し、必要ならフォローに入り、プロモーションの結果責任を引き受けるというのが従来のリーダーとしての仕事でした。
ですが、これがセルフマネジメント型組織に変わると、リーダーはメンバーが適切な意思決定と目標達成ができるコーチのような役割になります。
なので
- 売上目標をどう設定するか?
- どんなプロモーション戦略を取るか?
- どのようなスケジュールで準備を進めるのか?
- どんな商品ラインナップを並べるか?
- 誰にどんな役割を担当してもらうか?
といった意思決定事項に関しても、メンバーと対話しながら一緒に意思決定をしていきます。
え、メンバーを意思決定に参画させても大丈夫なの?
と思われるかもしれませんが、適切な意思決定に必要なのは正しい情報です。
例えば、プロモーション戦略に関する意思決定をしたことがないメンバーでも
- 過去にどんなプロモーション戦略をとったことによってどんな売上が上がったのか?
- 自社より優れた結果を出している競合他社のプロモーション戦略はどういったものか?
- 年末年始に需要が高まる商品はどういったものがあるのか?
といった情報が把握できれば、適切な意思決定ができる可能性は高まります。
なので、リーダーはメンバーが適切な意思決定ができるように情報を開示して、彼らの意思決定をサポートしていくということです。
リーダーは
こんなプロモーション戦略が良いと思うんだ
と一方的に伝えるのではなく、
今年の福袋商戦で売上目標を達成するために、どんなプロモーション戦略を取れば良いと思う?
と質問を通じて、対話していくことが大切です。
メンバーに質問をするからこそ初めて、メンバーは自分の頭で考えようとします。
そして、その上で意思決定にも関与させれば
他人に指示されたのではなく、自分で決めたことだからしっかりやり抜こう
というコミットメントの意識も自然と育ちます。
これが主体性を復活させる根源です。
これがセルフマネジメント型組織の基本コンセプトですが、とはいえ最初に任せていくのは
- 会社全体に大きな影響を与えない
- 高度なリテラシーが不要
という領域からです。
例えば、プロモーション戦略は売上を左右する高度なリテラシーが必要な領域で、いきなり任せない方が良いかもしれませんが、毎年売上の結果に大きな影響がない「抽選のプレゼントキャンペーン」であれば任せられるかもしれません。
最初はそういった領域から、リーダーのサポートを受けながら、意思決定を任せていきます。
メンバーも自分で意思決定ができる領域が広がり、仕事の自由度が高まっていくので、仕事に対する意欲も自然と高まっていきます。
もちろん、失敗することもあるとは思いますが、意思決定を繰り返し、試行錯誤し、結果責任を引き受けるという経験を繰り返す中で、メンバーの計画・意思決定・行動管理・結果責任を引き受けるという能力は飛躍的に高まっていきます。
実際に、トップダウン型組織からセルフマネジメント型組織へと移行した国内の企業で、新卒の新入社員の年間の付加価値総額が4倍になったという事例もあります。
メンバーがそれだけ仕事ができるようになれば、リーダーがいちいち計画・意思決定・指示・行動管理をしなくても、組織が自走するようになっていきます。
メンバーの主体性が失われる根本的な原因は
自分だけでは何も考えられない。何も決められない。結果責任を引き受けなくていい
という組織構造にあります。
セルフマネジメント型組織は、
4-2.心理的安全性を高める
また、組織構造を転換させることと同時に意識したいのは、心理的安全性を高めることです。
心理的安全性とは、ハーバードビジネススクールの教授で、組織行動学を専門とするエイミー・C・エドモンドソンさんが提唱した概念で
率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなくできる度合い
のことです。
画像出典:https://diamond.jp/
心理的安全性が高い組織・チームでは
- 誰からも意見や提案が活発に起こる
- 反対意見を歓迎される
- 誰に対しての違和感も伝えられる
- 挑戦することを賞賛される
- 感謝が飛び交っている
- 報連相が早い
- 気軽に上司に相談できる
- わからないことがあればすぐに質問できる
- 失敗しても叱責されず、どう挽回するかを建設的に考えてくれる
- ミーティングでは様々な角度から活発な議論が起こる
- 前例や実績がなくてもアイディアを試せる
といったことが起きます。
この心理的安全性は、Googleが生産性の高いチームを作る際に最重要視している項目で、社内で実施した4年間の調査では
心理的安全性が高いチームは、離職率が低く、生産性が高い
と発表しています。
一般的な会社では
こう発言すると上司に怒られるかもしれない
ここで違和感を指摘すると社内の空気が壊れてしまうから何も言わないでおこう
周りからの目が気になって自分の意見を発言できない
と考える社員が多いことが普通です。
つまり、自分の本音を気軽に話すことができないということですね。
どれだけ組織構造をセルフマネジメント型組織に変えたとしても、メンバーが
自分の本当の意見を言っても大丈夫なのだろうか
と常に不安に駆られるというのであれば、主体性が発揮しにくくなります。
実際に心理的安全性が低い組織・チームでは
- 上司に自分の意見を率直に伝えることができない
- 反対意見を伝えることができない
- 空気を読み過ぎてしまう
- 改善案が思いついてもすぐに共有できない
- 違和感を指摘できない
- 問題が発覚したら隠蔽してしまう
- 報連相が遅い
- 前例や実績がないものは即座に否定される
- 新しいことに挑戦しようとすると多くの人から否定される
- わからないことがあっても気軽に質問できない
- 失敗した時に叱責される
- ミーティングで特定の人しか発言しない
- 周りの目が気になる
といったことがよく起きます。
心理的安全性を高めるという観点で、一つ重要なのはリーダーがメンバーの失敗をどう扱うかということです。
多くの場合、メンバーが失敗をしたら
なぜ、こんな失敗をしたんだ?どう責任をとってくれるんだ?
とリーダーは叱責し、失敗の追求を行うと思います。
ですが、これをやってしまうと、メンバーはリーダーに対して萎縮してしまい、恐怖心を抱くようになるので、心理的安全性が下がり、自分が思ったことを率直に話せなくなります。
そして、さらに悪いことに「失敗すると怒られる」とメンバーが思うようになると、メンバーは失敗をしても、そのミスを隠蔽するようになります。
そして、報告が遅れ、問題が大きくなって、隠しきれなくなったタイミングで発覚してしまうということがよく起こります。
失敗を叱責しても、その失敗そのものを取り消すことはできませんし、あまり意味がないことも科学的に証明されています。
東洋経済「叱っても人は育たないが、叱る側はドーパミンが噴出」のレポートによると、リーダーがメンバーを怒ると
- 怒られている本人:処理能力61%低下、創造性58%低下
- 同じ場にいる人たち:処理能力33%低下、創造性39%低下
- 怒っている所を目撃した人:処理能力25%低下、創造性45%低下
という影響を組織にもたらすそうです。
本人だけでなく、周りのメンバーの心理的安全性も下がってしまうんですね。
まず、失敗というのは誰にでもありますし、それを経験するからこそ、人は成長できます。
であれば、メンバーの失敗が発覚した段階で
一生懸命やってくれてありがとう。これから一緒にこの失敗をどう挽回するか考えようか?
とリーダーが声をかけてあげるだけで、心理的安全性は高まります。
心理的安全性が高まれば高まるほど、メンバーは安心して主体性を発揮できるようになるので、この点も意識してみてください。
また、この心理的安全性の高め方については「心理的安全性の作り方とは?取り組み事例と明日から実践できる7つのポイント」という記事でも詳しく解説をしているので、ぜひ見てください。
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