心理的安全性とは何か?4つの効果と心理的安全性が高い組織の作り方
ブランドコンサルタント・中江 翔吾
「心理的安全性って何?」
「心理的安全性が高い組織のメリットは?」
「心理的安全性が高い組織を作れるようになりたい」
心理的安全性は、その組織の構成員の
- モチベーション
- 主体性
- イノベーション
- コミットメント
- 成長率
- 離職率
- 成果
- 協調性
などの様々なパフォーマンスに関わる非常に重要な概念で、2012年頃から世界で注目を集め、2021年頃から日本でも広く普及していきました。
組織の心理的安全性が高いと、メンバーの意欲が高く、建設的な提案や意見が活発に飛び交い、様々なイノベーションが生まれるため、自然と業績も働きがいも高いという状態を作り出すことができます。
一方で、組織の心理的安全性が低いと、メンバーは仕事へ消極的な姿勢を示すようになり、主体性やコミットメントの意識が低くなるため、生産性も業績も低く、離職率は高く、イノベーションも起こらないようになります。
今回は「心理的安全性とは何か?3つの効果と心理的安全性が高い組織の作り方」について解説したいと思います。
この記事を読んでいただければ、心理的安全性に関する基礎的な知識だけでなく、心理的安全性が高い組織の作り方についてもわかるようになっています。
ぜひ、最後までお読みください!
目次
1.心理的安全性とは何か?
まずは「心理的安全性とは何か?」について解説をしていきたいと思います。
1-1.心理的安全性の意味について
心理的安全性は、ハーバードビジネススクールの教授で、組織行動学を専門とするエイミー・C・エドモンドソンさんが1999年に提唱した概念で
率直な意見、素朴な質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなくできる度合い
のことです。
画像出典:https://diamond.jp/
つまり、
安心して、気兼ねなく、自分の意見を述べることができる
という状態を実現している組織が心理的安全性が高い組織です。
具体的に心理的安全性が高い職場では
- 誰からも意見や提案が活発に起こる
- 反対意見を歓迎される
- 誰に対しての違和感も伝えられる
- 挑戦することを賞賛される
- 感謝が飛び交っている
- 報連相が早い
- 気軽に上司に相談できる
- わからないことがあればすぐに質問できる
- 失敗しても叱責されず、どう挽回するかを建設的に考えてくれる
- ミーティングでは様々な角度から活発な議論が起こる
- 前例や実績がなくてもアイディアを試せる
というような特徴があります。
それに対して
周りに配慮し、自分の本音や意見を言い出せない
という状態に陥っている組織が心理的安全性が低い組織だということです。
具体的に心理的安全性が低い職場では
- 上司に自分の意見を率直に伝えることができない
- 反対意見を伝えることができない
- 空気を読み過ぎてしまう
- 改善案が思いついてもすぐに共有できない
- 違和感を指摘できない
- 問題が発覚したら隠蔽してしまう
- 報連相が遅い
- 前例や実績がないものは即座に否定される
- 新しいことに挑戦しようとすると多くの人から否定される
- わからないことがあっても気軽に質問できない
- 失敗した時に叱責される
- ミーティングで特定の人しか発言しない
- 周りの目が気になる
というような特徴があります。
1-2.心理的安全性が注目されるようになった背景
この心理的安全性が世界的に注目されるようになったのは、2012年にGoogleが発表した「プロジェクト・アリストテレス」がきっかけです。
このリサーチでは、4年間に渡ってGoogle社内の数百のチーム(営業チームとエンジニアチーム)を調べ
生産性が高いチームの条件とは何か?
を導き出しました。
そして分かったのが
心理的安全性が高いチームが、離職率が低く、収益性が高い
ということでした。
つまり、チームの生産性を上げるために重要なのは、メンバー構成ではなく、
チームがどのように協力しているのか?
という要素が重要であり、その際に最も重要な要素が「心理的安全性」だという訳です。
1-3.心理的安全性に対する一般的な誤解
また一般的に
心理的安全性が高い職場を作ると、「ぬるい職場」になるのではないか?
という誤解があります。
「ぬるい職場」の特徴は、仲が良くて安心できて居心地は良いけど
- 失敗しても指摘されない
- いつも通りを好み、変化を嫌う
- 成果を求められない
- 何をやっても許される
- 衝突が起きない
- 成果基準が曖昧
などの特徴を持っています。
これは一言で言うなら「仕事の基準が低い職場」であり、
居心地の良い関係性や雰囲気を壊したくないから、本音を言わず、衝突を避ける
と言うことを意味します。
ですが、本当に心理的安全性が高い職場は
お互いに関心を持ち、敬意を払い、本音で付き合える
というような職場です。
なので、誰かの意見と対立する意見を持っていても、率直に伝えることができますし、違和感があれば伝えることもできますし、誰かが失敗したのであれば関係性を壊さないことを恐れてスルーするのではなく、一緒に挽回方法を建設的な議論と共に考えます。
だからこそ、成果が上がるのです。
2.心理的安全性が低い職場で起こる問題
では、心理的安全性が低いと、どんな問題が起こるのでしょうか?
エイミー・C・エドモンドソンは心理的安全性が不足してしまうと
- 無能だと思われる不安
- 無知だと思われる不安
- 邪魔していると思われる不安
- 否定的だと思われる不安
が蔓延し、組織のパフォーマンスを悪化させると指摘しています。
2-1.必要な質問や相談ができなくなる
例えば、メンバーの中で
無能・無知だと思われたくない
という思いが強すぎると、仕事で成果を上げるために必要な質問や相談ができなくなるといった問題が生じます。
そういった組織では、部下から上司への報連相のスピードが遅くなり、仕事を抱え込んで、取り返しがつかなくなってから事態の大きさが発覚して、大きな問題に発展するということがよく起きたりします。
ポイントなのは、この問題の本質が、仕事を抱え込んだ個人にあるのではなく、組織全体として心理的安全性が不足して
気兼ねなく報連相ができる環境を作ってこなかったこと
だということです。
多くの組織では、ここで個人をさらに叱責することで、さらに心理的安全性が下がり、また同じことが起こるという負のループに入り続けているという場合が非常に多いです。
また、逆に、もっと色んな人に気兼ねなく、相談していればより大きな成果が上がったのにということもよく起こったりします。
2-2.仕事のミスの隠蔽が起きる
その他にも
こんなことすらできないのか?こんなことすらうまく出来ないのか?
と思われるのではないかという不安に駆られすぎると、メンバーは仕事上のミスを報告せずに、隠蔽するようになります。
例えば、これはある大手の旅行会社で実際にあった事件ですが、ある高校から依頼があった遠足の前日に、バスの手配を忘れてしまっていたということがありました。
旅行会社のある男性社員のミスです。
ですが、その男性社員はどういう行動を取ったのかというと
遠足に行きたくない。遠足に行くのは死ぬよりしんどい。中止してほしい
ということを生徒を装って、自殺をほのめかす手紙を手配依頼のあった高校に送りました。
その高校は生徒の特定や安否確認に追われて、通常業務に支障をきたしたとして、警察署に被害届を出し、その旅行会社の男性社員は学校への威力業務妨害と旅行業法違反の疑いによって、逮捕されました。
馬鹿なことをしたな。その担当社員が悪い
と責める気持ちもわかりますが、これも組織全体として心理的安全性が低かったから起こった事件です。
人間であれば、どんな人でもミスはあります。
そのミスが発覚した時に、即座に上司に気兼ねなく報告できるような職場環境であれば、恐らく、ここまで大ごとの事件には発展していなかったでしょう。
2-3.提案や意見が活発に起こらなくなる
ミーティングを開催して
- ほとんどの人から意見が出ない
- 特定の人しか発言しない
ということはよくあるかと思いますが、これも心理的安全性が不足しているから起こることです。
発言することで、無能だと思われるかもしれない
発言することで、邪魔していると思われるかもしれない
発言することで、空気を壊すかもしれない
という意識が強すぎると、率直に意見を言うことができなくなってしまいます。
結果として、発言力がある人の意見だけが採用されるようになってしまって、組織に多様性がなくなり、画一化が進み、イノベーションが起きにくくなります。
方向性が合っている時は良いのですが、間違っている時は歯止めが効かなくなります。
2-4.思考停止で指示待ちの人間が増える
また、心理的安全性が不足していくと
仕事は割り切って、上の指示だけしっかり守ろう
という思考停止で、指示待ちのメンバーが増えていきます。
というのも、心理的安全性が不足していくと
発言をすることで、状況を変えることができる
と信じれなくなり、実際に自分の意見を述べることもなくなっていくので、
どうすればもっと良くなるのか?
という思考ではなく
いかに効率的に仕事をこなすのか?
という思考になっていくからです。
仕事への意欲がなく、主体性がないメンバーをまとめて結果責任を負うことになるリーダーの負担も非常に大きなものとなります。
2-5働きがいが低くなり、離職率が上がる
これはプロジェクト・アリストテレスの研究結果でも分かっていることですが、心理的安全性が不足すると、働きがいが低くなり、離職率が上がります。
気兼ねなく、率直に自分の意見を伝えたり、疑問点を質問できたり、違和感を指摘することすらできず、不安と恐怖が蔓延する環境では、人はひたすら上からの指令を聞くしかできません。
そんな会社で
ぜひ、働きたいです!
と意気揚々と言える人は少ないでしょう。
心理的安全性が不足すれば、何のために働いているのかという意義も見失い、働く意欲は失せるので、離職率は大幅に上がっていきます。
3.心理的安全性が高い職場にするメリット
では次に、心理的安全性が高い職場にするメリットについて解説をします。
3-1.報連相がスムーズになり、防げるミスを事前に防げる
心理的安全性が低いと起こるのは
事前にもっと報連相をしていれば、防げていたのに
というミスが頻発することです。
これは報連相を怠った個人が悪いのではなく、報連相が気軽にできる環境を作ってこなかった組織全体の問題です。
ですが、心理的安全性が高まると、たとえ、仕事上での重大なミスがあったとしても、スムーズな報告が起こるので、ミスを最小限に抑え、防げたはずのミスを防ぐことができます。
3-2.建設的な議論が起こり、イノベーションが起きやすくなる
また、心理的安全性が高まっていくと
周りに遠慮しすぎず、自分の意見を率直に述べていい
疑問点があれば、すぐに聞いた方がいい
違和感があれば、心理的安全性を壊さないように、指摘したらいい
反対意見があったら、表明した方がいい
という意識になっていくので、ミーティングなどの議論での意見が活発に飛び交うようになります。
発言者が固定化されず、様々な価値観・角度から意見が提案されるので、これまでになかった方向性の発想などが生まれやすくなり、イノベーションが起きやすくなります。
3-3.意欲と主体性が回復し、生産性がアップする
人の意欲の源泉は
私は状況を所有している。コントロールしている。変えることができる
と思えているオーナーシップにあります。
心理的安全性が高い職場では、率直に意見を述べることができ、場合によっては状況も変えることができるので、自然と意欲や主体性が高まり、生産性がアップします。
3-4.働きがいが高まり、離職率が下がる
心理的安全性が高まっていくと
- どんな人でも気兼ねなく自分の意見を伝えることができる
- 何か問題があれば安心してすぐに相談できる
- 遠慮せずに、違和感や反対の意見も伝えることができる
- 周りの人が同じ目標を追いかける仲間だと思える
というような職場に変わっていきます。
もし、このような職場環境であれば、働きがいが高く、離職率が低い職場であるということは直感的に理解できるかと思います。
4.心理的安全性の高さを調べる方法
では、次に「自社の心理的安全性の高さを調べる方法」について解説をしていきたいと思います。
自社の心理的安全性を正確に計測していくには、アンケート調査を3ヶ月に1回など定期的に行い、改善点を話し合っていく機会を設けるのが有効です。
心理的安全性の概念を提唱したエイミー・C・エドモンドソンは心理的安全性を調べる際に有効な質問として以下の7つを挙げています。
- チームの中でミスをすると、たいてい非難されるか?
- チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合えるか?
- チームのメンバーは、自分と異なることを理由に他者を拒絶する場合があるか?
- チームに対してリスクのある行動をしても安全であるか?
- チームの他メンバーに助けを求めることは難しいか?
- チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしないか?
- チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じるか?
アンケートに関して匿名ではなく記名式で、「Yes」or「No」の2択でやっても構いませんし、5段階で点数化しても良いと思います。
もちろん、このアンケートの取り方も
どんな回答をしても、絶対に人事評価などには影響しない。心から心理的安全性が高い職場にしたいから本音で書いて欲しい
というようなことを伝えて、
本音で書いて良いんだ
と思わせないと意味がありません。
そして、その後に各項目を取り上げて
- なぜ、この項目の点数はこれだけ低いと感じている人が多いのか?
- この項目の点数を改善するために、次までに具体的にどんなことに取り組むのか?
を話し合うことが非常に重要です。
また、この質問項目に関しては、6000人 & 500チームの心理的安全性を計測してきた石井遼介さんの『心理的安全性の作り方』で挙げられている
- 反対意見があれば、率直にシェアできるか?
- 問題やリスクに気付いた時に声を上げられるか?
- 知らないことやわからないことがある時、フラットに尋ねられるか?
- 問題が起きた時、その人を責めるのではなく、建設的に解決策を考える雰囲気があるか?
- チームリーダーやメンバーはいつでも相談に乗ってくれるか?
- 減点主義ではなく、加点主義か?
- 挑戦が損ではなく、得か?
- 前例や実績がないものでも、取り入れるか?
- 多少非現実的でも、面白いアイディアを思いついたら、チームに共有してみようと思えるか?
- 役割に応じて、強みや個性を発揮することを歓迎されているか?
- 常識にとらわれず、様々な視点やモノの見方を持ち込むことが歓迎されるか?
- 目立つことも、このチームではリスクではないと思えるか?
という項目を採用してもいいと思います。
個人的には石井遼介さんが提唱している質問項目の方がシチュエーションが思い浮かべやすくて、具体的なのでおすすめです。
5.心理的安全性を高める方法
では、次に「心理的安全性を高める方法」について解説をしていきたいと思います。
5-1.心理的安全性の概念を組織内で共有する
まず、心理的安全性を高めたいのであれば、真っ先に組織内で
- 心理的安全性とは何か?
- なぜ、心理的安全性を高めることが重要なのか?
- 心理的安全性を高めたいと思ったきっかけ
といったことをリーダーからメンバーに共有する必要があります。
これをせずに、様々な施策に取り組んでも、メンバーは混乱します。
なので、全社員が参加する定例のミーティングや会で伝えて、「心理的安全性」という言葉自体を社内の共通言語とするのが良いでしょう。
とりあえず、意味や必要性がわかるという状態を作れれば、大丈夫です。
5-2.心理的安全性を計測する
そして、その上で、一度、自社の心理的安全性の現状や課題を見つけるために、先ほど解説した質問項目などを使って、社内アンケートをとりましょう。
Googleフォームなどで集計するのが簡単で良いです。
また、アンケートをとる際には
どんな回答でもいいよ。社内の人事評価などには絶対に影響しないことを約束するから、本音で回答して欲しい
と心理的安全性を高めた上で実施しましょう。
また、心理的安全性の計測は3ヶ月に一度など、定期的に計測し、その都度、改善点を考えることが重要です。
5-3.心理的安全性を高めるためのミーティングを開く
また、アンケート調査の後は、
具体的に心理的安全性を高めるために何ができるのか?
ということをリーダーからトップダウンで伝えるのではなく、メンバーも巻き込みながら話し合って、アクションリストを決めることをお勧めします。
トップダウンで全て決めてしまうと、強制感が生まれたり、やらされている感が生まれてしまって、なかなかアクションリストを決めても浸透しなくなるからです。
自分たちが話し合って、決めたことだからこそそこに対してコミットする意識が生まれます。
そして、心理的安全性を高めるのは
- 1対1
- 1対複数人
のコミュニケーションにおける行動で全て決まります。
なので、ミーティングの場では、具体的に以下のように心理的安全性を高める行動の事例を紹介しつつ
- 常に相手の状況と考えを理解することを意識する
- どんな立場の人であれ一人の人として敬意を払う
- 頭ごなしに相手の意見を否定しない
- 相手の意見を理解することに努める
- 新しいことに挑戦することを賞賛する
- 相手の興味・関心に目を向ける
- 感謝を積極的に伝える
- 失敗を非難・叱責せずにどう挽回できるかを一緒に考える
アンケート調査の結果を受けて、どんな行動ができるとより職場環境が改善されていくかを話し合いましょう。
最終的には、行動指針として落とし込んで明文化して、常に目の見える位置に貼っておくことなどがお勧めです。
5-4.リーダーが率先して心理的安全性を意識しながらコミュニケーションを変革する
また、具体的な行動指針が定ったら、リーダーが率先して行動しましょう。
結局、心理的安全性が高いのかどうかを決めているのは、リーダーの振る舞いが大きいです。
リーダーが心理的安全性を意識した行動を取るようになると、それに倣って他のメンバーもそのように行動します。
ですが、リーダーが心理的安全性を全く意識しない、これまで通りの行動をとるようになると、メンバーもこれまで通りの振る舞いを続けるようになってしまいます。
心理的安全性が高い職場を作れるかどうかはリーダーの行動に懸かっていることを意識しましょう。
6.心理的安全性が低くなるNG行動とは?
では、最後に心理的安全性を低くしてしまうNG行動についてお伝えしていきたいと思います。
6-1.失敗を叱責する
まず、一番最初にやってしまいがちなのが、仕事で部下が失敗をした時に怒ってしまうということです。
ミスしたら怒るのは当たり前だろう
と思われるかもしれませんが、これは合理的な行動ではありません。
失敗した本人は混乱していたり、引け目を感じていたりして、正常な思考回路を保てなくなっている上に、畳み掛けるように感情的に怒鳴られても、更に混乱を加速させ、事態を悪化させることにしかならないからです。
はっきり言って、どんな失敗であれ、失敗に対して怒るというのは、怒っている側の自己満足的行為です。
失敗を報告して、きつく非難されたり、叱責されるのであれば、人はその失敗を隠そうとするようになるからです。
そして、失敗を隠すことが結果的に大きな事故につながったりします。
1970年代までアメリカでは死者100人規模の大きな航空機事故が相次いで起こっていました。
そこで、宇宙開発で有名なNASA(米航空宇宙局)とFAA(米連邦航空局)はこの事故をなくすために、
パイロットがミスを報告した時に、ミスの責任を問わない
というルールを敷きました。
それだけで、年間9万件以上の事故に繋がりそうな情報が事前に集まり、事故の数が激減していったそうです。
ミスや失敗というのは誰でも起こすものであり、重要なのはそれが起こった時に、いかに迅速に報告してもらえるかです。
迅速に報告してもらえれば、取り返しのつかない大きな事故にまで発展しないことが多いです。
なので、失敗を報告してきたメンバーには叱責するのではなく
失敗を速やかに報告してくれてありがとう。これから一緒に挽回策を考えよう
と声をかけてあげるのが良いでしょう。
6-2.頭ごなしに意見を否定する
また、多くの会社でよくあるのが、話もロクに聞かずに
それはない
有り得ない
バカじゃないの?
出来るわけない
などと、頭ごなしに相手の意見を否定することです。
こういうコミュニケーションの仕方をしてしまうと、言われた相手は
意見や考えを表明すると、怒られるから、出来るだけ黙っておいて、言われたことだけやろう
という消極的な姿勢になってしまいます。
こうなってしまうと、組織の中で多様な意見や考え方が生まれなくなり、気づけば、思考停止の社員が溢れ、ミーティングでは発言がなくなり、イノベーションなど起こる気配もなくなっています
まず、大前提として、どんな相手であれ、どんな意見や考えであれ、ちゃんと話を聞いて、否定しないことが大事です。
6-3.新しいことや挑戦を否定する
また、これもよく有りがちなのですが、
そんなの前例がない
うまくいく訳がない
失敗したらどう責任を取るの?
それがうまくいく根拠は?
などと、新しいことや挑戦することに対して即座に拒絶するということです。
これをやってしまうと、誰も新しいことに挑戦しなくなり、いつまでも過去の成功パターンにしがみついて、気づけば時代が変わっていて、取り残されるということになってしまいます。
社会は変化し続け、その変化に対応できない企業は生き残っていけません。
変化に対応するということは新しいことや挑戦を受け入れるということです。
もちろん、営利活動をしている企業なので、前例や実績がないことに取り組むときに失敗するリスクを考える必要はあるでしょう。
ですが、それであれば、新しいことの提案や挑戦に感謝をしつつ
- どうすれば、失敗した時の被害を最小限に抑えられるのか?
- どうすれば、成功する可能性を少しでも上げることができるのか?
を一緒に考えてあげる姿勢を示す方が良いです。
この姿勢を示すと、メンバーは積極的に、改善案や新しいことを自分の個性を活かしながら創造するようになります。
6-4.アイディアの共有を否定する
また、その他によくあるのが、アイディアを共有した時に
そんなのもう知ってる
ちゃんと考えて喋ってる?
バカなんじゃないの?
などと、即座にそれを否定することです。
確かに経験や知識が豊富なリーダーからすると、まだ経験も知識もが浅い新人のメンバーの意見やアイディアが稚拙に感じる場面は多いかもしれません。
ですが、そんな彼らが出す意見を即座に否定すると
無知・無能だと思われたくない
という恐怖から、自分の意見を言えなくなったり、仕事を抱え込んだりしてしまいます。
まず、重要なのは、相手がどんな意見を言ったとしても、感謝して、認めてあげるということです。
ミーティングであれば
発言してくれてありがとう
と最初に加えるだけでも印象が全然変わります。
6-5.失敗のフォローを嫌々する
また、これは失敗した人へのフォロー対応ですが
もういいよ、後はこっちでやるから
これ以上余計なことはするな
と言葉に出して、対応することです。
これも失敗に対する叱責と同様に、失敗の報告を遅らせ、著しく心理的安全性を低下させてしまいます。
それであれば
失敗は誰にでもあるし、困った時はお互い様
というように声をかけてあげて、フォローしてあげるようにしましょう。
6-6.違和感の指摘を否定する
また、メンバーから違和感を指摘された時に
うるさい。そんなことは分かってる
うちはこのやり方を続けてきたんだから黙ってて
新人のくせに生意気なことを言うな
と否定することも心理的安全性を低下させることに繋がります。
こんな態度を取られてしまっては、誰も違和感を指摘できなくなり、組織が間違った方向に進んでいても歯止めが効かなくなってしまいます。
なので、
違和感に気づいてくれたありがとう。指摘してくれてなかったらもっと間違った方向に行ってたよ。これからも何か気づいたら積極的に言ってくれていいからね
というように声掛けをすることが大切です。
また、指摘する方も心理的安全性を保つことを意識することが重要です。
6-7.否定的なフィードバックをする
また、
君にはがっかりだよ
君のそういうところがダメなんだよ
なんでこんなことになるのか意味がわからない
など、相手を否定するようなフィードバックをすることも心理的安全性の低下に繋がります。
否定的なフィードバックをすると、相手は萎縮して、恐れや不安が生まれて、
失敗しないようにしよう
冒険はしないでおこう
というように消極的な姿勢になってしまいます。
本来のフィードバックをする目的は、相手の成長を促したり、次に同じような問題が来ても乗り越えられるようにしたり、失敗の影響をできるだけ抑えることのはずです。
そうであるならば、分かりきった否定的なフィードバックをするのではなく
次に同じことが起きないようにどうするのが良いと思う?
失敗を挽回する方法を一緒に考えようか?
などの言葉をかけてあげることが正解です。
6-8.協力要請を拒否する
また、他のメンバーから「助けてほしい」という協力要請があった時に
手伝って何のメリットがあるの?
それはあなたの仕事であって私には関係ない
自分でなんとかしたら?
という態度で要求を突っぱねることも心理的安全性の低下に繋がります。
こういう態度で一度でも接してしまうと、仕事上で問題を抱えていたとしても、一人で抱え込んで、取り返しがつかないタイミングで発覚して、大きな損失へと繋がってしまいます。
また、こういう態度が組織内で横行してしまうと、お互いが目的のために協力しなくなって、チームの相乗効果がなくなってしまいます。
協力要請があった相手は軽いパニックを起こしているので、まずは
どんなことで困っているの?
と聞いた上で、状況を整理して、必要であれば周りにも声掛けをして、一緒に取り組むことができると心理的安全性だけでなく、チームワークもアップします。
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